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「強くなりたい」を裏付けるもの ~野村良太 北海道分水嶺ルート踏破を振り返って~

  • 2023年5月31日

『白銀の大縦走~北海道分水嶺ルート670キロ』、『北海道道 白銀の大縦走を語る 北海道の稜線670キロの旅』の放送を受け、野村さんご自分の挑戦を改めて映像として振り返っていただいた。

野村さんは北海道大学卒業後、山岳ガイドとして働きながら雪山登山を続けてきた。
登山を始めたきっかけは北海道大学ワンダーフォーゲル部での活動。
当初は4年間フルに部活を続けるかどうかも決めていなかったと言う。しかし、北大ワンゲルを通して北海道の山に出会い、人生を懸けて挑戦したいと思えるものに出会った。
苦しい時間があることが分かっていても挑戦をやめないのはなぜか。「強くなりたい」という想いを裏付けるものは何か伺った。

大縦走の期間、思うように行かずぐったりする日が90%くらいとおっしゃっていましたが、山にいる間の辛い時間というのは野村さんにとってどんな時間なのですか?

どんな時間なんですかね…そんな時間ないほうがいいですもんね…(沈黙)
辛い時間であることは間違いないんですが。ただ、残りの10%の良い時間は辛い時間がないと感じ取れないのかなと。
辛い時間が90%も要らないんですけど(笑)

野村さんにとってその時間は「我慢」の時間なのでしょうか?

辛い時間があると受け入れざるを得ないという意味では我慢なのかもしれません。自分ではどうしようもない辛い時間であることには変わりないので。
長ければ長いほど、報われる瞬間の跳ね上がり方は大きくなる。
辛い時間は次への助走の時間というか、しゃがんでいる時間ですよね。

歩き続けていて体力的にきつい中で「しゃがんでいる時間」はどうやって歩き続けているのでしょうか?

いい意味で惰性みたいな部分もあります。
言う必要がないくらい小さな幸せな瞬間があって、沈んでいる時間の中でも波があるんですよね。
例えば、ものすごく寒い時に歩いて身体が温まってきて、手がかじかんでいた時に少しずつ温かくなってきた瞬間や、朝ザックを背負って、昨日よりも少しだけ軽いような気がした時に、「あ、昨日より少し進んだな」と思える瞬間があります。
言葉にするほどでもない幸せを感じながら下り坂を惰性で進んで、ちょっといいことがあって気持ちが上がって、というのをだましだまし繰り返しています。
それを繰り返していけば先に進めるという経験があるからこそ頑張れるんだと思います。

先に進めるという経験があるから、ということですが、北海道道でも「次の挑戦に生かせてはじめて成長したかどうかが分かる」とおっしゃっていました。

あれは平出和也さんが言っていたのを真似しました(笑)これはどこかでちゃんと言わなきゃって思っていました(笑)

自分が成長しているかどうかは、次にチャレンジした時にしか分からない。次の挑戦がうまく行ったときにはじめて前の挑戦に意味があったということに意味があったということが分かる、とおっしゃっています。
それが連鎖になって、波になっていけばいいなと思います。さも自分の言葉かのように言っていますが、あの言葉は自分の中でハマりましたね。

他の人の言葉をご自身のこととして引き付けて考えることが多いという野村さん。
Web記事後編では、自身が山を登る日々の中で感じたことを日記に書き付けるという行為、自分が記した言葉を今振り返って改めて思うことをお話ししてもらいます。

後編 大冒険は地図の裏に ~野村良太 北海道分水嶺ルート63日間の記録~

【ご案内】
6月2日(金)、NHK札幌放送局と北海道大学は北海道大学クラーク講堂にて野村良太さんをゲストにお迎えした講演会を開催します。
北海道大学ワンダーフォーゲル部での活動、休学中に考えていたこと、北海道分水嶺ルート踏破中に自分と向き合った時間について、番組担当ディレクターとの対談を通して紐解いていきます。踏破中に書きつけていた日記と、当時の写真を振り返りながら野村さんが山の上で過ごした挑戦の日々をたどります。在学中に抱いた目標を実現していく野村さんの姿を後輩学生に見てもらうことで、進路や生き方に悩む学生の背中を押すような時間にします。どなたでも参加できます。当日参加も可能です。


野村良太さんご本人よる振り返りはこちらから
野村良太 本人寄稿 一年が過ぎて

北海道道 『白銀の大縦走を語る 北海道の稜線670キロの旅』」をNHKプラスにて配信中です。
配信期限は6月11日(日)午前2時6分(土曜深夜)です。
あわせてご覧ください。

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