NHK札幌放送局

人知れず悩み苦しむ若い女性に支援を

ほっとニュース北海道

2021年1月12日(火)午後2時50分 更新

新型コロナウイルスの感染拡大で広がる、休業や時短の営業。収入や生活の場をなくしてしまった若い女性が増えるなか、DVや虐待などの問題が表面化するようになっています。行き場を失った彼女たちをどう支援すればいいのか。北海道で新たな取り組みが始まっています。
(取材 札幌放送局 堀菜保子アナウンサー)

※このページの下部に、相談先を掲載しています※

困窮する若年女性に食料や生活用品を

12月から1月にかけて、札幌市内で、若い女性を対象に食料や生活用品を配る取り組みが行われました。 

配られた袋の中には、インスタントラーメンや生理用品、それにマスクなどが入っています。 

生活困窮者やDV被害者の支援などに取り組む札幌市内のNPOや札幌市の男女共同参画センターが協力して行っています。
企画したのは、山崎菊乃さん。女性の支援活動を行うNPO法人女のスペース・おんの代表理事です。 

山崎さんは、新型コロナウイルスの影響で生活に困っている女性が増えているといいます。 

「休業要請に伴って非正規雇用の人が解雇されたり、夜の接待を伴うお店などの人たちが仕事を失ったりして経済的に困窮しているという現状があります」

会場では、利用することのできる支援や相談機関も紹介しています 。

「どんなことでも困ったことがあったらご連絡いただけますか。遠慮なくご連絡ください。必ず道は開きますから」 

会場からはこんな言葉が聞えてきました。

収入や居場所をなくしても安心して休んでほしい

山崎さんたちは、先月、若い女性向けの“避難場所”も札幌市に用意しました。 帰る場所がなくなったとき、気軽に使ってほしいと話します。 

「若い女性がちょっとほっとできる場所を作りたいなと思って」 

そう話す山崎さん、 毛布や布団、タオル、家電、食器などをそろえ、着の身着のままで入れるよう準備を進めています。

こうした「安心できる場所」をきっかけに、女性たちへの支援につなげたいといいます。

山崎さんは現状に強い危機感を抱いています。

「全然仕事がなくて、明日のご飯も困る状態だということを聞いています。
自分で生活していけないということで、SNSで知り合った男性のところへ行って性被害にあったりしていて、本当に深刻です」

コロナ禍で表面化するDVや虐待など

山崎さんたちが支援を目指すのは、困窮する女性たちだけではありません。 感染拡大が、DVや虐待などの問題、それに立場の弱い人がつけこまれて犯罪の被害にあってしまうという厳しい現実を、これまで以上に表面化させているといいます。

この記事で最初に紹介した生活必需品を配る取り組み。その会場で小さなカードが配られていました。

QRコードを読み込むと、山崎さんたち北海道のNPOが連携始めた相談窓口につながります。
SNSで、DVや性暴力などについて専門の支援員に相談できます。

背景には、最新のアンケートで明らかになった、深刻な実態があります 。
新型コロナの感染拡大の影響について、東京にあるNPO法人「BONDプロジェクト」が、全国各地の10代と20代の女性950人に調査しました。

その結果、全体の6割が「家庭」に関して困ったことがあったと回答。
「言葉の暴力を受ける」「イライラをぶつけられる」「たたく、蹴る」「体をさわられる」など、さまざまな被害を受けているとする声が数多く寄せられました。

また、「望まない妊娠をしたかもしれない」と答えた人も少なくなく、そのうち、11人が相手を「父親、兄、弟、その他親族」だとしていました。

山崎さんは、新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごすしか選択肢がなくなり、生活不安でストレスがたまるなどしていることが、DVや虐待につながっているとみています。

その上で、家庭で居場所を失った女性たちが駆け込んでしまう場所の一つが、風俗店だというのです。

「風俗店がセーフティネットみたいな感じで、そこに行かざるをえなかったということなんだと思います。 で、その人たちが、今度はコロナで仕事を失って、借りていたアパートの家賃も払えなくて出ざるをえなくなったりとか、自死に追い込まれちゃった人ですとか、そういうところまで追い込まれているんです」

行政も支援を強化

こうした問題に対して国は、今年度から新たに予算を交付しています。
今回紹介した、SNS相談や避難場所の運営にはその予算が生かされています。

北海道女性支援室の髙石浩子室長は、若い女性たちに頼ってもらえるような枠組み作りを支援して、経済的な自立を後押ししたいとしています。

「あなたは一人じゃないです。あなたを助けたい人はいっぱいいます。声をあげてもらえれば何かできます。
困っている方、息苦しいなって考えている方に、ご相談いただきたいです。
そうすると見えてくるものがあるし、元気になれるきっかけもあると思います」

いま苦しんでいるあなたへ

今回、取材したNPO法人や自治体などの支援の専門家たちに、いま、人知れず悩み、苦しんでいる人たちへのメッセージを寄せてもらいました。

「親には言えないけど、避妊してくれなくて心配なんだとか、一人で悩んで妊娠が進んでしまったという前に、SNSで匿名でもいいので相談してくれれば、一これから何ができるか考えられます。いろいろな制度を使えるので一緒に考えましょう。
困っているときはお互い様。助けてっていう言葉じゃなくてもいいから、今こんな状況で少し困っている、悩んでいるって気軽に声をかけてほしい。声をあげることで仲間ができますし、一人ではないってことに気づくと思います」
「必ず生き延びる方法はあります。助けを求めていいんです。声を上げてほしい。専用の支援窓口はなくてもいろいろな支援を組み合わせたら必ず生きていけるので、一緒に考えましょう」
「“自己責任だと言われる”“できない自分が悪い”“その道を選択した自分が悪い”と思ってしまう人が多い。 でも、生活に困るのは、個人の問題じゃなくて社会の問題。 これまで支援につながっていない人にも気軽に頼ってほしい」

2020年12月25日放送

道内のNPOが連携して始めた、SNS相談は

  • 若い人のためのDV・性暴力SNS相談 Hokkaido 
  • NPO法人 女のスペース・おん

で探してみてください。
支援団体のネットワーク「cloudy」では、支援物資の配布などの情報をツイッターで発信しています。

内閣府、北海道、各市町村のHPにも相談窓口が掲載されています。

取材の中で、山崎さんは、「一度支援につながれば必ず突破口は見つかる」と話しています。
一人で抱えず、まずは相談してほしいと思います。
そして身近に心配な人がいたら、連絡をとって相談窓口をシェアするなどして、
「あなたはひとりじゃない。あなたを助けたい人はたくさんいるよ」と伝えてもらえればと思います。
生活用品や食料を配る取り組みはこれからも行われる予定です。
こちらのブログでもまたお伝えしていきたいと思っています。

札幌放送局 堀菜保子アナウンサー

2021年1月12日

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