NHK函館放送局で開催していた「昔の道南の風景」写真募集から、木古内町周辺の写真をご紹介!人と馬とが力を合わせて木材を切り出していた「冬山造材」です。
NHK函館放送局では開局90年を機に、移り変わる道南の記憶を保存するキャンペーン『昔の道南の風景』を実施しました。(※現在募集は終了しております。ご応募いただいたみなさま本当にありがとうございました。)
今回は、冬山で撮影された、林業の歴史を伝える風景です。
木材を引いて、雪道を力強く進む馬。
雪にまみれながら、木を切り出す人。
昭和50年ごろに、木古内町周辺の山の中で撮影されました。
冬の間に木材を切り出す「冬山造材」です。
写真を寄せていただいたのは竹田則幸(たけだ・のりゆき)さん。長年 趣味で様々なテーマの写真を撮り続けてきました。中でも夢中になったのが、この「冬山造材」でした。撮りためた写真は、実に3万枚にものぼります。
竹田さん
「休みの日は毎日(撮影に行っていた)。
人力、馬。こういうことで木を(切り)出してましたから。今じゃもう機械でね、ワイヤー張ってやってますけども。だからそういうところを見て刺激を受けたということですね」
町の9割が森林である木古内町は、昔から林業が産業の柱のひとつです。まだ機械が発達していなかった当時、冬山造材はなくてはならないものでした。雪を利用して、夏場は辿り着けない場所から木を切り出せたからです。
ふもとまで木を運んでいたのが、「ばん馬」。竹田さんが撮影していた場所では、5人の職人と一頭の馬が、ふもととの間を何往復もしていたと言います。
撮影した竹田さんは、早朝から日が暮れるまで、一日中造材作業に同行していたので、さまざまな瞬間を撮影できたそうです。
竹田さん
「切った時に木が倒れてね、これに雪が一緒にこう、舞っていくんですよ。こういう場面もね、素敵でしたよ」
竹田さん
「馬が雪に脚、埋もれちゃって、脱出するのに大変なんですよ。尻を叩いて、頑張れ頑張れって」
竹田さん
「人間も大変ですよ。どうして馬を操ったらうまくここを出していけるかとかね、そういう技術も必要でしたろうしね」
竹田さん
「ああいう厳しい環境の中で人馬一体になって作業してる光景に感激したということですね」
技術の発達により、昭和60年頃を境に、こうした馬を利用した造材作業は見られなくなりました。
厳しい冬山で、人と馬とが力を合わせて生きていた時代を、写真がいきいきと物語ります。
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