NHK札幌放送局

アイヌプリの葬儀を次の世代へ伝える #アイヌ

ウピシカンタ

2019年10月30日(水)午後1時28分 更新

この夏、新ひだか町で2002年以来となる、アイヌの伝統にのっとった、"アイヌプリ"の葬儀が執り行われました。伝統を引き継いでいこうとする男性が「後世に映像を残してくれるなら」と準備も含めて3日間にわたる葬儀の撮影を、特別に許可してくれました。

なぜアイヌプリで

アイヌプリの葬儀は、かつての同化政策の影響や、作法が複雑で難しいことなどから、現在ではほとんど行われなくなっています。 

葬儀を取りしきったのは、葛野次雄さん(65)です。アイヌプリの葬儀は、父の辰次郎さんを送ったとき以来です。
亡くなったいとこのタナヨさん(88)は、同じ地区で長年、家族のように暮らしてきたといいます。

葛野次雄さん
「いとこのお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんは全員、アイヌプリの葬儀で送られている。アイヌにはアイヌの風習があることを伝えたい」。

手作りの葬儀

葬儀にはさまざまな段取りがあり、すべてを手作りします。まずは墓標をつくるための木を選ぶところから始まります。細すぎず、まっすぐなドスナラの木を切っていきます。

アイヌプリでは、火葬ではなく土葬が本来の形です。自治体によっては土葬を禁じているところもありますが、新ひだか町では土葬は可能で、葛野さんは事前に許可を得て実現しました。

葛野さん
「母なる大地の恩恵を得て、私たちの肉体がある。その肉体を土にかえす、母なる大地に戻して循環するということがアイヌの人たちの精神には宿っている」。

伝統を引き継ぐ

葛野さんが、今回、アイヌプリの葬儀を行った理由はもう一つあります。
息子の大喜さん(22)に伝統を引き継ぎたいという強い思いです。

大喜さんは、大学ではアイヌ文化を学んでいますが、墓標のつくり方までは教わっていません。墓標の形は地域で異なり、葛野さんの家系では、女性の墓標はかんざしの形です。
父の協力を受けながら、なんとか作り上げました。

息子の大喜さん
「教科書や写真を見るだけでは分からないことがあります。葬儀はない方がいいけれども、やり方を覚えていれば、いつか自分が手伝いをできると思っています」。

葬儀

葬儀には、町内外のアイヌの人たちも駆けつけ、葛野さんは、火の神に祈りをささげ、先祖の待っている世界に向かうことができるようにアイヌ語で言葉をおくりました。

翌朝、タナヨさんの亡きがらを葛野さんの両親や兄も埋葬されている墓地に運びました。

最後に、タナヨさんが、先祖たちの世界で住むための家を焼き、3日をかけた葬儀を終えました。

葛野さんは、葬儀をアイヌのひとたちの精神性が宿る文化として、多くの人に理解して欲しいと考えています。

葛野次雄さん
「アイヌでも和人でも、生まれて亡くなるまでが文化だと思う。葬儀というアイヌの文化を残し、後世に伝えていきたい」。

2019年10月10日

関連情報

ウポポイ3か月 修学旅行が好調 #アイヌ

ウピシカンタ

2020年10月14日(水)午後4時57分 更新

ウポポイ開業日決定で対策検討へ #アイヌ

ウピシカンタ

2020年6月23日(火)午後3時59分 更新

アイヌ文様限定ユニフォーム披露 #アイヌ

ウピシカンタ

2020年2月5日(水)午前11時19分 更新

上に戻る