NHK札幌放送局

【寄稿】さのかずや「画面のこちら側の話」

番組スタッフ

2020年5月28日(木)午後5時07分 更新

「ローカルフレンズ」の生みの親(企画者)かずきゅんこと、さのかずやさんから寄稿を頂きました。なぜテレビ番組の企画を思い立ったのか。この旅番組は何が違うのか。クールで熱いメッセージです。(オオスミD)

こんにちは、さのかずやと申します!「#ローカルフレンズ出会い旅」の最初の企画をお手伝いさせて頂きました。北海道遠軽町出身で、東京と北海道を行き来しながら、地元であるオホーツク海側地域の発信をするウェブサイト「オホーツク島」を2016年から運営してきました。

今回は、そうした活動を経て、道内の多くの仲間たちと関わりながら考えてきたこと、NHKのみなさまからお声がけ頂いて「#ローカルフレンズ出会い旅」の企画に至ったこと、いまこの状況で「#ローカルフレンズ出会い旅」にできること、について、思うことを書いてみたいと思います。

ローカルで発信をしてきたローカルフレンズたち

2015年前後、「キュレーションメディア」という、さまざまな情報をまとめて発信するかたちのウェブメディアが世界的に流行しました。その流れの中で、それまでブログなどの形式で発信を行っていた団体や個人が、ウェブメディアで情報発信を行っていくようになります。

そのタイミングで、北海道内でも各地でさまざまなウェブメディアが立ち上がりました。企業が立ち上げたもの、北海道全体の観光や仕事など特定のトピックに絞ったもの、北海道の中でも小さいエリアに絞ったもの。特に地域に着目したものは「ローカルメディア」と呼ばれてきました。私が2016年に立ち上げた「オホーツク島」も、オホーツクエリアに関して情報発信を行ったローカルメディアでした。

(注記)オホーツク島は、北海道オホーツク海側地域にかかわる新しい活動をうながし、つくり、つたえていくウェブメディアです。

多くのウェブメディアは、ページビュー(そのウェブサイトがどれくらいの回数見られたか)に基づいて、ページビューに応じて表示される広告で収益を上げていました。それに対して、特定のエリア、特定のトピックに注目したローカルメディアで、ページビューを多くして収益を上げることは非常に難しい状況でした。わざわざそうした限定的な情報を見たい人は限られてくるからです。

私が運営していた「オホーツク島」も、そうした収益を上げるのが難しい中で、難しいことをわかっていて立ち上げたものでした。同時期に道内の各地で立ち上がったローカルメディアも、同じような状況の中で立ち上がっていました。なぜ、お金にならないのに、当時の人たちはわざわざメディアを立ち上げたのか?

本当に面白いことをやっている人のこと

そうした運営者たちに共通していた課題は、「自分たちが欲しい地元の情報がない」ということ。テレビはわざわざ札幌から遠い場所のことを取り上げてくれないし、知りたいのは新聞に載っている人たちほど硬い情報でもない。注目されないけれど、自分たちが面白いと思うような、地域で本当に面白いことをやっている人のことは、誰も教えてくれない。

そうだとしたら、自分たちが伝えるのがいいのかもしれない。少なくとも私はそうした気持ちで「オホーツク島」を立ち上げ、オホーツクエリアに関係して素敵な取り組みをする方々にお話を聞いて回ったり、記事を書いてもらったりしました。各地でローカルメディアを立ち上げていた仲間たちも、同じような課題を感じていたと後々聞きました。

各地で同じような意識を持って、難しい状況の中でも自分の信じることをやっている。そうした状況でメディアの運営者同士がつながり、少しずつ大きな動きが生まれてきました。道東エリアでは「ドット道東」という団体が生まれ、私やドット道東の方々も、ほかのエリアで活動してきた方々とも連携した活動が続いています。NHK北海道のみなさんからお声がけ頂いたのも、そうしたことがきっかけでした。

2019年10月、NHK北海道のメンバーは、北海道のコンベンションNoMapsでさのかずやさんに出会った。その後、NHK主催の勉強会「#札幌dis から #札幌discover」のゲストに招くなど親交を深めていく(写真)。

発信の時代から、活動の時代に

たった5年程度で状況は変わり、世の中にはあらゆる情報があふれかえるようになりました。ただ検索すれば出てくる情報より、共感できる物語が、着実な活動が価値を持つようになりました。

ローカルメディアを通じて地元の情報を発信していた私たちは、どれくらいの人が見ているかわからない情報をただ発信するよりも、発信するための取材や記事制作などを通じて地域のプレイヤーたちと関わりが生まれ、その関係を通じてまた新たな関係につながっていく、ということに価値を見出し始めました。

NHKのみなさんからお声がけ頂いたのも、これまでのNHKさんの役割ではない「共感できる物語」や「着実な活動」を私たちに見出してくださったから、という状況があるのではないかと感じています。

そういう背景があり、これまでローカルメディアを通じて道内のローカルのつながりをたくさん作ってきた仲間たちを「ローカルフレンズ」と呼び、ローカルフレンズを通じてローカルのかっこいいプレイヤーをたずねる、という企画の提案に至りました。

画面を超えた、地続きの発信へ

そうした提案を経て今年1月、NHKのせたちゅーさん(瀬田宙大アナウンサー)、ドット道東の中西拓郎さんとともに、「#ローカルフレンズ出会い旅」の最初の旅として、オホーツクのお兄さんたちを訪ねて回りました。NHKさんにとっても、もちろん私たちにとってもかなり難しいチャレンジで、難しいことがたくさんありましたが、なんとかまとめて頂きました。

▼2020年1月、NHK北海度の夕方のニュース「ほっとニュース北海道」で3日連続で「#ローカルフレンズ出会い旅」を放送した。
【ブログ記事】はこちら
▼3月には、15分版の深夜番組として再編集して放送した。
創刊準備号 #道東は世界一な件

ほっとニュース北海道で3夜連続で流して頂いたことにはじまり、15分番組として再編集して頂き、道内、BS、そしてNHK総合の全国で放送して頂き、たくさんの反響を呼びました。インターネットで発信しているだけでは決して届かない方々に届き、ローカルで活動する私たちと、伝える役割のNHKさんの連動でしか実現しなかった形でした。

私たちにとっては、「自分たちが伝えたいことを伝える」ということから一歩踏み出したチャレンジとなり、切り取り方や編集などすべてNHKさんに委ねることの難しさ、そして怖さもありました。一方でNHKさんにとっては、事前に様々な調整を行い、撮るべきものを撮り、伝えるべきことを話してもらう、という普段のような取材とは全く異なり、同じように難しさと怖さを感じていたと思います。15分番組でもディレクターさんの苦悩が捉えられていました。

しかし、その結果として完成した番組は、これまでのNHKさんの番組の印象とは大きく異なるものとなり、視聴者のみなさんからの印象も、良い印象を持ってもらえたものであったと聞いています。こうした取り組みによって、これまで北海道の地方で暮らす私たちにとって「画面の向こう」のことであったテレビの内容が、せたちゅーさんが来てくれるような「画面のこちら側」の話になったのではないか、と放送を見て感じました。

ローカルの人を紹介してくださる、ローカルプレイヤーの方はまだまだ募集中だそうです!
これまでの放送をみると、NHKのみなさんがめちゃくちゃ頑張った結果、毎回かなり内容の濃い放送となり、ローカルフレンズが結構ハードルの高いものに見えているかもしれません。でもたぶん、そんなにハードル高いものではなくて、「地元に紹介したい、すてきな人がいる」という方の、その思いだけで十分だと思います。もしご興味がありましたら、ぜひ応募フォームより応募してみてください!

かずきゅんから企画書をもらった日のことは忘れられません。マスメディアに大きな期待を寄せて構想してくれたこの企画を、北海道を愛するローカルプレーヤーと共に大きく育てていきたいと思います。これからもよろしくお願いします!(オオスミD)

▼ローカルフレンズ募集は「まとめページ」から


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