NHK札幌放送局

【ふるさと自慢】 猿払村「幻の魚 イトウ」

道北チャンネル

2022年11月7日(月)午後7時25分 更新

イトウはその希少性から「幻の魚」と呼ばれ、多くの釣り人の憧れの存在です。猿払村を流れる猿払川には古くから多くのイトウが生息し、村のシンボルとして愛されています。猿払川のイトウについて探ってみました。 (2022年10月放送 )


イトウの生息

イトウは日本最大の淡水魚です。成長すると、体長は1メートルを超え体重は25キログラムに達します。その巨体と獰猛な性格からか、漢字では「魚編に鬼(𩹷)」と記すそうです。生後3年ほどで海に出て、産卵のために川に戻ってくることが確認されていますが、詳しい生態はわかっていないことが多いとのことです。産卵期になると、雄は「婚姻色」と呼ばれる鮮やかな赤身を帯び、雌は2000~3000粒の卵を複数の産卵床に分けて産みます。
かつては本州にも生息していましたが、河川の改修や農地開発などで個体数は激減し、現在日本では北海道にのみ生息しています。国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリストでは最も絶滅リスクの高いカテゴリーに指定されています。

猿払イトウの会

希少なイトウを保護できないか。
平成11年、猿払村商工会青年部発足30周年の記念事業として、青年部の有志が小山内浩一さん(当時青年部部長)を中心にイトウの保全活動に乗り出しました。当初はイトウの生態や希少性について何も知らなかったため、専門家を呼んだ勉強会を開催するなどして知識を積み上げていきました。平成17年に小山内さんが青年部長を退任するにあたり、これまでの活動を継承すべく「猿払イトウの会」を立ち上げました。産卵調査や河川の清掃、魚道設置などを行っています。更にイトウの保全を推進するために、専門家や行政機関、猿払川流域の企業と「猿払イトウ保全協議会」を設立しました。これらの活動の結果、猿払川ではこれまで個体数の減少は見られませんでした。しかし去年(2021年)の猛暑により成魚の大量死が発生し、今年は産卵床の減少が確認されています。今後も保全活動を継続していくとのことです。

イトウ釣りについて

希少なイトウですが、猿払川では釣りを楽しむことができます。猿払村のイトウ保護活動は、釣り人を締め出すのではなく「いつまでも天然のイトウが釣れる川を残そう」というテーマで進められています。魚体に影響が少ない釣具の使用やキャッチ&リリース、産卵期などの自粛を釣り人にお願いしています。鮭とは異なりイトウは20年にわたる生涯で産卵を繰り返すため、リリースすることで新たな産卵につながります。


編集後記 

イトウの他にも魅力満載の猿払村。漁業と酪農が盛んで、特にホタテは全国的にも有名です。私も肉厚でしっかりとした食感と豊かな甘みを堪能しました。ユニークなラベルの牛乳にも思わず手が出て飲んでみたところ、お店の方が「必ず飲む前によく振ってね」と言った理由が納得の濃厚な味わいでした。来年5月に開村100年を迎える猿払村では様々な取り組みが進められています。皆さまぜひ猿払村へお越しください。

旭川放送局 高野陽平

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