体重1トンほどのばん馬がそりを引いて速さを競う帯広市の名物、「ばんえい競馬」。昨年度の売り上げは過去最高の517億円と好調な運営をみせています。一方で、コロナ禍による無観客開催などの影響で入場客数が落ち込み、ことし9月までの上半期は14万人あまりと回復の兆しがみえるものの、コロナ前の水準には戻っていません。来場客を呼び込み、新たなファンの獲得も目指すばんえい競馬が、あの人気コンテンツとコラボしました。
(帯広放送局記者 前嶋紗月)
ファンが集結!ばんえい競馬大盛況
ことし9月、6000人あまりが競馬場に集まりました。

来場客のお目当ては「ウマ娘」です。実在する競走馬をモチーフにした少女のキャラクターたちが活躍するゲームで、アニメや漫画でも展開されています。

当日はキャラクターの声を演じる声優のMachicoさんや上田瞳さん、タレントの草野仁さんも参加しました。

上田瞳さん
「坂をのぼっているときの迫力がめちゃくちゃかっこよくて。超興奮しました」
ばんえい競馬をより楽しむためのポイントなどが紹介され、ファンも盛り上がりました。
札幌から夫婦で訪れた30代の男性ファン
「ウマ娘の声優さん2人に興味があったので来ました。ばんえい競馬について全然知らなかったので詳しく知れてよかったなと思います」
女性ファン
「随所に深い話を聞けて面白かったです」
ばんえい競馬はアニメにも登場
ばんえい競馬のコラボレーションはウマ娘だけにとどまりません。悪魔と人間の日常を描いたコメディーアニメ、「邪神ちゃんドロップキックX」でことし8月「帯広編」が放送されました。その中でばんえい競馬が登場したのです。

帯広市がまちのPRのため、ふるさと納税制度で制作費を募ったところ、「帯広編」を収録したブルーレイディスクが返礼品であることなどがファンの関心を集め、目標額の3000万円を達成しました。
SNSの反応にも確かな手応え
ばんえい競馬を担当する帯広市の滝沢仁室長はコラボの手応えを感じているといいます。

滝沢室長
「『初めて大きな馬を見てびっくりした』ですとか『感動した』とかさまざまなツイッターのコメントを見ました。やはり多くの方々が初めてみてですね、興味を示されたのかなと思います」
インタビューで訪問した部屋には原作の作者、ユキヲさんからいただいたという邪神ちゃんのイラストが飾られていて、うれしそうに話してくれました。

滝沢室長
「作家のユキヲさんがですね直筆で書いてくださったんです。かわいらしくてこの部屋にちょっと明るさが加わったなと思います」
単なる競馬としてではなく、取り組みを通じて、ばん馬の歴史や文化も全国に発信していきたい考えです。
滝沢室長
「今回の取り組みでばんえい競馬を知らない方にも伝えることができたということが1つの良かったことかなと思います。単なる競馬ということだけでなくやはり北海道の馬文化ということも全国の皆さんに伝えていきたい」
アニメの放送後に製作委員会などが行ったアンケートでは、「帯広編」を視聴した人のうち7割が実際に帯広に「ぜひ行きたい」または「行きたい」と回答したということです。新型コロナによってばんえいをはじめ、観光全体が落ち込みました。再びにぎわいを取り戻すためにも、従来の垣根を越えた取り組みに今後も期待したいです。
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