NHK札幌放送局

尻別川のイトウ「オビラメ」を次の世代に 0755DDチャンネル

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2022年11月25日(金)午後11時08分 更新

絶滅の危機にある尻別川のイトウ「オビラメ」を復活させようと活動するベテランたちと、そのイトウについて学ぶ喜茂別町の小学生たちが出会いました。「地域ならではの宝物を大事にしたい」という思いが、半年におよぶ交流で、ベテランから子どもたちに届きました。
2022年11月26日(土)初回放送

学芸会の出し物は「尻別川のイトウ」

2022年10月、喜茂別町小学校の学芸会の日。3年生の8人が、全校児童の前で発表したのは「尻別川のイトウ」でした。

ふるさとを流れる尻別川にすむ大きな魚、イトウとは、どんな魚なのか。実際に自分の目で見た春の産卵は、どんな景色だったのか。

体育館の3分の1を使った舞台で、時には紙で作った2mのイトウを掲げ、時には赤い布をかぶって産卵期のオスを表現しながら、見てきたもの、教えてもらったことを披露しました。

エンディングは「大きな古時計」のメロディにあわせて、子どもたちが考えた替え歌d合唱でした。

♪大きなノッポのイトウさん
♪春に卵をうむよ
♪きれいな川にすんでいる
♪みんなのヒーローさ
♪みなさんにお願いがあります
♪ポイ捨てしたらだめ
♪みどりを大切にイトウさんのために


イトウを目撃!

この喜茂別小学校3年生たちが、イトウを実際に目撃したのは5月でした。羊蹄山が見おろす尻別川の支流の一つで、3年生8人が「オビラメの会」のメンバーに迎えられました。

尻別川の未来を考えるオビラメの会
1996年に地元の釣り人や研究者などが結成。絶滅の危機にある尻別川のイトウを守り育てる活動を続ける。オビラメとは尻別川のイトウの別名。

こどもたちがやってきた支流には、毎春、イトウが産卵にやってきます。オビラメの会では、イトウたちが無事に産卵して子孫を残せるよう、この時期、24時間体制で「見守り活動」をしています。

子どもたちは、オビラメの会のメンバーの案内で堤防の上から川面を探すと、すぐに大きな赤い魚体を見つけました。

はじめて見る、大きな赤いイトウ。雪解けで少しにごった川の水の中にゆったりと泳いでいました。この、自分たちのふるさとならではの光景を、子供達は、堤防の上をいったりきたりしながら探しました。


教室にオビラメを愛するベテランたちがやってきた

喜茂別小学校では、子どもたちが、将来、喜茂別で活躍する人材になってほしいと、地域を知る授業をカリキュラムに取り入れています。テーマは学年ごとで、3年生が学ぶのは「地域の自然」。そこで、イトウ=オビラメが題材に選ばれました。
自分たちの目でイトウの存在を確かめてから10日後、教室に、オビラメの会のメンバーが、講師としてやってきました。

メンバーたちが話したのは、長年向き合ってきたイトウのこと。そして、「特別に保護をしなくてもイトウが流域全体にすむ、イトウが釣れる尻別川」を目指して、2001年から30年の計画で取り組んでいる活動についてです。

オビラメの会活動①見守り活動
イトウが産卵する4月から5月にかけて、産卵河川を24時間体制で見守っています。どんなイトウがどこで産卵していたのか記録をとって、個体群の状態を探ります。(前述)

オビラメの会活動②稚魚を育てる
ニセコ町にあるイトウの親魚の飼育施設「有島ポンド」。このポンドで飼育しているのは、尻別川産のイトウ=オビラメ。この親魚たちから地元の遺伝子を引き継ぐ稚魚たちを育てています。

オビラメの会活動③河川環境の復元
稚魚が成長して次の世代に命をつなぐには、産卵に適した場所まで川を遡れなけれななりません。地域と行政の協力を得て、倶知安町内の支流の5ヶ所の落差工に魚道を設置、親魚が遡行できるようになりました。

支流のひとつで再導入に成功
その結果、2012年、魚道を設置した支流に、放流した稚魚が親魚になって遡上、産卵しているのを確認しました。再導入に成功した瞬間でした。


思いを知ってもらうために

イトウの再導入に成功した川で、7月、稚魚の調査が行われました。イトウの産卵は、サケとは違い、春なので、稚魚たちは夏になると砂利の中から浮上して泳ぎ始めます。
浮上した稚魚たちが滞留する浅瀬を調べると、すぐに稚魚が見つかりました。

同じ7月、倶知安町で、オビラメの会の活動報告会が開かれました。
産卵河川の今シーズンの見守り活動の結果と、これまでに蓄積してきた毎年のデータの分析結果を報告。
あわせて会場で、町の協力を得て、イトウが生息する支流の河原に設置するメッセージ看板を披露しました。

看板は「イトウからのお願い」。

倶知安町内の再導入河川では、すでに、放流稚魚から生まれた第2世代が親魚になって自然繁殖を続けています。こうしたイトウを増やしていくために、釣り人に、キャッチアンドリリースや、繁殖期には釣らないことなどに、協力を呼びかけます。

オビラメの会 吉岡会長
「オビラメの会は、釣り人の方にもわかってもらって、会に入ってもらったり、尻別川で釣りを楽しんでもらうのにやっている会ですから。協力をもらいながら、イトウを増やしていきたいなと考えています」

7年後に期待を寄せて

9月下旬、喜茂別小学校3年生の8人が、喜茂別町内を流れる尻別川支流の河原にやってきました。オビラメの会が育てたイトウの稚魚たちを川に放すためです。

子どもたちの手から離れた稚魚たちは、川を降りながら成長できる場所を探しまます。次の世代に命をつなぐことができるまでに成熟すると、産卵場所を求めて川を遡上してきます。

子どもたちが気になるのは、放した稚魚たちが、いつ、喜茂別の川に帰ってくるのか。

オビラメの会 川村さん
「最短で7年かかります。ですから、みなさんが小学生のうちは帰ってきません。長い年月にわたって良い環境を保つことも、すごく重要だと知ってもらえるといいなと思います」

尻別川のイトウ「オビラメ」復活の30年計画は、残すところあと8年。どこでもない自分たちの地元の大事な自然・オビラメと、オビラメへの思いは、ベテランから次の世代に伝わろうとしています。

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札幌市を流れる豊平川に帰ってくるサケ。そのうちの7割は豊平川で生まれた野生のサケです。この「豊平川生まれのサケ」を増やすため、産卵環境を回復させるなどの活動が続いています。

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