名寄市出身の村中虹介さん(18)。スノーボーダーとしてプロ資格を持つ村中さんは、看護師も目指しています。二刀流にかける村中さんに密着取材しました。 (旭川放送局 海野律人)
きっかけはある出会い

プロスノーボーダー、村中虹介さんが得意とするのは、滑走途中で1度だけジャンプしその完成度を競う「ビッグエア」です。トップ選手が競い合うプロの全国大会に出場して、入賞を目指しています。小学2年生のころから、プロを目指していた村中さん。板一枚で空を飛ぶ魅力にひかれました。
しかし、病に悩まされます。立っていられないほどの立ちくらみや、突然、倒れ込んでしまう起立性調節障害で、小学4年生のとき、3週間以上も入院しました。村中さんは、「スノーボードをしているときに症状が出たら大変。競技を続けられなくなるのが怖かった」と振り返ります。
そんなとき、励ましてくれたのが担当の看護師です。村中さんのつらい気持ちに真剣に耳を傾けてくれました。「自分がどれだけつらいか、同じ立場になって考えてくれた。共感してくれてとても安心した」。村中さんは、看護師からもらったパズルの手書き説明書を今でも大切に持っています。

この出会いが村中さんを二刀流に導きました。村中さんは「それまでは『プロスノーボーダーになりたい』という夢だけだったが、『看護師になりたい』という夢もできた。勉強とスノーボードの両立を頑張ろうと決めました」と話します。
二刀流へステップアップ
退院後、練習を再開した村中さん。中学1年生から毎年、大人にまじって全日本選手権に出場してきました。そして迎えた高校2年生の3月。大会で縦2回転に横3回転半の大技「バックサイドダブルコーク1260」を決めて2位に入り、念願のプロ資格を手に入れました。

次は看護師です。高校3年生になると練習量を4分の1に減らして勉強に集中し、この春、旭川市にある看護学校に合格しました。村中さんはいま、3年後の国家試験に向けて日々、勉強を続けています。そして勉強の合間にスノーボードの練習を続け、プロ資格をつかんだ技を超える縦3回転に横4回転の「バックサイドトリプルコーク1440」の習得に励んでいます。
目指す二刀流の姿は…

プロスノーボーダーと看護師。村中さんは二刀流を磨いて、かつて自分が受けた“恩”を返したいと考えています。「病気で不安になったり、心細かったりする子どもたちに、僕が冬、スノーボードをする姿を見てもらい、子どもたちに勇気を与えられる看護師になりたい」。村中さんの二刀流にかける思いです。
2022年5月6日 記者 海野律人