「あの日、もし避難が遅れていれば今ここで話しはできなかった」。
7月12日に奥尻町立青苗小学校で開催された“1日防災学校”での工藤崇校長のことばです。
震源に近い奥尻島では198人が犠牲になった北海道南西沖地震から29年。
NHK函館放送局では災害の怖さを正しく知り、防災にいかすコンテンツを紹介する「防災教室in青苗小学校」を開きました。
「とにかく高いところへ」 校長の思い

ヘルメットをかぶった全校児童28人が一斉に学校中央のホールに集まってきました。
授業中に地震が発生し津波が来ることを想定した避難訓練です。
全員が集合した後、工藤校長が北海道南西沖地震の経験を子どもたちに語りかけます。
工藤崇 校長(青苗小学校)
「29年前、みんなのお母さん、お父さんの中には生まれていなかった人もいるかもしれません。校長先生は学校の先生になって2年目の時に地震に遭いました。少し揺れを感じた後、トラックが突っ込んできたかのような大きな音とともに激しく揺れました。揺れが収まったあとすぐに高台に避難し津波から逃げ命は守れましたが、もし避難が遅れていれば今ここで話しはできなかったと思います。地震が来たら、とにかく高いところに逃げて自分の命を守りましょう」

青苗小学校では津波から逃げるため、オリジナルの合言葉を作っています。
つ・・・つなみが見える前に
な・・・なにがなんでも
み・・・みんなの命をはこぼう、もっともっと高いところへ
NHK防災教室 災害を自分ごととして考える

避難訓練につづき、私たちが担当した授業ではNHKが提供している防災に関するコンテンツを紹介しました。町役場の担当者から小学校のある青苗地区のハザードマップについて説明もしてもらい、どこが避難場所になっているか家族で確認しておくことが大切であることを子どもたちに知ってもらいました。
仮想空間の中で災害時に迫られるさまざまな「選択」を体験することで、防災について自分ごととして考えていきます。
※「クロスロード」はチーム・クロスロードの著作物で登録商標です。
監修:矢守克也(京都大学防災研究所)
防災・減災に関するノウハウなど、いざという時に役立つ情報をお伝えしています。
「すごい…」「溺れるよ」 浸水の怖さを実感

授業の中で、とりわけ子供たちが興味を示してくれたのが、浸水被害を疑似体験できるアプリです。
アプリでは自分のいる場所が浸水した際の状況をリアルタイムで見ることができます。
浸水の深さは自由に調整可能で、濁り、流木などの漂流物もタブレット画面に映し出せます。

1メートルの浸水で身体のどこまで水が迫ってくるのか体感した子どもたちは、「溺れるよ」などと声をあげながら、友達や自分のいる場所の浸水の様子を見て、よりリアルに自分ごととして実感しているようでした。

楽しく、真剣に防災を学ぶ

浸水の疑似体験を行った後、改めて大人のひざ上ほど45センチメートルの浸水が起きるとドアを開けられなくなってしまう動画を見てもらいました。
児童のみなさんが、それまで以上に真剣なまなざしに変わったことが印象的でした。
参加した小学生からは「校長先生が言っていたように、高台に登って自分の命を守るようにします」、「浸水の疑似体験は楽しかったけど、本当だったら怖いと思う」と話してくれました。
「NHK防災教室」お問い合わせ・お申込み先
NHK札幌放送局 営業推進部
電話:011-232-4020(平日10:00~17:00)
メール:s70009-Hokkaido_otoiawase@nhk.or.jp
北海道南営業センター 今田翔
#なんか見ささる
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