NHK札幌放送局

桜木節「舌」好調!釧路からメリークリスマス!

北海道まるごとラジオ

2021年1月8日(金)午後2時05分 更新

2020年の締めくくり、12月24日の放送は釧路放送局からの生放送でした。MCは私、横山哲也と尼子佑佳キャスターが担当しました。世界中が新型コロナウイルスの影響を受けた2020年、少しでも明るい気持ちで新年を迎えたいということで、「冬の釧路であったかトーク」というテーマでお送りしました。

このテーマにぴったりのゲストとしてお招きしたのが、直木賞作家の桜木紫乃さんです。桜木さんは釧路市出身。15歳のときにご実家が「ホテルローヤル」というラブホテルを開業し、お仕事の手伝いなどをしていました。小説家デビューは就職・結婚・出産を経て30歳を過ぎてから。そして2013年、実家のラブホテルと同じ名前の小説「ホテルローヤル」で直木賞を受賞。2020年11月に映画化され、大きな話題になりました。

ラジオやテレビにご出演したときの桜木さんの最大の魅力はそのトーク力!ときに厳しく毒舌で、ときに優しく愛情たっぷりにお話しくださいます。
どうすればよりリラックスした雰囲気でトークができるか-。私たちは放送前から、さまざまな仕掛けを用意しました。

今回の放送は新型コロナウイルスの感染防止対策のため、いつも使っているラジオスタジオではなく、釧路局で1番広いスタジオに特設ブースを設けました。そのスタジオに組まれていたセットを見てひらめきました。

「なんだか部屋に見えるな…」

ということで、特設ブースを「紫乃の部屋」と名付けることにしました。セットにも手作りの看板を設置し、準備完了!初めてスタジオに入った瞬間の桜木さんは、
「『部屋』って書いてあるし…私、黒柳徹子さんじゃないんだけど!」
と笑顔でした。

控え室にも工夫をしました。詳しくはネタバレになってしまうので書きませんが、作品の中に登場するみかんを用意させていただきました。これにも桜木さんは気づいてくださいました。

そんな流れで空気をあたためてから本番スタート!ここからは尼子キャスターがご紹介します!

横山アナからバトンを受け取り、尼子が放送内容を書かせていただきます!もう桜木ワールド全開で、私も楽しくトークをさせていただきました。いくつか「桜木語録」と題してご紹介させていただきます。


桜木語録① 釧路局ヒマなの?

横山アナも書いているとおり、今回の放送は特設ブースを設け、その場所を「紫乃の部屋」と命名してのぞみました。放送開始直後、まずその「部屋」の話題になったときのやり取りから!(一部要約しています)

横山:セットがお部屋のような形で、そこに「紫乃の部屋」という文字を貼らせていただいています。
桜木さん:スタジオに入った瞬間、NHK釧路はヒマなんじゃないかと。大丈夫ですか?みなさんちゃんとお仕事やってる?
横山:これは1人で、私が朝作ったので、そのほかの方は一生懸命仕事している。
桜木さん:そうか、分かった。横山さんだけがヒマなんだね。
横山:そうですね。
尼子:時間の使い方がうまいということで。
桜木さん:なるほど。物は言いようでございますね。

結果、横山アナだけがヒマという結論になってしまいました(笑)桜木さんの鋭いツッコミのおかげで番組がさらに盛り上がりました。


桜木語録② ザンギと唐揚げは違う!!


リスナーの方から「ザンギの準備をして聞いています。」というメッセージが。そこで横山アナがザンギの説明をしようとすると…。

横山:ザンギって北海道では唐揚げ…。
桜木さん:違う!
横山:違う?
桜木さん:ザンギは唐揚げではない!
尼子:先に味をつけるかつけないかでしたっけ?違いますか?
桜木さん:あのね…(笑)

このあと、しばらく本編とはまったく関係のなかったザンギトークに(笑)。結局、正確な答えは分からなかったのですが…ザンギにはこだわりのある桜木さんでした。


桜木語録③ 0.5アクセル!?


この言葉が飛び出したのは、MCが横山アナから小山凌アナに交代し、釧路で盛んなアイスホッケーの話をしているときでした。

小山:釧路市内の学校では先生方が校庭にお手製のリンクを作って、子どもたちはその上でスケートをします。桜木さんもご経験は?
桜木さん:はい。もう小さいころからずっとフィギュアスケート履いておりましたよ。
小山:どのくらい滑れるんですか?
桜木さん:そうですね。0.5アクセル。
小山:0.5アクセル!?半回転くらい(笑)なるほど。運動神経万能の桜木さん。
桜木さん:万能??
小山:万能ですよ!
桜木さん:そういうことにしときましょう。

まさかの0.5回転でした(笑)それでもご家族でスケートをしたときには、その腕前にお子さんがびっくりしていたそうです。いつか桜木さんの0.5アクセルが披露される日が楽しみです。

ここまで、桜木さんのお茶目な一面をご紹介してきましたが、ここからは桜木さんの思いに触れていきます。


桜木語録④ 気が付くと釧路になる


北海道、特に釧路を舞台にした作品が多いのが桜木さんの特徴です。その理由をたずねると…

桜木さん:なんでしょうね。特別釧路にこだわって書いているわけではなんでもないんですけど、気が付くと。物語を書こう!どんなお話を書こう?登場人物ああゆう感じで、こうゆう流れで…舞台は釧路かなっていうことが多いです。最初から釧路!と思って書いているわけではないですけどね。

さらに、いまの仕事部屋から見える景色が、ふるさとの釧路湿原のそれと似ていることに最近気づいたという話になり…

桜木さん:いい景色だなーと思って、そこ(空と緑)だけが入る窓を作ったんですけれどね。まさかそこに湿原を探していたとは。だから、原風景ってみんなそれぞれ持っていて、意外と気が付いてないんだなということが。その気が付いていない原風景をいつの間にか舞台にして書いているんじゃないかなと思います。

人はそれぞれが持っている原風景に気付かずに影響されていることがある。私の原風景は何だろうと考えたくなりました。みなさんの原風景はどんな景色でしょうか?


桜木語録⑤ 根こそぎハッピーな人に会ったことがない


桜木さんの作品に出てくる人物の話題に。「人には言いたくない過去を抱えていたり、いまの生活に悩みを持っていたりする登場人物が多いのはなぜ?」という質問に対してのやり取りです。

桜木さん:ざっくり言うと、不幸そうな人ばっかり書いているのはなぜかということですよね?(笑)
尼子:ハッピーエンドな展開がね、あんまりないかなって。
桜木さん:それはね、意外と私はハッピーエンドだと思って書いているんですよ。「暗い、暗い」言われますけどね、ああいう感じで書くのが自分にとってちょうどいい明るさなんですよね。自分の明るさの中で書いているものですから、いきなり私の部屋に入ってきて「ここ暗い!」って言われても困るんだけれど。なんだろうな。根こそぎハッピーな人に会ったことがないですね。みんな同じじゃないだろうかって。わたくしと同じような薄暗さというか、私の部屋の明るさでちょうどいい方は、いらしたらどうぞ気兼ねなく入ってきてくださいっていう。
横山:紫乃の部屋に。
桜木さん:紫乃の部屋に、そう。決まったね!

このあと横山アナが、桜木さんの作品を読み終わったあとに「1つ2つ悩みを抱えていたり、問題があってもいいんだと心が軽くなった」と話すと、桜木さんは「そりゃそうですよ。完璧なんて、気持ち悪いだけですから」とおっしゃっていました。完璧を目指すことも大切かもしれないけど、完璧じゃなくても、それは悪いことではないと言っていただいた気持ちになりました。


桜木語録⑥ ありがたい体験と親孝行


桜木さんの思いが見える部分がもう1つ。リスナーの方からのメッセージで、「父親と映画を見に行った」というエピソードをご紹介したときでした。

桜木さん:そういう話を伺うとね、うちの父と母の話も思い出すんですけれども。今回ね、父と母に前売り券をあげたんです。そしたら二人で見に行ってくれたみたいなんです。普段から映画館に行くという夫婦ではないのと、あと母が認知症でね、もう5分前の記憶がだいぶ怪しいんです。でも「ホテルローヤル」だからって2人で行ってくれて。よく考えたらね、両親が2人で見るおそらく最後の映画なんじゃないかなと思うんですね。これもなんだかひとつの親孝行だったのかななんてね、思ってます。

また桜木さんのお父さんが実際に経営し、名前も付けたというラブホテル「ホテルローヤル」についてこんなこともおっしゃっていました。

桜木さん:改めて、(作品を書くにあたって)自分があの場所で得たものってなんだったのかなって考える時間になりましたね。うん、なんだろう、親の手伝いをずっと一生懸命やってただけだったし。でもあの時間、実はとても貴重だったんだなと。書いて、さらに映画にしてもらって、「あ、ありがたい体験をしてたんだ」って。なんだか色々考えました。

どんな経験もその人にとって無駄なものはないと改めて思いました。

以上、尼子のベスト桜木語録でした!

ここからは再び横山がご紹介します!
今回の放送にあたって私が掲げていた裏のテーマがあります。「コロナの影響で釧路に行きたくても行けない人のために、釧路のすばらしさを音声リポートで伝える」というものです。そこで「ホテルローヤル」に出てくる釧路の観光スポットで事前にロケを行いました。

<和商(わしょう)市場>の音声リポートに挑戦したのは寺井紀惠キャスター。好きなお刺身を選んで自分好みの海鮮丼が作れる「勝手丼」を紹介しました。市場全体もコロナの影響を大きく受けた1年でしたが、お店の方の元気な声につられて、どんどんお刺身を増やしていく寺井キャスターでした!

<幣舞橋(ぬさまいばし)>からは楠原彩加キャスターが音声リポート。夕日スポットとして有名な幣舞橋。日没の瞬間を待って、1発勝負でロケしました。空が少しずつオレンジに染まり、橋の下を流れる釧路川にも「絵の具を1滴落としたようにオレンジ色が広がる」という表現で伝えてくれました。

この音声リポートで少しでも釧路の魅力が全国に伝わっていればうれしいです。また、このコーナーを作ったことで、釧路局アナウンスグループに所属している5人全員が1つの番組に出演したことになりました。こうしたことはあまりないので、いい思い出になりました。

リスナーの皆さんにもお礼を言わせてください。今回、メールやファックスなどでたくさんのメッセージをいただきました。放送中にはごく一部しかご紹介することができませんでしたが、放送終了後、桜木さんはすべて読んでいらっしゃいました。メッセージを送ってくださった皆さん、どうもありがとうございました!

放送は終わりましたが、特設ブースに設置した「紫乃の部屋」の看板は、まだ外していません。またの機会があることを信じています。

皆さんにとって2021年がよい年になりますように!
そして2021年も「北海道まるごとラジオ」をよろしくお願いします!!

2021年1月8日

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