函館といえば、かつてはなんといっても「イカ」だったんですが、漁獲量の減少が進んでいます。そこをなんとか食い止めたいと、函館にある北海道大学水産学部が挑戦を続けています。
“イカ博士”を尋ねました
イカを研究して26年、イカ博士こと山本潤助教です。

ちょうどイカに餌を与えているところでした。
山本助教
「イカは硬いものを残すので、できるだけ硬い部分を取って与えています。水の汚れには弱い生物なので、できるだけ水をきれいにしようと努力しています。」

北大では、海水温の上昇を止められないなら、
エサという観点からイカの減少を食い止めたい、そんな研究が行われています。

なぜイカの研究を…?
研究をはじめたきっかけは、「イカの町・函館」の未来への危機感でした。
山本助教
「こちらをご覧ください。温暖化によって水温がどう変わるかをシミュレーションし、日本海のスルメイカの分布を予測したものです。」

2000年~2100年までの予測です。函館付近(赤丸)を見てみると、イカがとれない青い部分が次第に広がっているのが分かります。
打開策を模索する研究の現場
シャーレに浮かぶ小さな粒。いったいなにかわかりますか?

顕微鏡で見てみると・・・

人工孵化させたイカの赤ちゃんです。生まれてわずか数時間、大きさはおよそ1ミリです。
中屋准教授
「まだあまり泳ぎが得意ではないので、同じところをぐるぐる回るような動きしかできません。」

実はイカの赤ちゃんが何を食べているのか、まだわかっていません。

食べるエサを見つけ、死んでしまう赤ちゃんを減らすことで、イカの減少を食い止めたいと山本先生のチームは考えています。

研究開始から6年。何十種類ものエサを与えてきましたが、いまだ反応はありません。しかし、そこから有力な仮説が浮かびあがってきました。

中屋准教授
「最初のうちは、エサを食べるというのではなく、体表から何かを吸収するとか。そっちの方が有力なのではないかなって。

アミノ酸などが入っているので、これに漬けておけば体表から何か栄養分を取り込むような可能性もあるのではと探っているところです。」

この仮説を立証できれば、函館のイカをまもるばかりか、イカの養殖が実現するかもしれません。

山本助教
「できれば完全養殖をまず函館で実現させて、今の想定がうまくいくと5年ですね。」

函館のイカをまもるため、北大水産学部の挑戦はまだまだ続きます。
こちらの記事も併せてご覧下さい。
#なんか見ささる