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中小河川でもハザードマップ作成義務化 対策の動き #道南WEB取材班

道南web

2021年9月14日(火)午前10時39分 更新

まもなく台風シーズンを迎えます。水害への備えとして頼りになるのが「ハザードマップ」。しかし近年、ハザードマップに表示されていなかった小規模な河川で災害が相次ぎました。こうした「空白域」を埋めるため、対策が始まっています。

ハザードマップに隠れたリスク

雨の多い季節が間近に迫っています。近くの川が増水して、氾濫したら・・・。そんなとき頼りになるのが、あなたの住むまちの市町村が作成する、「ハザードマップ」です。しかし近年、ハザードマップの作成対象外となっていた「中小河川」での水害が相次ぎました。

おととしの台風19号による大雨では、東北地方などで中小河川が氾濫し、多くの犠牲者が出ました。国土交通省によりますと、この台風による大雨で堤防が決壊した全国71の河川のうち、6割にあたる43の河川が中小河川だったということです。

道内でも、中小河川の氾濫のリスクを感じさせる出来事がありました。

8月9日から10日にかけて、台風から変わった温帯低気圧が道内を通過し、函館市東部の泊町の観測所では、24時間雨量が観測史上最多の305.5ミリを記録。平年の8月1か月分を超える大雨となりました。この雨で、市内東部を流れる中小河川の一部で一時、氾濫危険水位に近づいたのです。

中小河川でも作成が義務化

これまでハザードマップの作成が義務づけられていたのは、法令で指定された「洪水予報河川」や「水位周知河川」と呼ばれる、比較的大きな河川のみ。そのため、比較的小規模な河川については、ハザードマップ上で見ると何も書かれておらず、まるで災害の危険性がないように見える「空白域」が生まれていたのです。近年、こうした場所でも甚大な被害が出る可能性のあることが改めて認識されるようになったことから、国はことし7月に法律を改正。これまで指定されていた河川に加えて、近くに住宅などがある中小河川に対しても、ハザードマップを作成するよう義務づけました。これにより、作成対象の川は全国で15000ほど増える見込みで、道内でも新たにおよそ1270の川が対象となります。

すでに対策を進める自治体も

国の動きにさきがけ、すでに取り組みを始めている自治体もあります。北斗市は去年、洪水ハザードマップを改訂した際、市内の4つの中小河川を対象に追加しました。

従来のハザードマップでは、法律で定められた、比較的規模の大きな河川を対象に流域の浸水区域を示していました。

今回の改訂では、図で赤く示された中小河川が追加され、浸水が想定される区域が広がったことがわかります。

北斗市総務部総務課 
小坂正一 課長
「中小河川についてはなかなかオープンになっている情報がないので、市が持っている情報をどんどん開示して、水害リスクがひと目で見られるように市民に配ることで、さらに防災に対する意識を高めてほしいです」

住民「ハザードマップ心強い」

今回の改訂で新たに追加された川の1つが、戸切地川です。
川の東側に広がる、人口およそ2700の中野通地区では、洪水が発生した場合、広い範囲で0.5メートルから3メートルの浸水が予想されています。
4年前、実際に戸切地川が大雨で増水する様子を目の当たりにした地区の町内会長、柳谷友明さんは「濁流が堤防すれすれまで来ているのを見て、私たちの住む地域に水が来ないように願うことしかできなかった」と振り返ります。

柳谷さんは今回、戸切地川の流域にも新たにハザードマップが作成されたことで、住民の防災への意識が高まることを期待しています。近く、市の防災担当者を招いて、地区の住民に対して水害のリスクや避難先などについての研修会を開くことにしています。

柳谷友明さん
「戸切地川の位置が明確に記されて心強いです。ハザードマップをただ家に置いておいただけでは意味がないので、少なくとも1年に1度くらいは地域の住民が集まって、リスクを再確認する機会を作りたいです」

専門家 「自治体は情報開示を」

専門家は、今後道内でも中小河川の氾濫が増える可能性が高いとして、自治体の早めの対策と日頃からの備えが重要だと指摘します。

北海道大学大学院 工学研究院
清水康行 教授
「地球全体の気候の仕組みが変わってきているため、道内では近年、これまで災害がなかったような場所でも本州並みに雨が降るようになっていて、十分注意する必要があります。瞬間的に降る雨の量が増えているために、特に中小河川では降った雨水が川に流れる時間がなく、町なかにあふれてしまうリスクがあります。自治体は、持っている情報をできるだけ住民に開示して、住民自身もふだんから身の回りのリスクや避難場所などについて考えておくことが重要だと思います」

リスクを知る方法は?

お住まいの地域で現在公開されているハザードマップは、国土交通省の「重ねるハザードマップ」というサイトのほか、NHKのホームページ「あなたの天気・防災」や、「NHKニュース・防災アプリ」でも確認することができます。 

では、今回の法改正で作成が義務化された中小河川のハザードマップはいつ、みなさんの手元に届くのでしょうか。今後はまず、河川を管理する都道府県や国が「浸水想定区域」を示し、それをもとに各市町村がハザードマップを作成することになります。

道は、来年の大雨シーズンまでに各市町村がハザードマップの作成を完了できるよう、早期に新たな浸水想定区域を示したいとしています。

ハザードマップが改訂されるまでの間は、川の近くや低い場所に住む人は、身の回りの状況や自治体の情報に注意し、より安全な場所に移動することが重要です。

気象庁ホームページでは雨量をもとに解析した、「洪水の危険度分布」を確認することができます。「キキクル」で検索できます。

▽「国交省のハザードマップポータルサイト」
https://disaportal.gsi.go.jp/

▽NHK「あなたの天気・防災」
https://www.nhk.or.jp/kishou-saigai/hazardmap/

▽「気象庁ホームページ」  
https://www.jma.go.jp

(2021年9月9日放送)

<取材した記者>
渡邉 健
2019年入局。函館局が初任地。 

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