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「なぜ函館は塩ラーメンが有名なの?」 道南の声、受信中! #1

  • 2022年8月29日

視聴者のみなさんの身近な疑問・悩みを全力で調査する、「道南の声、受信中!」。 放送第一弾として調査したのは、函館の塩ラーメンのルーツ。視聴者の方から、疑問の声が寄せられました。 

「なぜ函館は塩ラーメンが有名なの?」(函館市・匿名希望)

華僑が持ち込んだ清湯スープ

早速、創業95年の製麺所の3代目、宮川照平さんに話を聞きました。函館のラーメンの歴史に詳しく、カルチャーセンターで講師を務めたこともあります。

宮川さん
「いろいろな要因があると思いますが、明治の初めのころからの華僑のみなさんの影響力というのが、一番大きいんじゃないかなと思います。」

江戸時代後期に開港した函館には、華僑と呼ばれる中国人も移り住むようになっていました。彼らが函館に持ち込んだ郷土のスープが、”清湯(ちんたん)スープ”。鶏や豚がらをベースとする透明感のあるスープで、今も多くの函館のラーメンに使われています。

函館に在住した華僑は、広東や南京など中国南部の出身の方が多く、そこでは清湯スープを塩で味付けするのが一般的だそう。だから、函館のラーメンは塩味が多いと考えられています。

函館の塩ラーメンの原型 養和軒の南京そば

では、函館で塩ラーメンが誕生したのはいつなのでしょうか?
明治17年4月28日の函館新聞には、養和軒というお店が南京そばを一杯15銭(現在の約2000円)で始めたという広告があります。店主は、広東出身の華僑の陣南養(ちんあよん)さん。元々は函館のイギリス領事館でコックをしていた方と考えられています。
この養和軒の南京そばが、一番古い函館の塩ラーメンの原型だと、宮川さんは言います。

残念ながらレシピなどの文献は見つかっていませんが、平成20年には、この南京そばを復刻するプロジェクトがありました。函館の開港150周年を前に、複数のラーメン店と製麺所が協力し、明治時代に流通していた食材の資料などを元に、南京そばを完成させたのです。

プロジェクトに参加していたラーメン店の店主、吉川寿樹さんに、特別にお願いして作っていただきました。

スープは塩で味付けした清湯スープ。
麺は、小麦を皮ごとひいた全粒粉と呼ばれるものを使っています。明治時代の技術だと、このようなまだらな麺だったのではないかということです。
トッピングは、「とりチャーシュー・ほうれんそう・ぎんなん・ねぎ・錦糸卵」の五種類。一杯15銭という高価な価格を反映して、当時の高級食材を使っています。

完成した南京そばは、函館市や商工会議所などが中心となって開いたイベントでも披露され、とても好評だったそうです。歴史のある函館の塩ラーメンのルーツをたどるプロジェクトに参加できてよかったと、吉川さんは言います。

吉川さん
「函館の塩ラーメンは歴史のあるもので、なくしてはいけない文化だとおもいます。それを継承して、守っていく責任があるんじゃないのかなと思っています。」

「道南の声、受信中!」では、みなさまの身近な疑問や興味を全力で調査します。
ぜひ、NHK函館放送局ホームページからご投稿をお願いいたします!

<取材した函館局ディレクター>
荻野 智也
2019年入局。2021年から函館局へ。出身は神奈川県の横浜市で、ラーメンは豚骨醤油派だったが、最近函館の塩ラーメンに目覚めた。取材期間中は週に5日、函館市内のラーメン店を巡った。

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