標津町にこのほど、水産物やスイーツなどを販売する店がオープンしました。手掛けているのは地元の水産加工会社。その背景にはサケの不漁が関係しています。(中標津支局・原田未央)
水産加工品もスイーツも!「ホニコイ」オープン

大型連休に合わせて標津町の水産加工会社がオープンした「ホニコイ」。店名はこの場所のかつての地名からとりました。イクラやサケの切り身、サケフレークといった水産加工品のほか、特産の牛乳を使ったソフトクリームやおやきなどのスイーツ、それに焼きたてのパンなども扱っています。連休は多くの家族連れなどが訪れて買い物を楽しんだり、ソフトクリームを味わったりしていました。
サケの不漁で新商品開発

店を経営する水産加工会社は同じ敷地内にあります。会社では、標津のサケを使ったイクラや新巻鮭を主に製造してきました。しかし近年、標津町ではサケは不漁が続いています。かつて日本一のサケの街として知られた標津町ですが、ここ数年は最盛期の10分の1程度まで落ち込むこともあります。

そこでこの会社が去年4月に発売したのが標津の素材にこだわった「海鮮まん」でした。いくらとサケが入ったものやホタテが入ったものなど4種類を開発。その後、給食に出されたり、ふるさと納税の返礼品に採用されたりと地域に親しまれる味になっていきました。

マルサフーズ 戸田卓也 取締役
「原料の魚価が上がってしまったので客離れというか、お客さんは今まで買えたものが買えなくなってしまいました。そういう経緯もあって、もっと何か気軽に食べてもらえるようなものを作りたいなとずっと思っていたんです」
アフターコロナ見据え直接販売へ

この海鮮まんの開発をきっかけに会社が決意したのが「ホニコイ」の出店でした。
狙いの1つは「アフターコロナ」。この会社では商品のほとんどが卸売りでしたが、直接販売を始めました。こだわりの海鮮まんや、他社のものを含めた地元の商品を対面で販売できるアンテナショップのような存在を目指しています。
雇用創出の面も

もう一つの狙いは雇用の創出です。サケやホタテが取れる時期など季節雇用だった水産加工のパート従業員や、地元の高校生を通年で雇える受け皿をつくろうと考えています。普段はいくらを作っている人がホニコイに立っていることもあるといいます。
地元に愛される店に

店では今後、気軽に立ち寄ってもらえるよう常設のイートインコーナーを設けるほか、町内の野菜の取り扱いも検討しています。重視するのは地元の人だといいます。
マルサフーズ 戸田卓也 取締役
「観光客も大事ですけど、町の人に愛されなかったら存続できないと思っているので、町民に愛される店にしたいですね」
(2023年5月31日)
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