NHK札幌放送局

コロナ禍で変わる転勤・働き方 シラベルカ#42

シラベルカ

2021年4月12日(月)午前11時47分 更新

皆さんから寄せられた疑問に答えるNHK北海道の取材チーム「シラベルカ」。今回は、コロナ禍での転勤について調べました。 投稿してくれたのは、40代女性 ペンネーム、おもちさんです。
 「今春、夫の転勤が決定。引っ越しでの人との接触に不安がある。 そもそもコロナ禍での転勤を道や企業はどう考えているのか?」
というものでした。 

コロナ禍の引っ越しは?

転勤といえば、すまい探し。コロナ禍、不動産を扱う会社ではどんな対応をしているのでしょうか。札幌市内の不動産会社を訪ねました。8年前からオンラインでの接客やリモートでの内覧のサービスを提供している会社です。
感染拡大が深刻化した、去年の4月以降、リモートでの対応を求める客が、4倍に増えたそうです。

不動産会社ホットハウス 担当者
「オンラインでの接客やリモートでの内覧を希望される方は、コロナ禍以前には、お客さんの1割ほどでした。いまは、4割ほどがお店にくるのではなく、リモートで対応しているお客様です」

希望者が増えているという、オンラインで行う内覧を、実際に体験してみました。

いろいろ工夫していてびっくり。担当者が部屋のなかで、オンラインカメラを使って紹介してくれます。

家具を置いたときのイメージが湧かないという場合も、担当者がメジャーを置いてくれるため、サイズ感を把握できます。気になる窓の外の様子、部屋の音、においなども、担当者が現場から教えてくれます。

コロナ禍で注目されるサービス

この不動産会社では、もうひとつ、コロナ禍で注目を集めているサービスがあります。それは、お客さんが、店舗にまったく寄らずに物件の見学までできるサービスで、6年前に導入しました。それまで店舗で行っていたお客さんと担当者のやりとりを、ワゴン車の中でできます。コロナ禍になってからは後部座席位に感染対策を施しました。

直接、担当者とあわずに、モニター越しに物件を選ぶことができるほか、他の客との接触も避けられ、相談によっては家の近くまで来てくれるので、交通機関での感染リスクなども避けられます。コロナ禍で使いたいという人が増え、引っ越しシーズンの3月の土日は、専用のワゴン車が予約でいっぱいになりました。

こうしたリモート技術を使ったサービスは、引っ越しを担う運送会社でも取り入れていて、部屋を決めて、引っ越しを業者に依頼するまで、オンラインでできるようになっていました。

コロナ禍での転勤、企業は?

おもちさんが寄せてくれたもう1つの質問は —

「そもそもコロナ禍での転勤を道や企業は、どう考えているのか?」

調べてみると、感染拡大が、企業の転勤制度に少なからず影響を及ぼしていることがわかってきました。

取材したのは、東京・港区に本社がある外資系損害保険会社。社員およそ6800人で、全国におよそ100の拠点があります。2年前の4月から「望まない転居を伴う転勤制度の廃止」に取り組んできました。
人事担当者によると、新型コロナの感染拡大が、転勤制度の見直しをさらに加速させているといいます。

この会社では、全国を11のエリアに分けて、本人の希望するエリア内で働けるよう人材配置を進めています。その一環で、在宅勤務も積極的に導入してきました。
新型コロナウイルスの感染拡大は、その在宅勤務制度の利用を加速させ、一時は、1日当たり社員のおよそ9割以上が、在宅勤務となったといいます。
その結果、ほとんどの社員が、出社を前提としなくても、業務に支障がでないことが確認できたそうです。
この会社では、いま、これまで本社を中心とした人事や経理などの管理部門でも、希望エリアから遠隔地であっても、リモートで仕事が出来るよう、制度の導入を進めています。
社員にとって、転勤制度の見直しは、働く意欲を高めることにつながっているそうです。

AIG損害保険 札幌支店長
「何のために仕事をしているかというと、生活のためであり、家族の幸せのためでありということなので、働く場所を選べる制度、これは本来の姿かなと思います」

道内企業も新たな対応

3月から4月にかけては入社や入学、転勤と人の移動が多くなる時期で、新型コロナウイルスに感染するリスクも高くなります。このため、道と経済団体は、感染の拡大を防ごうと、企業や大学の関係者、学生などに対してコロナ禍での転勤についての新たな考え方をまとめ、提案しました。

それによりますと、

  • 着任日の柔軟な対応(大勢を一度に着任させない)
  • 引っ越しの分散化
  • 独身寮での新規入寮者の接触制限(1週間程度は自室で過ごす)
  • 従業員やその家庭に体調不良の人がいる場合、赴任の延期

などを挙げています。

労働問題に詳しい専門家は、コロナ禍をきっかけに、 日本の転勤制度を変化させているといいます。
北海学園大学の川村雅則教授は、全国転勤をすべての正規職員に課すことに、経済的な合理性があるのかと、疑問をもたれるようになったと指摘しています。

川村教授
「リモートワークを活用すれば、人のリアルな移動は必要ないのではないかと。そういったことが、転勤制度の見直しの背景にあるんじゃないかと思います」

取材を終えて

取材をしてみて、新型コロナウイルスは、従来の引っ越しや企業の人事制度の見直しを加速させていることが分かりました。この変化をきっかけに、企業だけでなく、働く私たちも、いま一度、将来をみすえたときに、いつ、どこでどんな働き方をしたいのか、考えていく必要があるのではないかと感じました。

(札幌放送局 前嶋沙月)

2021年4月12日

シラベルカ トップページへ

シラベルカへの投稿はこちらから



関連情報

「在日ロシア人に嫌がらせ?対処方法は」 シラベルカ#82

シラベルカ

2022年3月18日(金)午後2時20分 更新

インフルエンザワクチンが足りない?! シラベルカ#73

シラベルカ

2021年12月23日(木)午後6時36分 更新

川にコンクリートの塊が放置!?堰の洪水リスクを調べました …

シラベルカ

2021年6月9日(水)午後9時06分 更新

上に戻る