NHK札幌放送局

17歳の政策提言 #稚内だからなんて

ほっとニュース北海道

2019年11月20日(水)午後2時03分 更新

「稚内だから」なんて言わせない。今回は高校生たちが主役。稚内市では「高校2年生」と「市議会議員」が町の課題を話し合う授業があります。そこで出会った1人の高校生は、胸熱なメッセージを大人に送っていました! 

高校生と市議会議員の“ワークショップ”

今回取材に向かったのは、稚内市内唯一の公立高校・稚内高校。なにやら高校生と市議会議員が意見交換を行う授業がある、と聞いたからです。

下がその様子。稚内市の課題を説明するのは、現役の市議会議員。それには、どんな解決策があるか? 高校生たちはワークショップ形式で考えていきます。
ちなみにこの日参加した生徒は衛生看護科ということで…

議題にあがったのは、稚内の地域医療の問題点。現実の課題である上に、看護師などをめざす生徒たちの将来にも直結します。

思わず通いたくなる病院? 若者らしい、自由な意見も飛び出しました。

ほかのクラスでも「JR宗谷本線の存続」や「観光の活性化」など、稚内が避けて通れないテーマが扱われました。もちろん50分という短い時間で、本当の意味で解決策を見つけることは困難です。では、この活動の狙いは、何なのか、市議会の議長に聞きました。

稚内市議会 議長 岡本雄輔さん

「進学で稚内を離れてしまって、ふるさとになかなか帰ってきてくれない。そういうことでなく、魅力ある自分たちの住む稚内に戻ってきて、みんなが町を発展していってつなげてくれたらいいなと、高校生との意見交換会という話になりました」

やはりこの活動も、若者に地元に残ってもらうことが狙いでした。
もっとも、こうした意図は生徒も感じ取っているようで…

衛生看護科2年生
「(市議会議員は)こわい人とか、かたくるしい人なのかなと思ったけど、みんな優しかったし、稚内のことについてみんなで考えられて楽しかったです」
「稚内の医療をもっとよくするために『残ってほしい』みたいなのは感じます」


注意点は「過度のプレッシャー」

ちなみに…
上のインタビューからも感じられるように、子どもたちには大人の思惑はビンビン伝わっています。だからこそ公教育の場で、「地元に残ってくれ」という作戦を大がかりに展開するには、注意も必要。北海道大学大学院教育学研究院の篠原岳司さんによれば・・

「教育の基本は、生徒の未来の可能性を広げること。郷土愛を過度に期待され、生徒がプレッシャーを感じてしまってはいけない。あくまで生徒の意思を尊重し、とことん応援しようとする姿勢が大切」


大人への挑戦状

さてそんな中で・・・。何人かの高校生にインタビューを行っていると、真剣な面持ちで話してくれた生徒がいました。普通科2年生で、商業クラブに所属している村上大和さんです。

村上大和さん
「稚内がこのままだとどんどん衰退していっちゃうんじゃないかっていう思いがあって、実際のところ今も人口が減少している現実があって」
「私たちの意見が直接反映されるかなという思いで、今回は(市議会議員に)話をしました」

ずいぶん、しっかりしたコメントだなと思い、取材後、校長先生にそのことを伝えました。彼は市外に進学出来る学力の持ち主だったが、地元に残ることを選んだ生徒とのお話。そして、村上さんたち商業クラブが、印象的なポスターを作ったことを教えてもらいました。それは、稚内高校のPRポスターです。

キャッチコピーは…

「言わせない」とは、いったい誰に?校長は、こんな感想を抱いたといいます。

校長 元紺谷尊広さん

「これはもう大人に対する挑戦だと思いました。子どもたちも頑張るんだから、大人も頑張ってほしいというメッセージなんだろうと」
「びっくりしました。子どもたちのほうが、本当に考えているんだなと。逃げちゃいけないなと思いました」

言わせない相手とは、「大人」だというのです。


日本のてっぺんが問いかけるもの

大人たちがついつい口にする、「稚内だから」しかたない、という言葉。そんなあきらめみたいなことは言ってほしくない、というメッセージ。大人たちにも言い訳してほしくない。もっと本気で町の未来を考えて欲しい。そんな挑戦状だというのです。

 そこで、村上大和さんに将来の進路を聞いて見ると…

「自分の夢が自動車を作ることなので、(将来は)道外に出て就職ってことになると思うんですけど、やっぱり稚内にいつかは戻ってきたいなと思っています。そのときにさらに元気がなくなっているとつらいところもあると思います。やっぱり今のうちに稚内市のためにできることを精一杯稚内市に貢献しておきたいなという気持ちで活動しています」

本気の大人と、本気の若者。その熱さが印象的でした。

前にも書きましたが、僕自身は転勤族で、地元を出た組。そんな自分の身に照らして言うなら、「地元を知る機会がなければ、そもそも『残る』『帰る』という選択肢が浮かばない」というのは納得。地元に何があるのかを教わっておきたかった、という思いはあります。

稚内の取り組みは、今後もぜひ追いかけてみたいと思っています。そして他の地域にも、熱い方がきっといらっしゃると思います。日本全体の大問題に、北海道がどんな解決策を示していくのか、その動きに興味津々です。

#稚内だからなんて
今後も ハッシュタグ #稚内だからなんて で議論を深めていきたいと思います

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