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JR留萌線 段階的廃止で地元自治体とJRが合意 石狩沼田~留萌は来年3月末廃止

ほっとニュースweb

2022年8月30日(火)午後8時07分 更新

JR北海道から段階的な廃止が提案されていた留萌線について、沿線の自治体の首長とJR北海道の社長が8月30日に会談し、提案どおり石狩沼田駅と留萌駅の間を来年3月末で廃止し、残りの深川駅と石狩沼田駅の間は2026年3月末で廃止することで合意しました。

JR北海道は7月、深川駅と留萌駅を結ぶ留萌線について、石狩沼田駅と留萌駅の間を来年3月末で廃止し、残りの深川駅と石狩沼田駅の間は通学で利用する高校生が多いことに配慮してその後、3年間は存続させて2026年3月末で廃止する案を沿線の4つの市と町に提案しています。
30日、留萌市で沿線の自治体の首長とJR北海道の綿貫泰之社長が会談しました。
会談では人口減少が進む中で廃止は受け入れざるを得ないなどとして、提案どおり段階的に廃止することで合意しました。また、▼深川駅と石狩沼田駅の間の鉄道の運行費用と折り返し設備の費用はJRが全額負担すること、▼鉄道廃止から最大で18年間分、代替交通への支援をJRが行うこと、▼JRから各自治体に対し7000万円のまちづくり支援を行うことでも合意しました。

鉄道を廃止してバスに転換するうえでのJRからの支援策や、鉄道施設や用地の処理などについて協議を続けていくことでも一致しました。
JR北海道は今後、国土交通省に対して留萌線の廃止を届け出ることにしています。
JR北海道は、2016年(平成28年)に特に利用者が少ないとして廃止にする意向を示していた5つの区間のうち、留萌線を除く4つの区間はすでに廃止しているか、廃止になることが決まっています。
今回、地元とJRが留萌線の段階的な廃止で合意したことで、5つの区間すべてで廃止が決まりました。

廃止合意について沿線4自治体は

廃止の合意を受け、留萌市の中西俊司市長は「市民からはできれば残してほしいという多くの意見をいただいた。しかしながら、いままでの社会情勢を含めて考えていくと、今がいちばんの決断の時ではないかと判断した」と話していました。

深川市の山下貴史市長は「留萌線はできるものならば残したかったという強い思いはある。しかし、社会情勢を考えると、JRの提案を受け入れるのはやむをえない選択肢だと思っているところだ」と話していました。
沼田町の横山茂町長は「留萌線という財産を残したかったのが正直な気持ちであり無念だ。ただ、本日をもって合意をしたからには、新たに3年後を見据えたまちづくりを町民とともにしっかりと頑張っていきたい」と話していました。

秩父別町の渋谷信人町長は「JRとは、通学に利用している高校生のケアはしっかりしてもらうという約束をした。これから廃線の3年後に向けどういったまちづくりができるのか町民と検討したい」と話していました。

JR北海道社長「代替交通に可能な限り支援」

JR北海道の綿貫泰之社長は沿線自治体と合意したあと自治体の首長に対して、「留萌線は100年以上の長きにわたって地域の重要な交通手段として利用していただいた。沿線自治体にとって苦渋の決断をしていただいたことを重く受け止め、代替交通やまちづくりに対して可能なかぎりの支援をしていきます」と述べました。
その後、行われた記者会見で、綿貫社長は「地元から要望が出ているとおり高校生が通学で使うことに十分配慮し、旅行者などにも接続などで不便にならないようにするなどバスなどの今後の交通体系についても引き続き協議していきたい」と述べ、鉄道廃止後の地域の交通体系についても協力していく考えを示しました。


石狩沼田駅の利用者は

JR留萌線の段階的廃止について、沼田町にある石狩沼田駅の利用者らからは、鉄道が廃止されたあとのバスの運行ダイヤや料金など利便性の向上を求める声が聞かれました。
深川市の高校に通う3年生の男子生徒は「高校卒業後は、深川市にある看護学校に進みたいので、できれば列車を残してほしい。バスに代替されるなら、下校時間に合わせるなど利用しやすい運行をしてほしい」と話しました。
また、同じ高校に通う女子生徒は「バスにかわってもしかたないと思う。バスの便数がたくさんあっていまの定期代と同じぐらいの料金で利用できるならバスでもいい」と話していました。
一方、車を持たない70代の女性は「夫婦で深川の病院に月1回通っているが、バス料金がJRよりも高いので出費がかさむと困ります。バスの運賃がどうなるか心配です」と話していました。


JRが廃止の意向示していた5区間 すべて廃止決定

JR北海道は6年前の2016年(平成28年)、利用者の数が特に少ない13の区間について「単独では維持することが困難」と発表しました。
このうち、▼日高線の鵡川・様似間、▼根室線の富良野・新得間、▼学園都市線の北海道医療大学・新十津川間、▼石勝線の新夕張・夕張間、▼留萌線の深川・留萌間の5つの区間については廃止する意向を示していました。
これまでに留萌線を除く4つの区間ではすでに廃止しているか、廃止になることが決まっていて、今回、留萌線の段階的廃止が合意されたことでJRが廃止の意向を示していた5つの区間すべてで廃止が決まりました。
また、「単独では維持することが困難」とした区間のうち残りの8つについてはJRが地元や国に費用負担を求めていて、JRが収支の改善を図るための「アクションプラン」を策定し、沿線の自治体と利用促進やコストの削減に取り組んでいます。
昨年度からの3年間で1302億円に上る財政支援を行った国からは、来年度中に「アクションプラン」の成果について「総括的な検証」を行い「今後の方向性」を示すよう求められていて、今後、JRが維持するとしているこれらの8つの区間について、地元や国と協議しながら費用負担を含めた路線維持の仕組みをどのように示すかが焦点になります。


留萌線の歴史

JR北海道によりますと、留萌線は、官設の鉄道として明治43年(1910年)、当時漁が盛んだったニシンや沿線で採掘された石炭を運ぶため、深川と留萌の間で開通しました。(※「留萌」は現在の表記)

大正10年(1921年)には増毛まで延伸され、昭和40年代にはブリキの箱で行商の魚を運ぶ「ガンガン部隊」と呼ばれる女性たちなどで多くの利用がありました。国鉄時代は、石狩沼田まで札幌からの札沼線が延びていて、留萌線と接続していた時期もありました。また、国鉄時代には留萌線から札幌や旭川へ直通する急行列車も運行され、昭和62年(1987年)のJR発足までは留萌からさらに北、日本海沿いに宗谷線の幌延に向かう羽幌線も運行されていました。
しかし、鉄道が主役の時代は終わりを告げます。
昭和40年代以降、マイカーの普及や沿線の過疎化などから利用者数は年々落ち込んでいきました。沿線では深川留萌自動車道が整備されて札幌への高速バスも走るようになり、深川・留萌間の1日の平均利用者数は、1キロあたりで、昭和50年度(1975年)は2245人だったのが、令和2年度(2020年)には90人と大きく減少しました。

平成28年(2016年)にはとくに利用者が少なかった留萌と増毛の間が廃止され、現在、留萌線の利用は通学に使う高校生が中心となっています。
留萌線は、映画やテレビドラマでたびたび登場しました。昭和56年(1981年)に公開された高倉健さんが主演の映画「駅 STATION」では、増毛駅や留萌駅が登場しました。増毛駅は鉄道が廃止されて6年近くになりますが、開通当時の姿に復元された駅舎は映画ファンが今も多く訪れています。また、平成11年(1999年)放送のNHKの朝の連続テレビ小説「すずらん」では、恵比島駅の場所に架空の駅「明日萌駅」が登場しました。ドラマの撮影で蒸気機関車が使われたことにちなんで、JR北海道は深川と留萌や増毛を結ぶ「SLすずらん号」を平成18年(2006年)まで運行していました。
留萌線の廃止で、振興局単位でみた場合、桧山、日高に続いて留萌地方は地域から鉄道がなくなることになります。

廃線後の交通体系は?

留萌線沿線の4つの自治体のうち、廃線の影響がとくに大きいとみられるのが沼田町です。沼田町内には高校がなく、町の高校生の多くは鉄道を乗り継いで旭川や滝川などの学校まで通っています。留萌線の廃止により通学手段はバスだけになり、不便になるのではないかと心配する町民が多くいます。
影響は高校生だけにかぎりません。留萌と旭川や札幌を結ぶ都市間バスは秩父別町や深川市を経由しますが、沼田町内は通りません。留萌線がなくなることで、沼田町だけが都市部を結ぶ交通網から切り離されるのではないかという懸念もあります。
JRは、留萌線廃止後にバス輸送に転換する意向を示していて、鉄道のかわりとなる交通手段に対して最大18年間、財政支援を行います。

来年3月の留萌・石狩沼田間の廃線が近づくなか、自治体は検討を急いでいます。
沼田町は、留萌側にある恵比島駅と石狩沼田駅の間で、現在のJRの運行本数と同じ頻度で町営バスや乗り合いタクシーを運行します。また、留萌に向かうバスに乗れるよう石狩沼田駅とバス停留所がある北竜町の碧水とを結ぶ乗り合いタクシーを運行して、利便性を向上させたい考えです。
また、留萌市では、深川市を経由して旭川に向かう現行のバス路線「留萌旭川線」の維持や、深川・留萌道と道央道を通って旭川に向かう高速バスの新設などを検討しています。

留萌・石狩沼田間の廃止は7か月後。時間的な猶予がないなか、一部の自治体は代替交通の検討を進めています。ただ、人口減少が進むなか、利用者が減り経営状況が厳しいのは鉄道もバス事業者も同じです。自治体側が求めるバスの運行ルートや本数を本当に確保できるのか。今後の協議では、難航することも予想されます。自治体やJR、バス事業者には、廃止に不安を持つ地域の人たちが受け入れられる形で、今後の交通体系を構築していくことが求められています。


取材 旭川放送局・海野律人 留萌支局・土田史世
札幌放送局・波多野新吾 滝川支局・越後弘

▼留萌線 最近の動き
8月28日 
JR留萌線 段階的廃止受け入れ最終調整 30日にも合意見通し
8月5日  深川市 JR留萌線の段階的廃止案を住民に説明
8月4日  
JR新社長“鉄道維持する仕組み作り 国や道、地元と協議”
7月21日 JR留萌線2段階で廃止 4市町に提案 沼田まで3年間存続も
7月16日 
JR留萌線 沿線自治体が来春にも石狩沼田ー留萌間の廃止検討
7月13日 JR北海道 綿貫泰之新社長が就任後初の記者会見

▼根室線でも廃線の動き
JR根室線 富良野〜新得廃止へ

道北地方の詳しい情報は NHK旭川放送局ホームページ


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