NHK札幌放送局

「#北海道ピットインラジオ vol.2」放送しました!

札幌局広報スタッフ

2020年10月6日(火)午後3時54分 更新

※「#北海道ピットインラジオvol.2 アフタートーク」はこちら

放送日:2020年9月30日(水)午後8:05~9:00【ラジオ第1】
※10月8日(木)午後0時まで、らじるらじるで聴き逃し配信中!

北海道の179のまちのローカルプレーヤーと道内7局のNHKがつながり、地域の未来をともに考え、応援するプロジェクト「the Locals」。『#北海道ピットインラジオ』はこのプロジェクトの一環として、道内各地で活躍するプレーヤーたちにとって、心を整えたり、課題を持ち寄ったりしながら、再び地域への思いをもって走り出す「ピット」のような場になれたら、という思いで始まりました。

今年7月のvol.1の放送に続き、9月30日(水)にvol.2が放送されました。この記事では、番組の「ほぼ全文」を公開します!

【出演】 ※50音順
大西 重成(造形作家・イラストレーター) 
河嶋 愛基(教えない放課後教室「あびらぼ」代表)
田辺 貴久(釧路市ビジネスサポートセンターk-Biz ブランディングマネージャー)

【MC】  
瀬田 宙大(NHK札幌放送局 アナウンサー)
佐藤 千佳(NHK札幌放送局 キャスター)

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(瀬田・佐藤)
北海道ピットインラジオ!
(瀬田)
こんばんは。NHK北海道アナウンサーの瀬田宙大です。
(佐藤)
札幌放送局キャスターの佐藤千佳です。
(瀬田)
さあ、この北海道ピットインラジオは北海道の各地域、もっと言いますと皆さんのお住まいの身近な地域・ローカルでユニークな活動を繰り広げている人たちをお招きしてお互いの活動、そして生き方を語り合っていく番組になっています。7月末の第1回の放送が好評いただきまして、今日は第2回をお届けしていきます。
(佐藤)
今回も皆さんのご意見・質問はTwitterで大募集!ハッシュタグは「#北海道ピットインラジオ」。番組名と同じタグがついた投稿を随時確認して、放送でもご紹介していきます。既にいただいてるのをご紹介しますね。
古賀詠風さん。「シゲチャン出るんかー!」といただいていますよ。このあと登場する予定のスペシャルゲスト・シゲチャンこと大西重成さんの登場を楽しみにする声をいただいています。そして菊池百合子さんからも「今日はこの後シゲチャンが出るので家で嬉しそうにしています」といただいています。ラジオは「どこにいても北の電波を拾えるのがありがたい、楽しみだ」ということで。全国で聴けますから。
(瀬田)
そうですね、NHKのスマートフォン用のアプリ「らじるらじる」ですとかね。あと民放ラジオなども聞ける「radiko」。こういったものを使っていただきますとお聴きいただけます。
(佐藤)
そしてですね、今流れていますオープニングの「city light」。この曲を作った蓑田峻平さんからも「番組始まりますよ」っていうメッセージいただいています。
(瀬田)
ありがとうございます。このあとも皆さんお待ちしています。それでは各地域からお招きしているゲストのみなさんをご紹介していきます。いずれの皆さんもいわゆる大都市とは距離を置いて地域で活躍している3人となっています。今日はご本人が選んだテーマ曲に合わせてそれぞれをご紹介していきます。
(佐藤)
Bob Dylan“Blowin' in the Wind”にのせてご紹介するのは、教えない放課後教室のキャッチコピーで安平町の公営塾「あびらぼ」を運営する河嶋愛基さん、29歳です。子どもたちからは“あいきち”のニックネームで呼ばれているそうです。こんばんは。

(河嶋)
こんばんは。よろしくお願いします。
(瀬田)
よろしくお願いします。河嶋さんは大手企業の社員として札幌で勤めていたんですけれども、転機となったのは2年前の胆振東部地震でした。
地震のあとボランティアとして安平町に通うようになり、ついには地域おこし協力隊として移住をしました。
今回お伝えしているゲストの皆さんを紹介する時のBGM、それぞれ選んでもらっているわけですが、河嶋さんはなぜこのBob Dylanの曲を選んだのでしょうか。
(河嶋)
高校生の時、洋楽にはまるきっかけとなった曲です。この曲自体はプロテストソングの名曲として有名だと思うんですけれども、歌詞をよく見てみると広く人生にも通ずる内容だなっていうふうに思ってまして。見て見ぬふりをしているのは、戦争だけでなく、自分自身の人生に対してもかもしれないなと。よく「あびらぼ」の中で答えのない問いに向き合える人になろうっていう話をしてるんですよね。それともつながるところがあるなと思って、最近よりいっそう好きになりました。
(瀬田)
なるほど。お話にもありました「あびらぼ」については、また後ほど詳しく伺っていきたいと思いますのでよろしくお願い致します。それでは2人目のゲストはこの方です。
(佐藤)
中島みゆき”地上の星”に乗せてご紹介するのは、釧路市が運営するビジネスサポートセンターで中小企業の経営相談に応じるブランディングマネージャー、田辺貴久さん、38歳です。みんなが頼りに話を聞きに行く、言ってみれば森のふくろうのような存在です。こんばんは。

(田辺)
こんばんは。よろしくお願いします。
(瀬田)
田辺さんももともとは大手企業にお勤めだったんですけれども、去年転職をされて東京から釧路へやって来ました。そして性的マイノリティー・ゲイであることも公表して多様性を認める社会をつくろうと日夜活動されています。社会の中で新たな取り組みを広げ、周囲に認めてもらうにはどんなことが必要だと考えていらっしゃるのか、そういった話も後ほど伺っていきたいと思っています。さあ田辺さん、地上の星を選んだ理由は何なのでしょうか。
(田辺)
今日はNHKラジオということで、NHKといえばこの曲かなっていう理由もあるんですけれども、私が今仕事をしている釧路市のビジネスサポートセンターというのが、中小企業の皆さんに対する経営のアドバイスだったり売り上げ支援をする場所でして、日夜お話をきいていると、本当にみなさんプロジェクトXのようにいろんなこと挑戦されてるな、と思ってまして。それで、この曲を選ばせていただきました。
(瀬田)
今年1月から本格的に釧路で活動を始めていらっしゃいますけれども、日々の葛藤も含めて後ほどお伺いできればと思いますのでよろしくお願いします。
そして最後にご紹介するのは、冒頭でシゲチャンと呼ばれていましたけれども、スペシャルゲストはこの方となっています。
(佐藤)
Roger Enoのアルバム”Voices”より1曲目”Through The Blue”にのせてご紹介するのは…この笑顔に何人が救われてきたのでしょうか。
道東・津別町を拠点に悩める若者の相談に乗りながら、独自の世界観の作品を次々に生み出すアーティスト・シゲチャンこと大西重成さん。御年74歳です。今日は地元津別町からのリモート参加です。こんばんは。

(大西)
こんばんは。大西です。よろしくお願いします。
(瀬田)
よろしくお願いします。ご無沙汰しております。私は今年1月、NHK北海道の夕方のニュース情報番組「ほっとニュース北海道」で津別町を訪れまして、このラジオの前回第1回のゲストである中西拓郎さんが代表を務めている「ドット道東」という団体があるのですが。その人たちが作ったアンオフィシャルガイドブックの製作舞台裏のロケで、まさにシゲチャンのもとにお邪魔してお話を伺ったわけなんですけれども。今回の番組でもその時に続きまして、ニックネームのシゲチャンと、すでにお呼びしていますけれども呼び続けても良いでしょうか。
(大西)
ええ、あの、続けてください。
(瀬田)
すみません(笑)。シゲチャンはニューヨークや東京の第一線で活躍をしてきたイラストレーターであり、造形作家でもあります。しかし50歳でふるさと・津別に戻ると牧草地を切り開いて手作りの美術館「シゲチャンランド」をオープンさせました。それ以来地域に根ざしたアートを生み出し続けています。そんなシゲチャンへのファーストクエスチョンも皆さんと同じ、なぜこの曲を選んだのでしょうか。
(大西)
そうですね。今から30年前ぐらいからずっと、大体毎日のように聴いてるんですけど。朝起きて寝ぼけた頭も、これをかけると少しずつ気分がリセットされて、いろんな今日やることとかその辺がね、自然に頭が目覚めてくるっていうか。そういう儀式的に使ってます、この曲は。
(瀬田)
なるほど。朝のルーティーンとして聴いているというこの曲。確かに勢いよく起こされるんじゃなくて、静かに体の中の1つ1つの細胞を起こしてくれるような心地いい音楽ですよね。
(大西)
そうですね。大好きな曲です、ほんとに。
(瀬田)
このあとも引き続きよろしくお願い致します。こうした3人をゲストにお迎えして今夜お届けしていく北海道ピットインラジオ。年齢も職業もお聞きいただいたようにバラバラの3人ではあるんですけれども、共通点もあります。それは都会を知った上でローカルを選び、そして北海道に住む決断をしたということです。
(佐藤)
ラジオをお聞きの皆さん、3人からどんな話を聞いてみたいでしょうか。ご意見や質問はTwitterでも受けつけています。いただいたツイートは私と瀬田アナウンサーがリアルタイムで見ておりまして、話を広げたり深めたりする時にご紹介していきます。ぜひ皆さんの声をお寄せください。お待ちしています。
ではまず3人の皆さんがどんな活動をしているのか、そしてローカルにどんな可能性を感じているのか、お話伺っていきましょう。
(瀬田)
この番組の原点にあるのは、「北海道には、ある。」というキャッチコピーです。この言葉は北海道の各地で暮らす3人、十勝の浦幌町 古賀詠風さん、帯広市の青坂さつきさん、そして道北上川町の絹張蝦夷丸さんが「#札幌discover」というハッシュタグとともに発信したキャッチコピーです。
北海道にあるさまざまな資源や可能性を再発見しようと呼びかけるためにつくられました。今夜お招きしているゲストの皆さんの生き方のなかで、この「北海道には、ある。」という呼びかけに対する考えですとか、答えを探っていきたいなと今日は思っています。
(佐藤)
では早速まいります。まず、トップバッターは安平町の河嶋さん。「あびらぼ」という公営塾を運営しています。キャッチコピーは「教えない放課後教室」ということで、塾なのに教えないってどういう塾なんですか?
(河嶋)
ありがとうございます。一般的な公営塾であれば、学校の授業の補習をしたり、受験指導を行ったりすることが普通なんですけれども、「あびらぼ」ではいわゆる勉強をしていないということで、教えない、です。ひと言で言うならば、子どもたちがなんでもない日常におもしろフィルターをかけられるように、日々活動を行っています。
(瀬田)
おもしろフィルターをもう少し具体的に言うとどういうことなんですか。
(河嶋)
ひと言で言うと、視野を広げるということです。活動内容の1つに「探究授業」というものがあるんですけれども、これは音楽、スポーツ、アート、ファッション、お金といった身近なテーマをいつもと違う視点から深掘りして見える世界を広げ、より面白くすることを目的として行っています。この授業を通して、先ほどお伝えしたなんでもない日常におもしろフィルターをかけてほしい。例えば、日々似たような毎日を過ごしていると、「何もないや、この田舎」みたいな退屈な気持ちになることもあるかと思うんですが、それが「身の回りの世界にはこんなに面白いことがあるんだ」っていうような視点に切り替わって、人生にわくわくできるようになったらいいなと思ってやっています。
(瀬田)
身の回りの物事を使って地域の子どもたちに気づいてもらおうっていうことなんですね。対象の年齢っていうのはどういう子どもたちなんですか。
(河嶋)
はい。対象年齢は小学校4年生から高校生までになっています。
(瀬田)
今、何人ぐらいが学びに来ているんですか。
(河嶋)
そうですね。不定期開催のイベントもあるんですけど、定期開講している週1回の教室に通っている子に関しては30名ぐらいですね。1教室あたり10名くらいでやってます。
(瀬田)
一人一人にどういう発見があったのか、ちょっと具体的に聞いてみたいところでもありますけれども、もう少し河嶋さんのご紹介をさせていただきますね。
道南の森町のご出身です。高校卒業後は東京の大学へ進学して、その後、法務省を経て、全国規模の大手企業に転職。札幌支店で勤めるなど、いわゆる都会での暮らしを続けてきました。
その河嶋さんが去年の春に選んだのが、そういった企業を退職して、地域おこし協力隊として胆振の安平町の教育に関わるということなんですよね。この地域おこし協力隊というのは、自治体からの委嘱を受けて、地域おこしにつながる活動を行う仕事で、最長で3年という期限がある有期契約となっています。つまりは、その3年よりも先はまた自ら新たな道を切り開かなければならないということなんですよね。と言うことを踏まえて考えると、この選択って収入面にしても、そして生活面にしても大きな変化を伴う決断でしたけれども、それでもこの道を選んだのはなぜなんですか。
(河嶋)
そうですね。直接的なきっかけとしては、おととしの北海道胆振東部地震です。
地震の発災2日後に安平町に行って保育ボランティアをしたんですけれども、そこからご縁がつながって、そのあと約半年間、「あびら未来塾」っていう中学生対象の無償の塾をやっていました。
この塾は有志で立ち上げた教室だったので、当初の予定どおり3月で受験を見届けて終了したんですが、その時に出会った子どもたちのキラキラとした瞳が忘れられなくて。もっと自分にできることはないかなと思っていたところに協力隊の募集を見つけて、移住をしたという経緯です。
(瀬田)
迷いはなかったんですか。そのキラキラとした目を見ても飛び込もうと。
(河嶋)
なかったですね。「あびら未来塾」をやっていた半年間、札幌で働きながら週2日、安平町に通っていたんですが、濃厚な日々だったなっていうふうに思っていて。なので、迷いはなかったし、もともと祖母が安平町出身ということもあったので、もしかしたらこれも何かの縁かなと思ったことも後押しになったかなと思いますね。
(瀬田)
やっぱり、その自分のルーツにもつながるこの地域で何か、このタイミングでできないかっていうことが大きかったんですね。
(河嶋)
はい。
(瀬田)
なるほど。実はですね、今回スペシャルゲスト、津別町のアーティスト・シゲチャンに決まったわけなんですけれども、実は、シゲチャンになったのは河嶋さんからのご提案だったんですよね。この機会にぜひ話をしてみたいということだったんですけれども、河嶋さんはシゲチャンとどんなことを話してみたいと思ったんですか。
(河嶋)
そうですね。初めに、シゲチャンのイマジネーションあふれる作品が本当に衝撃的だったということはあるんですが、それに加えて、つくっている作品が廃材とかから出来ている。そういった身近にあるものをどう生かすのかっていう視点がローカルにおける地域おこしにもつながるのかなというふうに思って、今回の企画にぴったりなのかなと。
(瀬田)
ということですけれども、シゲチャン。
(大西)
ええ。ああそういうことですか。いろいろやってますけど、キャリアってこともあるけどね。もうデザイン界っていうか、入ってもう50年、半世紀になっちゃってて。びっくりしちゃうんだけどね、自分でも。
東京にいた頃っていうのはとにかく、もう日本で一番速い表現追っかてけたんだけどね、若い頃ね。でも、だんだんだんだん、競争してるだけじゃつまんなくなって。自分の可能性というのは大体40ぐらいから、先が見えてくるわね、どの辺ぐらいになれるのかなっていうのは。
それの中で、やっぱりもう少しリアルな足元にあるもの、身の回りにあるもの、それを表現として、素材として作品づくりに切り替えたっていうかね。そういうことがありますね。それも今、流木とかね、あの生活の中から出てきた空き缶とか、シカの骨とか、この辺は普通にありますからね。で、そういうものを使って、かれこれもう30年ぐらいですか。あの、まだまだ飽きないという、足元には本当にね、ダイヤモンドが転がってると思ってるんで、今は。
(瀬田)
そういう意味で言うと、あの「あびらぼ」の河嶋さんの「子どもたちにおもしろフィルターを」っていう、こういう取り組みも興味あるんじゃないですか。
(大西)
そうですね。やっぱり、子どもも大事なんですけど、大人の方にも知ってもらいたいのね、本当はね。
子どもって飛びつきやすいんだけど、一番頭の回転が硬直してるのは逆に年寄りだっていうか。あの高年齢の人の方が硬直してるんじゃないかっていうのはあるんで、逆にそういう人たちみんなに見てもらいたいですけどね。
(瀬田)
「あびらぼ」大人版もつくりますか。
(河嶋)
実はすでに、保護者や町民から大人版「あびらぼ」をやってほしいっていう声はよくいただいています。
(瀬田)
じゃあその保護者の皆さん、大人の皆さんにとっても発見が多いっていうことなんですかね。
(河嶋)
そうですね。やっぱり、年を重ねるにつれて凝り固まるっていうのは誰しもがあると思うんですが、だからこそ子どもの発想を目の当たりにした時の衝撃は結構あるのかなと思いますね。

(瀬田)
面白いですよね。アートの話も出てきましたけど、シゲチャン、地域とアートって関連深いものなんですね。
(大西)
やっぱりあの、北海道津別でも特にそうなんですけど、開拓で入って資源をどんどんどんどん使ってきて、衰退に向かってますよね。で、やっぱりね、そこで育たなかったのは、お金を生んだけど、文化が残せなかった。その前にアイヌがいたから、アイヌの文化がありますけど、じゃなくて北海道民のなかで開拓してきた人のなかで、そこからこう、文化っていうか文脈がないのがちょっと、面白くないですよね、僕はね。
(瀬田)
だからこそ、シゲチャンも津別に戻って活動しているっていうところもあるかもしれないんですけれども。そのあたりはちょっとシゲチャンパートの時にまた詳しくお伺いしてみたいななんて思いますけれども。
ゲストの方でもうお一方、ご紹介していきたいんですけれども。続いて、釧路の田辺さんです。
(佐藤)
田辺さんの仕事はブランディングマネージャー。釧路市がおととし開設したビジネスサポートセンターで、地元の企業がブランド力を高めて売り上げを伸ばすためのアドバイスをされています。いわゆるこの経営コンサルタントの業務を自治体が行う、道内では釧路市が唯一で全国的にもまだ珍しいものなんですよね。
どんなお仕事をされてきたのか具体的に教えていただけますか。
(田辺)
はい。私が働いているのが釧路市ビジネスサポートセンターのk-Bizというところなんですけれども、ここは中小企業の方の売り上げアップのための相談を受ける施設です。釧路市の事業者さんが中心となりますが、釧路市以外の方にもご相談に来ていただけます。基本的には予約制で1事業者さん1時間の枠で、いろいろお話を聞きながら売り上げアップのためのコンサルティング、いろいろ知恵出しをしたり、アドバイスをして、さらにそれを実現するための伴走サポートをして、と、とにかく売り上げアップを実現するために徹底的に何でもやる、みたいなそんなところです。
中小企業の経営相談をする場所というと、例えば銀行であったりとか、商工会議所とかいろいろありますが、主に経営改善、例えばコストをどう下げるかだったり、助成金や補助金の申請だったりといったサポートが中心でした。ですが、新しいサービスや商品づくりや、その情報発信など、新しいチャレンジをして売り上げアップを実現するためのコンサルティングをする施設というのはなかったので、同じような取り組みをしている相談所が全国的にも今、増えつつあり、注目されています。
(瀬田)
ただ一方で釧路といいますと、百貨店がずいぶん前に無くなってしまったとか、人口も減っているとか、なかなか厳しい現状についてもよく伝えられている中、ビジネスの舞台として釧路が持っている可能性はどういうふうにご覧になっているんですか。
(田辺)
そうですね。皆さん、釧路は厳しいとおっしゃるんですけれども、実際来てみて、本当に面白い町だなって感じています。もちろん百貨店が無くなったり、空きになっている建物が多いとかっていう話もあるんですけれども、人口でいえば16~17万人、近隣地域も含めると20万人以上が住んでいるので、ひとつの商圏となっているんですね。
例えば、同じく20万人くらいの市や町といっても、それが札幌の近くだとしたら、札幌に買い物に行けばよかったりするので、その町の中に足りないものがあっても生活していけますが、釧路は商圏の中心なので、ある意味そこにあるものが全てなんですね。
ですから、なにか「こういうモノが欲しい」と思ったら、自分たちで用意しなければならない。そんな思いを持って、自分がこれが欲しいとか、この地域にこれがあるべきだみたいな気持ちで、いろいろなことに取り組んでいる方が多いな、と感じます。そういう気持ちで、チャレンジしたいと思う方にとってはチャレンジしやすいというか、チャレンジしがいのある町だなと思います。実際に、本当にいろいろな方が、いろいろなことをやろうと言って相談に来ていただいているので、釧路は面白い町だなと感じています。
(瀬田)
なるほど。その辺ももしかしたらつながるのかもしれないんですけれども、もともとは千葉県の市川市のご出身で、卒業後、東京の大企業で12年間務められて住宅情報誌の副編集長を任されていたと。そんな田辺さんがそうした仕事を辞めてまで釧路に移住することを決めたのもやっぱりチャレンジしがいがあるっていう土地の強さみたいなものに惹かれたってことなんですかね。
(田辺)
そうですね。私はこれまで大企業に勤めていて、日本中をターゲットにするようなメディアをやっていました。そこで、たとえば部数は80万部です、というと、たしかに数自体は大きいんですけれども、本来80万部というのは、80万人の一人ひとりの集まりなはずなのに、大きくなりすぎて顔が見えなくなってしまい、ついつい万人に受ける情報を出すようになってしまったりするわけです。だからなんとなく、「自分は一体誰のために情報を発信しているんだろう」と、よくわからなくなることがあったんですね。
私が編集長をしていたのが、札幌・仙台・広島・福岡で出しているフリーペーパーだったので、各地域に行く機会が多かったんですけれども、それぞれの町で、やっぱり大きな町ではあるんですけれども、地元だけをターゲットにして、顔が見えるサービスや商売をされてる方が多いなと思っていたんで、東京での仕事のような日本の中心から見えない相手に情報を出すような仕事ではなくて、むしろ東京から離れた場所で顔が見える相手と仕事をしてみたいな…という気持ちがどこかにあったんですね。そうした中で、地元の中小企業の皆さんとマンツーマンで話をしながら、その事業者さんの魅力を見つけて、サービスや情報発信のしかたを一緒に考えるというk-Bizの取り組みは魅力的だなと感じた、というのが、東京の大きな会社から移ろうと思ったきっかけでした。
(瀬田)
なるほど。確かに顔が見えるっていう、そのプラスの考え方に転じて釧路の人口であったりとか、その周辺の地域の皆さんの数も考えてみるとすごくいい規模感なのかもしれないですよね。
(田辺)
k-Bizと同じような中小企業支援を行っているセンターの募集は、じつはほかにもいくつか別の地域で募集があったんですけれど、その中でもやっぱり釧路は魅力的だと感じましたね。
(瀬田)
実は今日、河嶋さんも田辺さんに聞いてみたいなっていうことがあるということだったので、ちょっとここで聞いてみましょうか、せっかくなのでね。
(河嶋)
はい。そうですね、「あびらぼ」の活動なんですが、活動内容やその価値を伝えるっていうことに苦戦をしています。なんかよさそうだけど、まずは勉強だよねっていうふうに言われることも多くて。一度「あびらぼ」に参加してくれると、こういう学びも大事ですよねって言っていただけることも多いんですが、このままだと分かる人には分かる、みたいなところで止まってしまうなっていうのが課題感としてあります。
(瀬田)
なるほど。放送に時間の限りがあるのでちょっといつまでもお話ができないんですけども、普段、田辺さんがどうやって相談に応じていらっしゃるのか、そのあたりも含めて、ちょっと河嶋さんのこの悩みと向き合っていただきたいなと思うんですけど。
(田辺)
突然、緊張しますね。
(瀬田)
いかがでしょうか。
(田辺)
そうですね。普段、例えば参加しているお子さんや、通わせている親御さんでもいいんですが、河嶋さんが「あびらぼ」だからこそ、こういうふうな反応があるなとか、こういうふうな結果が出たな、みたいに感じる、印象的なものって、何かあったりしますか。
(河嶋)
そうですね。いくつかあるんですけれど、一番強く印象に残っているのが、もともとシャイな小学生がいて、結構人前でしゃべったり、グループワークしたりするのが緊張してしまうっていう感じだったんですけれども、「あびらぼ」の活動を1年通して続けていくなかで、「あびらぼ」だけじゃなく本当にいろんな活動に参加するようになって。今ではかなり活発に行動しているっていうのがすごく印象的ですね。
(田辺)
皆さん、「あびらぼ」にはどういうきっかけで参加されるんですか。
(河嶋)
先ほどお伝えした「あびら未来塾」の時に来ていて私を知ってて、そのまま来てくれた子どももいますし、あとは親御さんが行ったらどうって勧めてくれたケースもあります。
(田辺)
親御さんはどういうきっかけで「あびらぼ」に興味持つんですかね。
(河嶋)
「あびらぼ」の周知自体は学校にチラシを配ってもらってるので、対象の児童生徒には行き渡るようになってるんですけれども。新しい取り組みなので、すぐに興味を持ってもらうことは難しいですが、学校の学びも必要だけど、それに加えてこういった新しい学びにも取り組ませてあげたいっていうふうに考えている前向きな親御さんが多いのかなと思います。
(田辺)
なるほど。ちなみに普段もこうやって、どういう活動をしているのかとか、どういう方が利用されているのかとか、具体的なお話を聞きながら、事業者さんの強みや独自性といった特徴を見つけていくんですが、いまお話聞いていて、私が「へえ~」と思ったのが、「シャイな子が輝いて、どんどん活発になっていった」っていうことです。
たぶんそういう子って学校の中で目立たないタイプの子だと思うんですよね。すごく勉強ができるとか、スポーツができるとか、面白いことを言うとかじゃなく、教室の中でもあまり存在感がないような。でもそういう子が、あびらぼでの活動を通して、自分のつくるものだったり、その過程だったりに自信を持てたから、自分からなにかを発信できるようになったのかもしれません。であれば、その子がもしOKしてくれるなら、たとえば学校で、あびらぼ発表会だったり、あびらぼアート展示会だったりといった、参加している人の顔と、その人がつくったモノや活動が見える場を企画してみると、こういうのやってみたいな、とか、学校とは違った居場所が見つけられそうだな、みたいに思う人が増えるかなと思いました。学校という場ではなかなかそういう発表会とかはやりにくかったりするものですが、あびらぼさんにはすでに発表できる事例があって、しかも学校にチラシを配ったりしてコネクションがあるっていうのが、こういう取り組みがすぐにできる「強み」だと思います。そうして、見る生徒たちの中に、学校の勉強をする塾だったら嫌だけれども、こういうことだったらやりたいな、みたいに興味持つ人が出てきたらいいですよね。どうでしょうか。
(河嶋)
ありがとうございます。その子も感性が本当に豊かで、それこそ今、物をつくったりって話があったんですが、つくった物を見せてもらうと、すごく独創的で素敵なんですよね。実際に来てくれてる子の声だったり、もしくは親御さんの声というのは響きやすいだろうなって思うので、ご協力いただけないか相談してみたいと思います。
(田辺)
なんか、そういうふうに説明されると、僕自身もその作品、見てみたいです。
(瀬田)
今の田辺さんから「顔が見える」っていうキーワードが改めて出ましたけど、どうでしょう。今日はシゲチャン相談員も津別からリモートで今の話聞いていましたけれども、新しいそうした価値、活動をさらに広めていくためにはシゲチャンはどういう観点で。

(大西)
そうですね。特効薬ってないと思うんだけど。
とにかく時間かかることなんですよね。すぐ結果が求められないと思うんで。僕の場合は例えば津別町でシゲチャンランドって最初に始めて20年になっちゃったんですけど。その前に、たまたま運よくね、道の駅でクマヤキっていうのを売ってて、それが当たっちゃったんだよね。結局、何かシゲチャンランドだけで頑張ってて、ちょっと山間の人が来にくいところでやってたけどね。で、やっぱり周辺に何かそういう点在するものが欲しいなと思ってて、たまたまクマヤキが当たって。
さっき、特効薬がないって言ってたけど、やっぱり1つ1つ積み上げてきた自分のきっかけのものをベースにして、ある程度続けるしかないよね。やっぱり頭の理論じゃなくて、本当に今、全体的に世の中見えてるんだけど、ストーリーとかそういうのはだいたい出尽くしてるかなっていうところがあるんで。やっぱりちょっとこう手で作業したりとか、形に見えるもの、それはこういうことなんだよっていう何かそういうものを形で見せていく。そして納得してもらうっていうか、説得するしかないのかなって気するのね。
(瀬田)
なるほど。シゲチャンは、時間がかかる、時間をかけるべきものだっていうふうなお話でしたけれども、あの何年ぐらいっていう見込みがあるんですか。ある程度っていうのは。
(大西)
え~とね、これ運もあるしね。で、そう言っちゃいられないんだろうけど、まあ覚悟をするしかないですよね。結果出るまでね。あと僕この前、気づいたんだけどね、地方に、こういう田舎に何が足りないかなったら、例えば、かっこいいがないとか。かっこいい・かわいい・楽しい・面白い・おいしいとか。みんな「い」がつくのね。
これが人を動かすものなのかなっていうふうに思ったね。
(瀬田)
「い」が動かすと。かっこいい・かわいい・楽しい・おいしい。なるほど!
(佐藤)
皆さん、メモしてますね。
(大西)
だからそういう要素が本当に、こういう地方には足りないんじゃないかなっていう、それを本当につくり上げていくっていうか発見して、みんなで形にしていくしかないんで何年とは言えないんじゃないかなって気がするなぁ。
(瀬田)
そういう意味で言うと地域おこし協力隊って3年っていう1つの有期契約があるじゃないですか。3年って結構短いですね、そう考えると。
(大西)
無茶ですよ、これ。やっぱり5年か10年ぐらいの長い目で見てくんないと。その辺、やっぱり、各行政も国からのあれなんだけど、もう少し長いスタンスで本当に地域・地方の、何か元気になってもらうんだったら、それぐらいの時間というか猶予を持たさないと。日本の場合どうしても桃栗三年柿八年の3年でくくっちゃうところがね、ちょっと問題だなって気はしますけどね。
(瀬田)
確かに地域で活動していくってことを考えると3年っていうと短いですよね、きっと。
(河嶋)
そうですね。地域で活動するっていうこともそうですし、私が取り組んでるのが教育の分野なので、結果が出るまでの時間はかなりかかるだろうなと覚悟しています。
(瀬田)
どうですか。でもこの2人の強力な相談員からのアドバイスありましたけれども。
(河嶋)
先ほどの「い」が動かすっていうこともそうですし、田辺さんがおっしゃって下さった実際に来て下さってる方の声をどんどん発信していくっていうことは、地域で活動している身として、内に閉じるのではなくて、どんどん外に開いてやっていきたいなっていうのをすごく思いました。心強いです。
(瀬田)
いや楽しみですよね。こうしたアドバイスも含めてどう大きくなっていくのかっていうところもね、また新しい注目すべきポイントができたので、私たちもうれしい時間でした。ありがとうございます。
(佐藤)
Twitterからも、吉田貫太郎さん「生相談タイムだ」ですとか、菊池百合子さん「顔が見えることで初めて自分事になるよね」なんて投稿もいただいていますね。
(瀬田)
「形にしていくしかない、なるほど」っていうメッセージも届いてますね。
はい、ここでちょっと音楽をお聴きいただきましょう。
(佐藤)
シゲチャンがレコードジャケットをデザインしたアルバム坂本龍一&カクトウギ・セッションのサマー・ナーヴスよりアルバムタイトルにもなっていますサマー・ナーヴスです。
(瀬田)
今日のゲストの皆さんを順番にご紹介していますけれども、最後はシゲチャンこと大西重成さんの活動をご紹介しながら、地域で活動を続けていくためのヒントというのを探っていきたいと思います。
(佐藤)
はい、シゲチャンを語るうえでアート作品は欠かせません。でも言葉だけで説明するのはとっても難しいんです。そこでスタジオではシゲチャンランドの公式ホームページを見ながらお話を伺っていきます。シゲチャンが津別町の牧草地を切り開いて作った手作りの美術館のホームページなんですが、ラジオをお聞きの皆さんもお手元にホームページ見られる端末がありましたらぜひですね、アルファベットでshigechanland.comでページ検索してご覧になって下さい。
(瀬田)
実際このページね、まず目に飛び込んでからのトップページの、この赤いラインの上にあの小さな字で書かれているこの言葉かなと思うんですよね。
「ナニカガジット生キテイル、アフレルヨウニ其処ニイル」ということですけれども、シゲチャン、ここに込めた思いってどういうことなんでしょう。
(大西)
これ、実は知り合いのコピーライターが考えてくれたんだけど、とりあえずランドをつくり始めた頃に彼が来てくれて、やっぱりこの絶対的な物量と森羅万象の作品たちがあるんで、だから何かがじっと生きてる、あふれるようにここにいるっていう彼が考えてくれたっていうことだと思うんですけどね。
(瀬田)
なるほど。確かに作品がね、本当に今2000を超えてるんですか。
(大西)
いやあのね、もう自分で数えるのアホらしくなったんでやめちゃってて、でまあランド自体がもう1点だと思ってもいいのかなと。で、まだまだ増殖し続けているわけで。
(瀬田)
実際ギャラリーも具体的にクリックして見てみたいなと思うんですけれども、
今出てきましたね、ギャラリーというタブを押しますと数々の作品が出てくるわけなんですけれども、ちょっとこれを田辺さんと河嶋さんにも少し覗いていただきながら、もう少しシゲチャンを紹介していきます。
高校卒業と同時に津別を離れてニューヨークや東京でアートを勉強していきました。そして30代から40代の頃は主にイラストレーターとしてジャズピアニストのハービーハンコックですとか、あと先ほど音楽をお聴きいただきました坂本龍一さんのレコードジャケットなどもデザインをしてきました。
そのシゲチャンが50歳で決意したのは、この津別に戻るということだったんですね。であのホームページに載っている作品が、何れもその津別で生み出してきたものということなんですけれども、あの何かこう印象深く、目にとまるものってありますか。
田辺さん、実は本もお持ちになってシゲチャンランドの作品集を見ながら今お話聞いて下さってましたけど、なにか気になるものってありましたか。
(田辺)
ホームページでいうと、月と一緒に枝が足のように出ている作品、これはすごく気になりました。僕はこのあいだ「シゲチャンランド」に遊びに行ったんですが、置いてある作品を見ていると、ホームページのキャッチコピーにあるように、枝や廃材などでつくられているはずなのに、もともとこういう形をした生き物かのようににしか見えなくなるんですよね。こちらの作品も、今にも動き出しそうなものなんだろうなという雰囲気を感じて、とても気になりました。

シゲチャンランドHP(shigechanland.com)より

(瀬田)
シゲチャン、これはあの今ちょっとホームページ上で作品名とかが出てきていないんですけれども、どういうタイトルで…。
(大西)
これちょっとタイトルはつけてないんですけど、確かね、今度美術の中学校の教科書に載るはずなんですが。これ頭はね、やしの実なんですよ。下は木がランドの裏側にね、あのくるみの木がたくさんなってるんですよ。
その木をね、あんまりにも増えすぎてちょっと切った木の枝なんですよ。
(瀬田)
あ、そうなんですか。
(大西)
それをやしの実と、くるみの木を逆さまにしてくっつけて、でまあ、相生という地区に僕住んでるんですが、その上の高台の雪原の上で撮った写真ですけれども。これはね、あの自分が写真撮ってたんですけど、ちょうどあの夕日が落ちる時間をちゃんと見計らって、1日前からね、でそれを落ちる時間をここまで来たなっていうところでシャッターを押した。本当に撮っててもね、人っこ周り全然誰もいないし狐もいないし、いやほんと地球の一部、本当に宇宙の一部なんだなって言うのが実感できた。風もね寒さもね、たまんなかったですよこれは。快感ですね。
(田辺)
説明をお聞きしていると、この生き物が生きている星を撮影したみたいに見えますね。
(大西)
そうなんですよね。だから、つくってまた外で撮影するっていうのは、2つの楽しみなんで。撮影したら翌年の春はランドの中に展示するというね。
(瀬田)
本当にそのストーリーも教えていただくと、この写真もまた1つの作品として見えてきますし、何かこうやっぱりアートって、人のなんて言うんでしょうね、深いところをくすぐってくるというか、いろいろ考えさせられて面白いですね。
(大西)
だから僕はアートって、まあいろいろ人によって定義があると思うんだけど、やっぱりよく分かんないけど面白いねとか、よく分かんないけど気になってしょうがないっていうのが一番、僕が求めるところではありますね。分かっちゃったらつまんないですからね。つくる必要が無いですからね、答えのあるものは。
(瀬田)
なるほど。
(田辺)
僕もシゲチャンに一つお聞きしていいですか。
(瀬田)
はいどうぞ。
(田辺)
この作品は枝とやしの実をくっつけてつくられたということなんですが、僕は事業者さんと話をしながら意識しているのが、その事業者さんが持つキラリと光るものはなんだろう、というのを見つけることなんです。これは、k-Bizのモデルになった中小企業支援センターをつくり上げた小出宗昭さんがいつもおっしゃっている「必ずどんな会社にも光るものがある」という言葉を受けてのことでして、日々それを見つけようと頑張ってるんです。シゲチャンは、作品づくりの過程でひとつひとつの枝だったり、やしの実だったりが「こういう形の足をして、こういう頭を持った生き物だ」と、パッと見えてくるとおっしゃっていますが、どういうふうに素材の魅力を見つけ出して作品が出来上がっていくのか、すごく興味を持っていまして、そのあたり教えていただけけませんか。
(大西)
たまたまなんだけど、まあでもやっぱりね、あのこれ木切ってからも恐らく数年寝かせてるんですよ。素材同士がくっつけてくれっていうのは、まあ僕ちょっと怪しい話だけど、常に気になっていつも置いてるんですよね。ついに、あのそろそろつけてくれよっていうあの信号を送ってくるんですよ。
僕はだからつくってるっていうより、つくらされてる感じがしちゃって。その時が来るのを待つっていうのもあります。
(瀬田)
共にそこで生きているからこそ感じられる、そのメッセージなのかもしれないですよね、こうやってお話伺うと。1つキーワードがあったなと思って、「よくわからないけど気になる」って、それはアートの魅力ではあると思うんですけれども、一方で皆さんが各地域で取り組んでいらっしゃることって、地域の皆さんに理解してもらうっていうこともすごく大事なような気がするんですよ。
活動としては理解をしてもらう方がその地域で、より広まっていくんじゃないかなという風にちょっと思ったんですよね。そこでぜひ皆さんにお伺いしたいのは、地域とのそのギャップを、じゃあどう埋めていくのかっていうことなんですけれども、どうでしょう、シゲチャンは地域とのギャップって先ほどもお話出ましたけど、どう埋めて来たんですか。
(大西)
いや埋まらないですよ、これ。
ですから何だろうな。とにかく最初、共感者っているはずなんですよ。その次にまたそれに興味ある共感者っているんですよ。
だからそれをこうじっくり広げていくしかなくて。やっぱり10人が10人同じものに興味持つわけないですよ。小さい頃よくクラスの中で目立ったことするやつがいるんですよね。それに取り巻きが必ず2、3人いるんですよ。
それが動きだすと、またその下がついてくるんですよ。だからあんまりいろいろ考えないで、これどうだっていうおもしろい遊びをとにかく形にしたやつが何か呼んでいくのかなって感じがするんだけど。それが波紋のように広がっていくっていうか。
だからあんまり仕組みを考えない方が、それだったら自分のつくりたいものとか面白いと思うことを目いっぱいやった方が、それで人に見てもらうとか、その方が伝わりが早いんじゃないかなって気はしますよね。
(瀬田)
なるほど。理解してもらおうと思うことが先にたっちゃうと結局狭い世界にいっちゃうとか、結果的に悪い方に作用してしまうとかね、誤解を生むってことも確かにあるかもしれないですよね。
どうでしょう、去年6月に安平町で教えない放課後教室「あびらぼ」を立ち上げた河嶋さん、うんうんと深くうなずきながら今お話伺ってましたけれども、地域の理解って今どうですか。
(河嶋)
地域での理解や認知度っていうのは少しずつ上がってきているのかなと思うんですが、今タイムリーで力を入れていることとして、学校との連携があるんですよね。
「あびらぼ」では勉強はしませんとは言ってるんですけど、もちろん学校の勉強が不要っていうことではなくって、子どもたちの学びの中心である学校と「あびらぼ」が連携したら何か面白い化学反応が起こるんじゃないかなって考えてる自分がいるんです。
なので、今年の夏から町内の小中高校に顔を出させてもらって、いろんなお願いだったり、提案だったりをさせていただいているんですが、結構一筋縄ではいかないこともあって。ただその中でも1歩ずつ、先ほどシゲチャンからも1つ1つ積み上げるって話があったと思うんですが、そういった対話を重ねたことで、2か月たって結構関係性っていうのも変わってきたなっていうふうに思うので。何をやってるか分かりにくい「あびらぼ」だからこそ苦労する部分は多いんですけれども、焦らずじっくり土壌をつくっていけたらな、って思っています。

(瀬田)
その1歩1歩その確実に積み上げていくっていう意味で言うと、釧路に来る以前から性的マイノリティー・ゲイであることを公表してその多様性を認める社会をつくろうと、田辺さん、積極的に発言をされてきましたけれどもどうでしょう。その周囲とのギャップを埋めていくっていう意味では、ご自身の経験の中でヒントになりそうなことってありましたか。
(田辺)
河嶋さんが今おっしゃったなかで「化学反応」って言葉があったんですけど、ギャップって埋めない方が面白いかなって思ってます。なので私は、東京から来た「よそ者」ということを大事にしようって思っています。
例えば釧路に来てから「釧路って何もないんですよ」っていう方が多いんですが、話を聞いていると、釧路では普通のものが、外から見たらすごく独特で、「めっちゃ面白いじゃないですか」ってものがちょくちょくあったりします。僕自身は、前の会社ではゲイだということを公表していたのですが、たとえば異性同士のカップルなら結婚すると婚姻休暇がもらえるのに、ゲイカップルだと結婚も出来ないから長く付き合ってるのに休暇がもらえなくてずるい、なんて話をストレートの人と話していたら「そういうことって気づかなかった。でも人事制度変えればできるんじゃないかな」といって、本当に同性カップルのパートナー制度ができて、婚姻休暇をもらえるようになったことがありました。立っている場所の違いによって、無意識だった違い、ギャップ、みたいなものが明らかになるんだと思うんです。それがわかったら、今度はそのギャップに橋を架けられたら、新しいなにかが生まれる。そういうふうに、歩み寄ったりとか、違いに目を向けて話を聞いたりすることで新しい発見があるっていうのが、ギャップがある面白さだと思うんですよね。そういう発見を広げることが「多様性」だと思います。だから、ちょっとかっこよく言うと僕は、釧路の「異物」というか「違和感」というか、あくまでよそ者であるということを強みにして、客観的な目であったりとか、比較の目であったり、そういうものを提供する役割ができたら、なんてことを思ってます。
(瀬田)
けれど一方で、ある種よそ者というか異物っていう表現されましたけれども、そうした立場を常に保ち続けるというのも実は大変なことでもあるんじゃないかなと。
(田辺)
本当にそうですね。すごくそれは感じます。ただ異物なままじゃだめなので、地元の人と腹を割って話ができるようになったり、地元の肌感を表現できるくらい釧路には馴染んでいきたいし、一方でよそ者としての目が濁らないように、いろいろなものに情報のアンテナを張りつづけていく、と言うことは大事にしたいなと思ってはいます。
(瀬田)
面白いですね。私は勝手にギャップってやっぱり埋めていって1つになっていく方が馴染んでいくのかなと思ったんですけど、皆さんそれぞれ、それもあってしかるべきものだから、いい距離感というかご自身のそれぞれの距離感を保つっていうことが1つの答えだっていうのをすごく発見だったなと思って。河嶋さんどうですか。今対話をまさにしている途中ですけれども、今の話どういうふうに聞きました。
(河嶋)
そうですね。やっぱりみんなそれぞれ得意不得意だったり個性がある中でも、ゴールは一緒っていうことってあると思うんですよね。例えば学校との話でいくと、子どもたちによりよい学びを届けたいっていうゴールはたぶん同じだと思うので、そこに向かうやり方として、それぞれの得意だったり個性だったりを化学反応を起こさせて新しいものをつくっていけたら、すごくハッピーなことなのかなっていうふうに思いますね。
(瀬田)
シゲチャン、番組が始まって気がついたら残り2分を切っておりまして。どうですか。今までここまでお話皆さんと深めてきて、まだまだ語り足りないと思うんですけれども、ただやっぱりこれだけはみんなと共有しておきたいなって、今何を今考えてらっしゃいますか。
(大西)
僕も田辺さんの話にありましたけど、やっぱり異邦人でありながら地元民でもいたいんですよね。どっちにもなりたくないんですよ。両方のバランスをどれだけとれるかっていうのはやっぱり自分をかなり意識的に捉えていないとどっちにも流されちゃうんで、そういたいものですね。異邦人の目は常に残しておきたいなと思ってます。
(瀬田)
なるほど。そのやじろべえ的なバランスをとりながら地域で生きるって、実は一番面白いかもしれないですね、いろんなものが見えて。ちょっともう時間も限られてますけどTwitterなどきてますか。
(佐藤)
きてますね。「面白いと思うものを形にしてギャップは埋めずに共感の溝を埋めていく、そういう精神が大事ですね」っていうことですとか、「シゲチャンかっこいい!」っていうツイートもやっぱりきてますね。「50歳で津別に戻って今年でランド20周年がかっこいいな~。続けることの重み」ですとかいただいてますよ。
(瀬田)
今夜お迎えしたゲストは安平町教えない放課後教室「あびらぼ」河嶋愛基さん、そして釧路市のビジネスサポートセンターの田辺貴久さん、そして津別町のアーティスト・シゲチャンこと大西重成さんでした。皆さんありがとうございました。
ちょっとあっという間でね、語り足りない部分もありますけれど、また今後も開いていきたいと思いますので、本当にありがとうございました。

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ラジオの「ほぼ全文」書き起こしは以上です。
ご出演いただいた皆様、お聴きいただいた皆様、本当にありがとうございました!
今回ご出演いただいた“シゲチャン”こと大西重成さんのアフタートークも近日公開予定です。お楽しみに!


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