NHK札幌放送局

「地元の魅力伝えたい」 高校生が創る短編映画

おはよう北海道

2021年12月21日(火)午前11時47分 更新

「私たちの映画で、地元の魅力を多くの人に発信したい」 そんな想いで映画製作に奮闘する高校生たちがいます。この活動に取り組むのは、北海道静内高等学校の生徒5名。「日高地域研究」という授業の一環として、短編映画製作に取り組んでいます。そんな彼女たちの活動に密着しました。 (NHK札幌放送局 望月柾彦)

映画制作に取り組む高校生5名

まずは、この短編映画制作に取り組む静内高生の5名をご紹介します。
向かって左から、掛川彩奈さん・三浦楓花さん・新堀陽菜さん・猪村美尋さん・田村帆香さんです。それぞれ主に、掛川さんと三浦さんが編集、新堀さん・猪村さん・田村さんが脚本と撮影を担いました。

彼女たちの取り組みは、「日高地域研究」という授業の一環として行われています。
「日高地域研究」は仲間や実社会の方々と協働しながら地域の課題解決を目指す課題探求型学習で、以前から地域の方とのラジオ番組共同制作など様々な活動を行ってきました。そんな中、今年初めて短編映画制作に挑戦。企画の趣旨に賛同した女優や映像作家による講義で撮影技術を学びながら、脚本づくりから交渉まで映画制作に関わるすべてのことを生徒たち自ら手掛けています。

地元の名所×地元の人々

この映画は、高校の同窓会に参加し幼馴染の死を知った主人公が、友人を救おうと高校時代にタイムスリップするSF作品。地元日高管内の数々の名所を舞台に物語が繰り広げられます。

また地域との協働が大きなテーマの一つであるこの活動には、地元の人々も多く参加しています。物語の鍵となる重要な役どころを演じた、ライディングヒルズ静内職員の倉井翔也さん。撮影に参加した感想を次のように話します。

倉井さん
「高校生が自分で考えてやってきてくれていることなのでね。こうやって馬を使ってくれることがすごくこちらとしてもうれしいので、新ひだか町のPRになればいいなと思います」

編集もスマホアプリで

「なんか入った瞬間の、ここで一回とめとけばよかったんだ」
「どこから声するのって感じだよね。でも映した方がいいと思う」
「じゃあさ、ここで一回切る?切って途中入れる?変になるかな」
「一回やってみる?」

スマホで撮影した動画を編集するのももちろんスマホ。活発に議論を交わしながらアプリを用いて編集していきます。
別々に撮影した動画を編集で違和感なく繋ぐのは非常に難しいと述べる生徒たちですが、そんな彼女たちの映像に対するこだわりからは、この作品や地元への確かな想いが伝わってきました。

「活気を取り戻したい」生徒たちの想い

今回、主に脚本と撮影を担当した猪村美尋さんは、ロケをして改めて町の活気が失われつつあることに気づいたと言います。

猪村さん
「そこ(静内)は昔、映画館もあったりとかしたのかな。もっと活性化させたら新ひだか町全体が明るくなるんじゃないかなっていうのはすごく感じました」

新ひだか町の人口はここ10年でおよそ約4000人減少し、2040年には、現在から4割ほど減少すると推計されています。
そしてそんな地元を発信する手段があまりないことも、課題の一つではないかと猪村さんは話します。

猪村さん
「 地元の魅力を発信するっていうテーマで映画製作をしていましたが、何か手本になるものがあるかなと探した時に、発信しているものがあんまりないなって感じたのでそこも課題の1つだと思いました。自分たちなりには(映画に)たくさん魅力を取り込めたかなと思っているので、改善につながる1歩となればいいなと思います 」

“当たり前”は地元の魅力

この撮影で見出したのは地元の課題ばかりではありません。地元の魅力を再発見する機会にもなったと猪村さんは言います。
新ひだか町は数多くの名馬を輩出している国内有数の馬産地として知られ、市街地から少し足を延ばせば、雄大な自然の中に多くの牧場が並びます。そこで暮らす猪村さんにとってそれは普通のこと。しかし、映画撮影という地元以外の人に“伝える”という作業を通じ、地元への想いが変化したと言います。

猪村さん
「撮影する前はやっぱり地元なので、普通に住んで生活しているという感じで。撮影するとなり地元の魅力って何だろうと改めて考えた事で、町中の牧場に馬がいるとか、 当たり前だと思っていたことが地元の魅力だって気付くことができました。普通に住みやすいなというだけだった地元が、自分でも誇りに思えるようなすばらしい街だなと思うことができ、地元愛が深まりました」

実感した地元の人々の温かさ ~カフェ店主 小笠嘉士さん~

加えてもう一つ、生徒たちが発見した地元の魅力があります。それは地元の人々の温かさでした。

12月上旬、この日の撮影は地元のカフェで行いました。撮影したのは主人公がタイムスリップのヒントを手に入れる重要なシーンです。生徒たちもスマホ2台を用い、様々な画角からの撮影を試みます。

すると突然、カフェのマスター小笠嘉士さんが生徒たちに撮影のアドバイスを始めました。

小笠さん「ここ時間飛ばさないとね。だめなんだよほんとはね」
生徒「どういう感じで飛ばしたらいいですか」
小笠さん「さっきとカメラの位置が全く同じ位置でしょ。例えばここにフレームインしてくるとか」
生徒「たしかに…」

実は小笠さん、映画を自作してコンテストに応募したこともある方。自らスマホを手に取り、画角などについて生徒たちに詳しく説明していました。生徒たちも「今までで一番映画っぽい気がする」と納得した様子。

そんな地域の人々の温かな協力について、新堀陽菜さんは次のように話します。

新堀さん
「本当にたくさんの方に協力してもらいながらこれをつくってきて、新ひだか町の方々の優しさを知ることができたので、とてもいい機会になりました」

町民向けの上映会を実施、YouTubeでの配信も

地域の方々と協働しながらつくってきたこの作品は、町の公民館での上映会の後、YouTubeでも公開される予定です。そのことについて猪村さんは次のように話します。

「撮影に協力してくださった町の人とか女優さんとか、本当に色々な人に観ていただきたいです。あと新ひだか町の魅力をまだ知らない人に、映画という親しみやすい手段を使って発信することで、こういう町なんだ、こんな魅力があるんだと知っていただけたらいいなと思います」

<取材を終えて>
脚本から編集まで、制作に関わる全てを高校生5名が担い、地元と協働して制作してきたこの映画。撮影に取り組む彼女たちを取材し印象に残ったのは、楽しげで和気あいあいとした雰囲気の中にある、この作品と地元への真摯な姿勢でした。地元ひだかの魅力を詰め込んだ脚本やロケーション、細部までこだわった撮影・編集など例を挙げだせばきりがありません。そんな彼女たちの努力・想いが実り、町内外問わず多くの人に新ひだか町の魅力が届くことを願います。

おはよう北海道

2021年12月20日

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