NHK札幌放送局

[放送後記] 人間性が見える!? "焼肉の魅力"

北海道まるごとラジオ

2023年2月15日(水)午後3時11分 更新

2月9日は語呂合わせで「肉の日」ということで、北見市在住・ヤキニキストの西野寛明さんにお越しいただきました。焼き肉を研究して10年という西野さん。独自の視点で焼き肉について語って頂きました!(筆者・西條)

北見焼き肉の特徴

是永)そもそも北見にはどうして焼き肉屋さんがいっぱいあるんですか?
西野さん)市内に食肉処理場があって、内臓の部位も新鮮な状態で食べられたことから焼き肉文化が根付いたと言われています。

一般的な焼き肉というとカルビやハラミをイメージする方も多いかもしれません。でも、北見でよく食べられている部位は、「牛サガリ」と「豚ホルモン」です!

西野さん)牛サガリは部位でいうと横隔膜で、横隔膜はサガリとハラミに分けられるのですが、北見では全てまとめて「サガリ」と呼ぶ特徴があります。北見で食べられているサガリは、厳密にいうとハラミが多いです。そして豚ホルモンは、大腸、小腸、直腸に分けられるんですけど、北見で一番多く提供されているのは大腸、次に直腸ですね。

西條)
北海道出身の私はもちろんどちらも知っていますけど、北見の焼き肉はタレに浸かっていないのが特徴ですよね?
西野さん)そうなんです。代わりに、非加熱の“生ダレ”というものがあります。りんごや北見産の玉ねぎを贅沢に使ったタレで、各店舗で味が違うので面白いですよ。肉がなくてもこのタレだけでご飯が進んじゃいます!

西野さんおすすめの付け合わせの野菜は、「玉ねぎ」だそう。甘みが強い北見産の玉ねぎ、ぜひ焼き肉と一緒に味わいたいですね~。
さらに、放送翌日の2月10日には、北見市で「厳寒の焼き肉祭り」が開催されました。チケットは即完売!マイナス10度以下の屋外で焼き肉を味わう、大人気のイベントです。

最高のおもてなしのツール

西野さんが考える焼き肉の良さは、「最高のおもてなしのツール」だということ。「お肉4切れで満足させることができます!」と自信満々の西野さん。どんなおもてなしを心得ているのか、スタジオで披露していただきました!おもてなしポイント(♪おもてなしチェック!!)に注目しながらご覧ください。

おもてなしする人=西野さん 
おもてなしされる人=西條
実況=是永アナ

~疑似体験・スタート~
①注文(食べきる量を頼む)
西野さん「お昼は何を食べましたか?」
西條「カレーライスです!」
西野さん「タン1人前、牛サガリと豚ホルモンを1人前ずつお願いします。」
是永「おっと!まずは注文。ちょっと少ないような…?」
♪おもてなしチェック!!
是永「ここにはどんな意図が?」
西野さん「食べきれない量を頼むのは絶対にNGなので。まずはお腹のすき具合を図って、あっさりこってりの分量を考えながら注文します。」
是永「さっそく考えられた質問が出ましたね。」

②食べる順番(どの肉から焼くか)
是永「さあお肉が到着しました。何から焼くのでしょうか?」
西野さん「まずはサガリを…」
♪おもてなしチェック!!
是永「てっきりタンから焼くのかと…。」
西野さん「基本的には軽い物から焼きますが、仮に牛タンが霜降りのような部位で、サガリがあっさりしているような場合はサガリから焼くことがあります。届いた肉質を見極めます。あと、タレのついたものから焼くのはNGです。網を汚さないのも大切です。」
是永「網を変えるのはダメなんですか?」
西野さん「網の交換にはとっても労力がいります。お店の人を敬う意味でも、網の交換はあまりお願いしないようにしています。」
是永「目の前の人だけではなく、お店の人への気配りも忘れないんですね。」

③食べ進めのペースは?
是永「西野さんが西條さんの手元を見つめています。」
♪おもてなしチェック!!
是永「何を見ているんですか?」
西野さん「箸の進み具合を見ています。タンは勢いよく食べるけど、ホルモンはゆっくりだとか、好みを見極めます。」
是永「苦手なのは少なめに、好きそうなものは多めに焼く?」
西野さん「はい。その人の好みに合わせて調整していきます。」
西條「そこまでやって頂けるんですか!」

④会話の内容は?
西野さん「寿司で好きなネタはありますか?」
西條「寿司!?えっと…マグロとサーモンですかね。」
西野「なるほど。」
♪おもてなしチェック!!
是永「どうして焼き肉と関係のない寿司の話題を!?」
西野「寿司は、一つ一つのネタで流れが作られる食べ物ですが、焼き肉も一緒なんです。寿司のネタから、食の好みを見ます。マグロやサーモンが好きというのは、比較的、脂ののったものが好きだと考えられますね。なので次は霜降りのものを選んで、あくまでさりげなく追加注文を探ります。」

~疑似体験・終了~
西條)西野さん、すごい!心を掴まれちゃいました!本当に細かいところまで見ているんですね。
西野さん)焼き肉で人間性が分かるんですよ。自分だけじゃなくて、みんなと一緒に食べるからこそ、人に対してのマナーや接し方が見えてきますね。

ヤキニキスト流・焼き肉のおいしい食べ方

北見は「牛サガリ」と「豚ホルモン」が有名!ということで、この2種類のお肉の美味しい焼き方を伝授してもらいました。

牛サガリ=ひっくり返すのは一度だけ!
何回もひっくり返すと、肉汁がこぼれてしまいます。

是永)事前に北見にお邪魔して、西野さんに教えてもらったとおりに焼いてきました。サガリはあっさりした部位だと思っていたけれど、この焼き方のおかげでジューシーな味わいになって、印象が変わりました!

豚ホルモン=蒸して揚げる!
網の上で混ぜて、全体的に火を通して、蒸す!ポイントは、最初から開かないで丸まった状態で網に乗せること。

是永)豚ホルモンも食べてきましたよ。味付けは塩コショウだけなのに臭みがまったくなくて、びっくり!「蒸して揚げる」のは難しかったけれど、ホルモンがしなしなになることなく、ぱりぱりふわふわで美味しかったです♡
西條)うらやましい~!ホルモンは一生懸命広げて食べていました。あの努力はなんだったんだ…。次回は「蒸して揚げる」を実践したい!

焼き肉のシメは、目丼!!
西野さん)北見名物の目丼。辛スープと食べるのがおすすめですね~。卵のまろやかさ、出汁の香り、醤油のしょっぱさが最高なんですよ。
是永)“目玉焼きが乗っている丼”とだけ聞くと家でも作れそうな気がするんですけど、家では決して再現できない複雑な味わいでした!

最後に、なぜ西野さんが「焼き肉はおもてなしの最高のツール」とまで考えるようになったのか尋ねました。
西野さん)焼き肉はまず、動物の命をいただくということ、そして農家さんが一生懸命育てて、お店の方も最大限美味しいものを提供しようと努力している、その終着点として、目の前のテーブルにお肉が届いているんです。それを最高の状態でいただくのが、関わった全てのことに対する敬意なのかな、と。真の命をいただいている、ということになると思います。

焼き肉について、た~っぷりと語った50分間でした。皆さんも焼き肉を食べるときには、西野さんのおもてなしの心を思い出しながら、存分に味わってくださいね~☆

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