NHK札幌放送局

生理用品届けます 函館の女性 アフリカにも

道南web

2022年1月17日(月)午後5時21分 更新

始まりは偶然でした。 函館市を拠点に道内外で生理用品の無料配布を続ける女性。 日本から1万キロ以上も離れた女性たちの実情を知り、ことし、活動の場をさらに広げようとしています。 

きっかけは「生理の貧困」だった

函館市で雑貨店を営む佐々木絵美さんです。

私たちが取材で店を訪れたとき、佐々木さんは仕分け作業をしていました。
仕分けていたのは雑貨品・・・ではなく、大量の生理用品。
佐々木さんは去年3月から生理用品を無料で配布する活動を続けています。

きっかけは、必要な生理用品が十分に手に入らない、いわゆる「生理の貧困」についてのニュースを見たことでした。

「コロナ禍で大学生が生理用品を買えないというニュースを見て、函館の状況が気になったんですよね。それで私の店舗の近くに大学が多かったので、SNS上で『店舗で配布しようかな』ということを書いたんです」

その反響は予想以上に大きいものでした。

「次の日にはもう生理用品が寄付で店舗に届いたんです。それをまた並べて写真を撮ってSNSに載せたところ、また翌日に届いたりとかして、次から次に届くようになりました」

生理用品は全国から毎日届くようになり、多い日には1日に10回配達されることもあるといいます。なかには海外から送ってくれる人もいるとのことで、私たちが佐々木さんの雑貨店で取材していた日も、宅配大手の配達員が生理用品が入った大きな箱を届けていました。

始めは雑貨店内だけに置いていた生理用品ですが、届く数が増えるにつれ、佐々木さんは無料の配布場所を少しずつ増やしていきました。函館市中心部にある商業施設もそのひとつです。

この日、大きな段ボール箱1箱分を届けた佐々木さんは、中から生理用品を取りだすと、施設内のトイレにある無料の配布場所に置いていきました。

「いっぱいあるので持ち帰っていい量などの制限はありませんし、本当に必要だと思う人が好きな分だけ持っていってほしいと思います」

佐々木さんが生理用品を無料で配布している場所は、いまでは道内外の学校や公共施設などおよそ40か所にのぼります。ただ、それでも生理用品を必要とする人が多く、数が足りていないと言います。

「生理用品はたくさん届きますが、配布で減るほうが早く、追いついていないのが現状です。必要としている人はかなり多くて、最初は大学生だけの問題だと思っていたのですが、途中から高校生や中学生といった働けない年齢の子どもたちからも『生理用品を買ってもらえない、手に入らない』という声が上がったんです。こうした問題はコロナ禍だから注目されていると思うんですけど、実は何十年も前からあった問題で、生理用品を買えない人たちはやっぱり自分の子どもに対しても買えなかったりするんです。その足りない分を無料の配布場所に来て、補充してもらうという状況です」

当初は1人で活動していた佐々木さんですが、継続的な取り組みにしていこうと、去年9月には友人2人を誘って一般社団法人も立ち上げました。ボランティアよりも多くの人を支援できることや、よりたくさんの人に活動を知ってもらえると思ったことも理由だったと言います。

次の舞台は、ウガンダ!

こうした中、佐々木さんはことし、活動の場をさらに広げようとしています。それは日本から1万キロ以上も離れた東アフリカの国、ウガンダです。ウガンダでは女性の生理がタブー視され、特に地方で生理用品が十分に手に入らないなどの問題があります。

なぜウガンダなのか。それは去年11月、函館市で開かれていた、ウガンダで貧困支援に取り組むNPOの活動を紹介するパネル展を、佐々木さんが偶然訪れたことがきっかけでした。

「たまたま知り合った人から教えてもらって行ったパネル展だったのですが、ほとんどが生理の内容だったんですよ。『そうか、生理用品もか』と、そのときに初めて思って、国籍関係なく国も関係なく支援できたらいいなと思って」(佐々木絵美さん)

そして出会ったのが、パネル展を開催したNPO法人「函館アフリカ支援協会」で活動するウガンダ出身のバゲンダ・ドミニクさんでした。

バゲンダさんは公立はこだて未来大学で教べんをとるかたわら母国の貧困支援に取り組んでいて、女性の生理をめぐる問題では、繰り返し洗って使える布ナプキンを現地で普及させることを目指しています。佐々木さんは布ナプキンを手作りしてきた経験もあることから、バゲンダさんから基礎的な知識やデザインなどの面でアドバイスやサポートをしてほしいと依頼され、協力することになりました。

この日、さっそくウガンダで配布する予定の布ナプキンの試作品について、現地で協力するメンバーとリモートで初めての打ち合わせに臨みました。

この中で、試作品を作った現地のメンバーは、布ナプキンの素材にはジャケットやジャンパーを購入して切断したものを使用している一方、コストが高くなっていることや、布ナプキンと一緒に使うふんどしの使い方などについて説明しました。

これに対し、佐々木さんは、布ナプキンの素材は古着のTシャツを代用することで低コストに抑えられることや、おなか周りで結ぶふんどしのひもはゴムなどの柔らかい素材に変えれば生理のときのおなかの痛みが緩和されることなど、次々とアドバイスをしていました。その姿を隣で見ていたバゲンダさんは、頼もしさを感じたようです。

「『ここはもう少し柔らかい素材がいい』とか『もうちょっとこう変えたほうがいい』といったアイデアがけっこうありましたので、佐々木さんに相談して本当によかったと思います」

現地との初めての打ち合わせを終えた佐々木さん。今後、新型コロナウイルスの感染状況を見ながら、ウガンダで直接、支援活動をすることも視野に入れ、準備を進めていきたいと意気込みを語りました。

「現地で何が本当に必要なのか、そして性教育に関してもどこまでの大人が何を知らないかということをやっぱり直接行かないと分からないので、そこをまず見たり聞いたりしたいですね。日本ではそもそも家庭内で生理の話だったり、性教育の話ができないことが問題で、それはアフリカでも全く一緒だと思うんですよ。だから、啓発的な活動をすることで、いろんな人にいろんなことを伝えていかなきゃいけないと思っているので、1年かけてよりたくさんの人たちに思いを届けられたらなと思っています」

2022年1月17日

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バゲンダ先生の恩返し #道南WEB取材班

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