みなさんの疑問に答える、NHK北海道の取材チーム「シラベルカ」。
今回は北見市に住む「なっつママ」さんよりLINEの投稿でご質問いただきました。
「畑にたっている旗に書いてある、ドリフト(注意)が気になっています。何に対してなのかを知りたいです」
畑にあるという「ドリフト注意」の旗の意味とは。そして、いったい何のための旗なのか。
さっそく取材班が調べてきました。
「ドリフト注意」と書かれた謎の旗
まずは投稿者の方の情報のもと、その「ドリフト注意」の旗を見つけに行くことに。
女満別空港に到着し、あたりをドライブしながら探していると、、、ありました!
投稿にあった旗と同じ「ドリフト注意」と書かれた旗が畑に。

この旗の意味は何なのか。
近くの人が集まる道の駅でこの旗について聞いてみると、、、


やはり「ドリフト」という文字から想像するのは車の走行方法。
しかし、畑や農地で「ドリフト」をする人が注意を呼びかけるほどいるとは思えません。
この「ドリフト注意」の意味とは。
そしてなぜ看板などではなく、旗なのか??考えれば考えるほど疑問がわいてきます。
旗に書いてあるドリフトの意味とは

この旗の本当の意味を知るため、実際に旗が立っている場所の農家の方に話を聞いてみました。

「風で農薬がほかのものにかかっちゃう。
自分じゃない他人(の畑)にかかってしまっているというのがドリフトです」
ドリフトとは英語で“drift=「流される」「漂う」”といった言葉の意味を持っています。

「ドリフト」とは「風などで農薬が対象ではない他の畑にかかってしまうこと」なのです。
車の世界では「タイヤが流される」という意味で運転方法のひとつとして使われますが、農業の世界では、「農薬が他の畑に漂うこと」を意味していて、JA(農業協同組合)が旗を農家に配って注意を促しているのです。

さらに、、、。
旗がなびくことで一目で風の強さや向きを知ることができます。旗を立てることでより農薬のドリフトに注意をしてもらえるのです。
ドリフトの影響
ドリフトが発生すると収穫前だけでなく収穫後も影響が出ます。
道の農政部の担当者によると

「狙った作物と違った作物のほうにいってかかってしまう。
残留基準値といった農薬が残留してもいいという量がありまして
その基準を超えてしまうと、生産物は出荷できない。
出荷した場合は回収しなければならないといった対応が必要となります。」

また安全基準を守るため各農家ではドリフトが起こらないよう注意をしていて、国は農薬取締法や食品衛生法で、農薬に対する基準を設けています。
道では病害虫が多く発生する毎年6月から8月にかけて、「農薬危害防止運動」を実施していて、道内の農家に対してドリフトの防止対策の徹底や農薬の適正使用の啓発を行っているということです。
取材を終えて

畑に掲げられたドリフト注意の旗。
ドリフトの意味もさることながら、注意書きだけでなく風の強さや向きを知る基準となっているとは取材班も驚きを隠せませんでした。
今後もシラベルカに調べて欲しいことや、お困りのことがあればご投稿ください。
(札幌局・カメラマン 早川裕貴)
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