「第69回NHK杯全国高校放送コンテスト」の決勝を7月28日、東京都渋谷区のNHKホールで開催し、テレビドキュメント部門で十勝の帯広三条が優勝、道南の函館中部が優秀賞を受賞しました。
ことしの放送コンテストには、アナウンス部門やテレビドキュメント部門など合わせて6部門および研究発表会に1,435校、11,805人が参加。7月に行われた全国大会には533校が進出し北海道からも各地区大会と北海道大会を勝ち抜いた25校が参加しました。
このうちテレビドキュメント部門では、全国大会にエントリーした187作品の中から帯広三条の「Say」が見事優勝しました。
この作品は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病の母親を介護する高校生について取材したものです。
会場で講評したNHKメディア総局の藤森康江ディレクターは「取材対象の親子との関係性をすごくしっかり築き入り込んだ取材が出来ている」と指摘し、作品で取り上げている声を残す取り組みがまだ広く知られていないことや、インタビューなどの肉声から取材対象の親子の絆が感じられること、取材対象の高校生の表情や目の映像から介護の大変さが伝わってくる点をあげて「とても印象的な作品でした」と振り返りました。
作品を全編紹介します。
〇テレビドキュメント部門 優勝 帯広三条「Say」
帯広市の高校3年生、佐藤謙太郎さんは難病の母親の介護をしているヤングケアラーです。母親は、昨年ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症しました。治療法がなく、やがて全身の筋肉も声帯の筋肉も動かせなくなります。「たとえ病気が進行しても母の声を残したい。母の声と話したい。」謙太郎さんはそう考えて、ある企画を立ち上げました。
「生きる」証である「声」を持ち続けることの意味と家族への想いを伝えたく、この番組を制作しました。
函館中部の作品も決勝に進出し優秀賞を受賞しました。
〇テレビドキュメント部門 優秀賞 函館中部「先生、これって本当に聞いたんですか?」
現代文の試験では「著者の意図に合うものを…」という問いがよく出題されます。出題者の「正解」は本当に著者の意図を反映しているのか…著者が出題された方などへのインタビューを行うと…
全国大会のクリエイティブディレクターを務めた東京藝術大学教授の箭内道彦さんは全体講評で「プロだったら撮れないなというアングル、感性で作っている作品がたくさんありました。技術はもちろん大事だが、いましかできないことを思い切りやっている。これはプロフェッショナルな人たちを刺激する。プロが毎日毎日忙しくて忘れてしまっている大事なことだったり、作ることそれ自体の喜び、僕もちょっと忘れている部分もあるのかなという、プロだったら絶対無理でしょ、こうしないでしょというのがあった。これから世界のクリエイティブが進化していくヒントが詰まっている」と話していました。
6月に開催した北海道大会で最優秀賞を受賞し全国大会に出場した作品もご紹介します=写真は北海道大会の表彰式=。

〇ラジオドキュメント部門 北見柏陽「みゆ、おこです。」
放送局唯一の3年生、みゆが後輩のために放送局の古い機材を新しくしたいと思い行動を起こし感じた大事なこととは…
〇創作テレビドラマ部門 札幌新川「告白は授業のあとで」
少子高齢化と晩婚化を危惧した政府は"恋愛学"という科目を追加した。高校2年生の主人公は同じクラスの女の子に告白しようと、 “恋愛学"の授業でモテる会話や最適なデートスポットなどを大真面目に学ぶが…
〇創作ラジオドラマ部門 函館西「私のいろ、みんなの彩。」
主人公の彩(あや)は人の感情が色になって見える女の子。でも、そのことを誰にも信じてもらえず、自分は普通じゃないのだと思い始める。彩は色が見えないようにサングラスをかけて生活するようになるが…
〇研究発表会 函館水産「函水ブツ撮り大作戦 湯気編」
函館名物のイカの塩辛を美味しそうに撮影するため研究しました。
▽全国大会結果はこちら