NHK札幌放送局

まちの食卓に彩りを

ローカルフレンズ制作班

2022年3月17日(木)午後4時46分 更新

ローカルフレンズ滞在記 豊浦編。3週目となりました。
人間2週間も住めば町の地理や生活に慣れてくるものですね。はじめはナビがないと田中さんの働く観光協会やコンビニの位置もわからなかったですが、今はナビを使わず所用時間もざっくり計算できるほどになりました。

海産物も農作物も豊富で、おいしい食べ物が揃う豊浦町ですが、実は町にスーパーがありません。町の中心部にコンビニや道の駅などが数軒あるのみで、お惣菜や食材を買うためには隣町の洞爺湖町や伊達市まで行く人が多いといいます。 

しかし、ローカルフレンズの田中さんに聞くと、そんな町の買い物事情を助けるかもしれないお店ができているとのこと。さっそくその現場を取材しました。

こわもて店主が作る絶品の焼き芋

「おいしい焼き芋と野菜を売っているお店が新しくオープンしたんだよね」と田中さんに教えてもらい訪ねてみました。
国道37号線沿いにあるのがVegetable Market。豊浦駅から歩いて5分ほどで、今年1月から営業しています。
ここでは地元や近隣の町で取れた野菜を販売しています。

店主の山口一樹(やまぐち・かずき)さん。町の人たちからは“山さん”と呼ばれています。

こわもての山口さんですが、「俺なんか取材しなくていいのに」とまさかの謙虚なお人で。笑った時の笑顔にギャップ萌えしました。

そんな山口さんが作る焼き芋がめちゃめちゃおいしいんです。田中さんもお昼ご飯代わりによく買いにくるんだとか。
山口さんの焼き芋の特徴はスイートポテトのようなトロットロの触感と甘さです。
その秘訣はじっくり焼くこと。約70℃の低温で3時間ほどかけて熱を通します。こうすることで蜜がしっかり閉じ込められ、トロトロで甘い焼き芋に仕上がります。

私がこれまで食べてきた焼き芋とは全然違うもので、「焼き芋でもこんな触感と味が出せるんだ」と本当に衝撃をうけました。山口さんは「素材がいいから」と謙遜されますが、素材の味を殺さずその美味しさをより引き出す山口さんの“技術と思い”がなせるものだなと思います。
山口さんの店でもう一つ絶品なのがじゃがバターです。ホクホクしてて味も抜群です。
ぜひトッピングにしおからをのせて食べるのをおすすめします!

買い物の手助けに

山口さんは農業関係の会社に勤めていました。もともと自分で商売をやりたかった訳ではなかったという山口さん。お店を始めたきっかけは豊浦町の買い物事情でした。

山口さん
「豊浦町にはスーパーがなくて買い物難民が発生している町なのでいくらかそれの手助けができたらと考えていた。そして農家さんの出荷できない野菜があったのでそういうものも取り扱えたらと」

こうした思いから山口さんは仮店舗として営業をスタート。取り扱う野菜はこれまで関係のあった農家さんや関係先を通じて仕入れているそうです。
5月初旬にはお店を本格的にオープンさせる予定で、取り扱う野菜の種類ももう少し増やしていきたいとおっしゃていました。
町のために自らが動くということはなかなかできることではないと思います。山口さんの存在がこれからの豊浦町にどう影響していくのか注目していきたいと思います。

浜のおっかあが始めた商店

そしてもうひとつ、おいしいお惣菜とお弁当が食べられるというフレンズ田中さんイチ押しのお店を訪ねました。

豊浦町の浜からすぐの場所にあるたけしま商店。

店主の竹島久美子(たけしま・くみこ)さんと夫の寿一(じゅいち)さんご夫妻が3年前から自宅の一部を改装して始めました。
実はお2人、元ホタテ漁師さんなんです。寿一さんの漁にフレンズ田中さんも何度も同行させてもらっていたそうです。

久美子さんは漁業の女性部で副部長も務められていて、100品ほどのホタテ料理のレシピをインターネット上で公開したりとホタテの魅力を発信していました。

写真をみてもらえば伝わると思いますがほんとに明るくて元気なお二人。特に久美子さんの声と笑顔はどんな人でも明るい気持ちにさせてくれるパワーがあります。私も一瞬でファンになりました。本当にすてきな人たちなんです。

お店には久美子さん手作りのお惣菜とお弁当が並びます。「なるべく地元のものを食べてもらいたい」と地元でとれた海産物や農作物を使っています。

深夜2時から久美子さんが一人で全ての料理を作っていて、商品が並ぶのはお店がオープンする10時ギリギリまでかかります。

そんな料理の中で久美子さんの自慢の一品がホタテフライ。サックサクの衣とホタテの触感が最高の一品。ホタテをよく知っている久美子さんだからこそ作り出せる味です。

他にもホタテとごぼうの炊き込みご飯やホタテを使ったナムルなど豊浦のホタテを使ったお惣菜もたくさん作っていました。

取材に伺った日はこの他にも焼きうどんやごぼうとかぼちゃのかき揚げ、ポテトサラダなど合計10種類以上の惣菜と2種類のお弁当を作っていました。そのレパートリーの豊富さと手際の良さにさすが浜のおっかあだなと感心させられっぱなしでした。

まちの人たちの憩いの場に

たけしま商店の店内は惣菜以外にも様々なものが置いてあります。寿一さんが仕入れてくるホタテや魚、まちで作られたパンや野菜、さらには日用品もおいてあります。もうほぼ小さなスーパーです。

お客さんからの要望をうけてちょっとずつ商品を増やしていったらこうなったんだそう。「欲しいって言われたら置くようにしてるけど毎回買ってくれるわけじゃないんだよー」と明るく話す久美子さん。

お客さんに話を聞いてみると

「料理もおいしいし、ちょっとしたことでもここがあることでだいぶ助かっている」

「新鮮な魚も野菜もおいてる。買い物もできるしみんなの集いの場にもなってる。町の救世主」

とみなさん竹島さんたちの存在の大きさを語ってくれました。

一日取材させてもらって感じたのは料理や商品があるだけでなく久美子さんや寿一さんの人柄に惹かれてみなさん来ているんだなということです。

まちの買い物事情を救うだけでなく、新たなまちのコミュニティーにもなっていて本当にすばらしい空間だと思いました。

浜に恩返しを

竹島さんたちがお店を続けていこうと思う大きな理由、それは“少しでも浜の人たちの力になりたい”ということ。

実はホタテ漁師を辞めたのは寿一さんが体調を崩し、続けていくことが困難になったためでした。本当であればずっと大好きなホタテ漁を続けたかったお2人。

これまで携わってきたホタテ漁に自分たちが関わっていける道を探した結果、お店を開くことにしました。

久美子さん
「浜の人の大変さはよくわかってるので、たくさんの人に食べてもらいたいし売りたい。もっとたくさんの人に知ってもらってもっとたくさん利用してもらって、もっとおいしいもの作っていけたらいいなと思います」

自分たちが携わってきたホタテへの愛と感謝ではじめたお店が、今はまちの人たちから愛されるお店になっていて、豊浦という町だからこそ生まれた素敵な場所だと思いました。

私が普段生活している札幌だとすぐになんでもそろってしまうので、わかることのなかったであろうありがたみを山口さんと竹島さんご夫婦の取材を通して感じることができました。

ないものを新たに始めることは容易ではない中で、山口さん・竹島さんご夫婦の行動は必ず豊浦町の人たちをささえていくはずだと思います。

滞在しているからこその取材をさせてもらえたと感じた一週間でした。

2022年3月17日

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