浜頓別町のクッチャロ湖にはコハクチョウをはじめとした多くの水鳥が飛来します。湖は水鳥の生息地として重要な湿地を保全する「ラムサール条約」にも登録されています。白鳥の湖・クッチャロ湖について探ってみました。(2022年11月放送)


クッチャロ湖と水鳥について
クッチャロ湖は周囲約30kmの海跡湖で、大沼(直径5.5km)と小沼(直径3.0km)の二つの沼が水路でつながっています。標高が低いためにオホーツク海の満潮時には海水が入り込みます。過去には流氷に乗ったアザラシが湖内で見られたこともありました。
湖は平均水深が1.5ⅿと非常に浅く水草を餌にする水鳥が羽を休めるのに適した環境です。300種を超える水鳥が生息します。季節によってオオワシやオジロワシ、タンチョウなどの希少な野鳥も見ることができます。日本とロシア極東部を渡るコハクチョウの貴重な中継地でもあります。1989年に渡り鳥やその生息地を保護し自然と共存した利用を目的とした「ラムサール条約」の指定を受けました。日本で3番目の指定でした。国内最北の登録湿地(2022年12月現在)です。

クッチャロ湖のコハクチョウについて
クッチャロ湖では春と秋に多くの白鳥を見ることができます。クッチャロ湖で見られる白鳥の多くはコハクチョウという種類です。
日本に飛来するコハクチョウの多くがクッチャロ湖を中継地として飛来します。秋に越冬のためロシア極東部から約3000kmの長旅を経て日本に飛来します。多くは本州で越冬しますが、ー20度を下回ることもある厳寒のクッチャロ湖で越冬するコハクチョウも300羽ほどいるそうです。本州で越冬したコハクチョウは、春に各越冬地からロシア極東部へ戻る途中でまたクッチャロ湖に立ち寄ります。春は最大で1日に約6000羽、秋は約2000羽が飛来します。町内では日々の飛来数が掲示されています。

水鳥観察記念館と「白鳥おじさん」
水鳥観察館は環境省所管の施設で平成7年に設立されました。浜頓別町が管理運営しています。湖に関する調査研究や湿地の価値の普及啓蒙活動などを行っています。新型コロナの感染が広がる前は年間で10000人以上が来館していました。
設立には「白鳥おじさん」とよばれた故山内昇さんが大きく関わっています。山内さんは冬の厳しい寒さの中を過ごす白鳥のために私財をなげうってエサを確保しました。極寒の湖に腰まで浸かりながらエサを与えたそうです。この取り組みはラムサール条約の指定にもつながっています。山内さんの活動は作家・司馬遼太郎さんの作品で紹介され、教科書にも引用されて、広く知られました。山内さんは2012年5月に亡くなり、その活動は浜頓別町役場によって引き継がれています。


編集後記

クッチャロ湖では水鳥観察のほか、夏季にはカヌーやウィンドサーフィンなども行うことができます。湖畔ではキャンプもできます。四季折々の楽しみがありますね。ぜひ浜頓別町のクッチャロ湖にお越しください!
旭川放送局 高野陽平
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