NHK札幌放送局

17歳と大人 本音ぶつかる座談会 #稚内だからなんて

ほっとニュース北海道

2020年1月27日(月)午後7時31分 更新

「地域の歴史を知らなければ、ただ住んでいるだけではないか」。そんな重い言葉を投げかけたのは稚内の17歳。それを受け止めたのは地域の大人たち。ニュース番組がきっかけとなり、本音がバチバチぶつかりあう「座談会」が開かれました。

冬の夕暮れ 3人の男が…

去年12月、稚内高校を3人の大人たちが訪ねました。建設業や水産加工業などに携わる町の経営者たち。あの「13歳の企業説明会」を企画した、商工会議所のメンバーです。どうしたら若者は地元に就職してくれるか、打開策を探しにやってきたのです。
※「13歳の企業説明会」過去の記事はこちら

3人の大人たちがどうしても会いたかった生徒がいます。ふだんから稚内をよくするアイデアを友達と話し、積極的に政策提言をしている村上大和さん(2年生)です。まさに「稚内だからなんて言わせない」というポスターを作った張本人です。
※「17歳の政策提言」過去の記事はこちら

「歴史を知らなければ、ただ住んでいるだけ」

稚内高校の一室に集まったのは、あわせて8人。村上さんと、村上さんの友人2人、商工会議所の大人3人、そして私たちNHK北海道の取材班2人です。座談会「稚内だからなんて言わせない」の始まりです。
そこで、村上さんが最初に切り出したのは、意外にも「歴史」というキーワードでした。

「稚内って、すごくおもしろい町だと思う。『最北』ということで、いっぱい歴史や出来事が過去にあった。本当に、それを知れば知るほどおもしろい。けど、それを知らない人ってすごく多い。歴史を知らないと、ただ稚内に住んでるだけだし、住みづらい所に住んでるだけだなっていうふうに思っちゃう」

その鋭い言葉に、一瞬、大人たちはたじろぎました。

水産加工業・小林泰弘さん
「すごいグサッときました。稚内の歴史を知らないということで、稚内に住んでるだけって言ったんですけど、本当にそのとおりだなと」
建設業・飯沼剛さん
「若い子からこのような指摘があっても、稚内ってこんなとこなんだよって明確に返すことができないっていうのは、やっぱりそれだけ、私たちも知らないことなんだろうなというふうに思う」


17歳が提言する「地元愛を育てる方法」

「歴史」というキーワードをきっかけに、高校生から次々にアイデアが飛び出します。それは、地元の文化施設やお祭りを通じてじっくりと地元愛を培ってほしいというものでした。

高校生・畑野優悟さん
「小学校の時に百年記念塔とか行って、稚内の歴史とか見てきたりもしたが、どうしても分かりづらくて、あんまり興味がわかなかった。高校生になって初めてちょっと分かるようになってきた。小学生のうちからそういうのに触れておくと、もうちょっと稚内に対する愛着が湧くんじゃないか」
高校生・牧野峻也さん
「影響力のある広報誌とかに、お祭りの歴史とかを載せたら興味持って読めるんじゃないか。マンガ形式にしたりすると、読みやすくて興味持てる」

この会話を聞いていて、気付いたことがあります。それは、大人は直近の課題に目が向きがちですが、高校生はより長い目で地元を見ているということでした。

若者の言葉が大人をもっと熱くする

たっぷり2時間の座談会を通じて、高校生の言葉を真剣にメモする大人たち。17歳の言葉から気付きを得ていきました。

金物店経営・本山哲司さん
「歴史を知ると、その土地にもっと愛着が湧くんじゃないかなと。『寒いから嫌だ』、『田舎だから稚内から出て行く』、『遊ぶ所がないから稚内を出て行く』っていう考えは、全部ではないけど、なくなるんじゃないか」
高校生・村上大和さん
「大人には、私たちがやりたいけど自分たちで出来ないなっていうことをぜひ聞いていただいて、積極的に活動していただくというか、そういう風にしてくれると、意見の出しがいもある」
建設業・飯沼剛さん
「若い意見をくみ取ってほしいっていうのは、もう、グサッと刺さってます。少し広い目で考えないとダメなのかなという風に思いました」

座談会で、高校生のリアルな声に触れた商工会議所のメンバーからは、早くもさまざまなアイデアが出てきました。例えば、地域のお祭などの行事に高校生が参加しやすくなるようSNSで発信したり、地域の大人が高校の体育館に集って、若者と話し合う場を設けたりするといった案です。

大人たちの「先入観」

私たち取材班も、この座談会から学んだことがあります。それは、「知らず知らずのうちに、先入観を持って若者を見てしまっていた」という反省です。
実は、ここに来るまで、「若者は歴史なんかに興味はない」と思い込んでいました。その先入観はあっさり、鮮やかに、過去のものになりました。

「稚内だからなんて言わせない」。そして「歴史を知らなければ、ただ住んでいるだけだ」。こうした鋭く、本質的に課題に切り込む17歳の言葉は、稚内にとってかけがえのない財産ではないでしょうか。「17歳と大人の化学反応が始まった」、その瞬間に立ち会えて、私たち取材班の胸も熱くなりました。

編集後記

放送後、村上さん(稚内高校2年生)からメッセージが届きました。大人と本音で話し合うことで刺激を受けたと教えてくれました。

村上大和さん
座談会で特に感じたのは、大人たちは稚内の活性化のために若者と意見交換しながら新しい考えを取り入れたいと考えていても、そのような機会がない現実があるという点です。

特にSNSについて話した際に、大人達はSNSの活用には賛成でも実際どのように活用されているかを知らなかったり、SNSの使い方自体を知らなかったりと、わたしたち若者のようにSNSを日常的に使っているわけではないために、何をしていいかわからない現状を知ることができました。

幅広い年代の多くの人と意見を話し合う機会がないと、どれだけ稚内の為に頑張ろうとしても、考えの幅が狭く、結果、街の活性化に繋がる取り組みをすることは難しいと思います。

座談会は、大人も、わたしたち高校生も、稚内について本音で話しあうことができ、お互い刺激を受けることができるとても良い機会でした。
今後、このような機会を増やしていくことで、稚内の活性化に向けた新たな行動を起こすきっかけになるかもしれないと思いました。

座談会を終えて私は、現在、稚内の観光名所をPRするお土産作りに向けた活動に取り組んでいます。インターネットなどを活用しながら、若者らしい発想を全面に押し出した商品を作りたいと思います。今後も大人の方々にプレゼンなどを行いながら、他のお土産とは違う稚内のお土産を生み出したいと思います!

軽やかに未来を描いていく17歳。ますます稚内から目が離せません。

旭川放送局稚内支局 有水崇(左端) / 札幌放送局 大隅亮(右端)

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