旭川と網走を結ぶJR石北線は、JR北海道が「単独での維持は困難」としていて存続が危ぶまれています。
こうした中、石北線を通学で使う地元の高校生たちは、今後利用する世代の子どもたちを対象にしたツアーを企画。7月24日から始まるツアーに込められた高校生たちの思いとは・・・。

JR石北線の現状
旭川と網走を結ぶJR石北線では、利用者の減少が続いていて、JR北海道が「単独での維持は困難」として存続が危ぶまれている路線のひとつです。
沿線では、利用の促進に向けて特急列車で車内販売などを行ってきましたが、新型コロナウイルスの影響で今年度のスタートが当初の予定より遅れるなど取り組みは思うように進んでいません。
こうした中、石北線の利用の促進や、存続の機運の向上を目指して地元の北見北斗高校のクイズ研究会の部員たちは、沿線自治体の北見市などと夏休み中の小学生が対象の石北線を使ったクイズツアーを企画しています。

研究会の1人、2年生の沢田翔さんも通学で毎日石北線を利用していて、乗客の少なさに寂しさを感じています。
北見北斗高校 沢田翔さん
「昼過ぎは誰も乗っていない時もあり、それを見るとやっぱり寂しいです。自分にとっては車中で作業していても酔いにくいのがよくて、毎日使っているかけがえのないものです。JRはいいところもあるんだなと気づいてもらって少しでも多く利用してもらいたいです」

ツアーの企画で町を探索する部員たち
ツアーが始まる1か月前、沢田さんたちは、北見市内の留辺蘂駅に降り立ち、クイズに盛り込むための地元ならではの場所を探して駅の近くの公園などをめぐりました。
そこで見つけたものは…。

郵便局の前に置かれていたポスト。この郵便局が郵政150年を記念して独自にラッピングした「ラッピングポスト」でした。
町内ではここにしかない、地元ならではの場所を発見しました。
このほか沢田さんたちは、町の至る所で使われていた木の看板も発見。
地元ならではのものを探しながら、色や数字に着目して子どもにわかりやすいようなテーマや内容を考えていきました。

若い世代が取り組む利用促進に市も期待
いっしょにツアーの企画に携わった北見市も、若い世代が取り組む利用促進に期待を寄せています。
北見市地域振興課 坂本浩司 地域交通係長
「普通列車に乗っているのは高校生が一番多いと思います。今回の企画が、石北線を残すために幅広い世代が一丸となる一歩になってほしいです」

沢田さんもツアーに期待「JRを使ってみようと思ってほしい」
クイズツアーの開催は7月24日からです。
「石北線の良さを伝えたい」と沢田さんは心待ちにしています。
北見北斗高校 沢田翔さん
「ふだん使わない人も今回の企画でJRに乗ってみて、たまには使ってみようかなという気持ちになってくれれば嬉しいです。今回参加してくれた小学生が何年か後に通学などで使って、昔ツアーに参加したなとかの交流を図ってくれれば嬉しいです」

市内2つの駅が舞台のツアーは24日から 特製のパスケースなどの参加賞も
そして、完成したツアーのポスターがこちら。

「ミステリートレイン2021」と題する今回のクイズツアー、事前の申し込みは不要です。
期間は7月24日から8月15日の土曜・日曜の計8日間。北見駅の職員に参加を告げて切符を購入し、冊子や参加賞を受け取ってツアーのスタートです。
列車に乗って指定された駅で降りた後、複数のクイズを解きながら、答えとなる場所を探していきます。
この夏の思い出に、また、子供たちの鉄道を使ってみるきっかけに、いかがでしょうか。
(NHK北見 記者 新島俊輝)
2021年7月14日

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