NHK札幌放送局

シラベルカ#18 “ながら勉強”の謎を解く

シラベルカ

2020年8月4日(火)午後5時23分 更新

みなさんからの疑問を調べる「シラベルカ」。今回は、10代以下の若い世代からの投稿に注目する「シラベルカ for teens」です。

シラベルカ for teens 最初のテーマは小学4年生の男の子からの質問。

「テレビを見ながら宿題しても出来るのに、テレビは消されちゃうし。
『~しながら』の、勉強は何故ダメなんだろう?」

たしかに、ついついやってしまいがちな「ながら勉強」。経験がある人も、多いのではないでしょうか。
今回の疑問、あの手この手で、調べてみました。


お母さんに叱られる!

まずは、今回シラベルカに投稿してくれた、ゆうじ君に話を聞いてみます。

ゆうじ君
「テレビ見ながらゲームとか勉強していて、ママにテレビ見ながら、勉強しちゃダメって言われて、何でだろうなって思った。
ママはぼくの宿題の丸つけを、テレビを見ながらしているのに、どうして僕だけダメなんだろうって思った」

その気持ち、よく分かります。

今度は、母親のともこさんに、自宅でのゆうじ君の様子を見せてもらいました。

お母さんのともこさん
「いつもこんな感じ、テレビを見ながら、気付くと目は画面の方に・・・。
だから習慣づいてしまっている部分の方が多かったんだと思います」


ながら勉強を調査

ながら勉強は、本当に効率が悪いのか?。
取材班は、専門家のアドバイスを受け、実験を行うことにしました。
協力してもらったのは、札幌市にある学習塾「札幌新生塾札苗北教室」です。
今回は、5人の中学生に①無音、②TVを見ながら、③音楽を聴きながら、この3種類のテストを受けてもらいその結果を調べます。
テストでは、5分間で3桁かけ算をどのくらい正答できるかを比較します。
まずは無音でのテストです。

「それでははじめていきたいと思います。よーい“ピー”!」

筆記用具を走らせる音だけが、教室に聞こえます。

次に行うのは、テレビを見ながらのテストです。放送の内容も覚えながら解いてもらいます。
テレビを意識しながら、テストに取り組む中学生たち。集中力がそがれているようにも見えます。

そして、次は音楽を聞きながらのテストです。
今回は同じ音楽を聴きながらテストを受けてもらいます。時折、音量を操作しながら、問題を解く中学生たち。


ながらテストの結果は?

テスト結果です。まずは「テレビを見ながら勉強」。

A B C の中学生とD E の中学生で結果が分かれました。A B C の中学生を撮影した映像とD E の中学生を撮影した映像を比較すると、テレビに視線を送る時間がより多かったD E の中学生は、無音の時に比べて成績が悪くなりました。

一方、音楽を聴きながらの結果は、こちらです。

5人中4人は、無音の時よりも正答数が少なくなりました。


ヒントは脳の記憶装置

この結果をどのようにみればいいのか?アドバイスをしてくれた専門家に話を聞きました。
認知行動科学が専門の北海道大学・河原純一郎教授は、人間には4つ分の記憶装置があると説明します。

河原純一郎教授
「注意が向けられる容量というのは、もともと有限で決まっているんです。
もともと一時的に何かを記憶する、記憶装置をわれわれは持っているんですけど、大体4つのことを同時に覚えられると言われているんですね。
例えば算数をやって、テレビを見ると、2つ減るじゃないですか。
記憶容量が減っちゃって、結果的に間違いやすくなるという事が起きます」

その一方で、河原教授は、「ながら勉強」も状況によっては効果がある可能性もあると指摘します。

河原純一郎教授
「緊張している時だったら、多少、音楽や背景音、自然音とかがあった方が良くなることはある。
成績ははかどることはあるかもしれない。
そういう場面では静かなところ、森の中とかもいいのかもしれないですね」


自然の中では勉強がはかどる?

自然に囲まれながら・・だと、勉強がはかどるかもしれない!? だったら調べようと、再び学習塾の皆さんに協力してもらいました。
札幌市に許可をもらい、モエレ沼公園の芝生の上に、机を並べました。

自然の中では、生徒たちは、どこまで集中できているのでしょうか? 周囲の注目も集めます。
すると・・・。
問題用紙を回収する塾の先生が、怪訝な顔。

「なぜかすごく解けている。なぜだろう?」。

さて、注目の結果です。
自然に囲まれながらのテストの成績は・・・。

全員が他のテストよりも上がっていました。

協力してくれた中学生
「合っているかわからないですけど、今までの中で一番解けました」
「あまりこういう機会はないから、普通はやらないとは思うけど、たまになら外でやってもいいかなと思いました」
「いろんな人に見られているから、早く解こうと思ったのかも」


ながら勉強 すべてがダメではない!?

今回の実験ではさまざまな結果が出ましたが。専門家の話では、環境や体調など個人差があり、絶対の正解はないということでした。
北海道大学の河原教授によると自然の中では、リラックス効果などによって、気分がよくなり、脳の働きを活性化させるという研究もあるということです。
アイディアを生み出すときには、好きな音楽などで気分を高めた方が、新たな発想が生まれてくるという研究もあるということで、河原教授も、授業の前には音楽を流しているそうです。
「ながら勉強」が、すべてダメだということではなく、勉強の目的や、環境、自分にあったやり方を探すことにヒントがありそうです。

(取材:札幌放送局生田隆之介記者/髙野浩司ディレクター)


放送の動画はこちら↓


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