江差が好きな人なら、誰でも歓迎する「語り部茶屋」。町の歴史を未来につなぐための場所です!
江差町の歴史を語る集会所
江戸時代からの古い建物が残る、江差町の商店街「江差いにしえ街道」

この商店街に、去年の冬誕生した場所が「語り部茶屋」です。古い土蔵を改装し、町の文化や歴史に興味のある人なら誰でも無料で使える集会所にしたのです。
立ち上げたのは、江差町の写真を60年以上撮り続けている松村隆さん。
「語り部茶屋」を訪れた町の若者たちに、昭和時代の写真を見せて当時の様子を教えます。

松村隆さん
「北前船の回船問屋っていうのが、ズラッとあったわけですよね。三十軒か五十軒くらい、写真見ればそれくらいあったわけだよね。こういう町のたたずまいみたいなものがすごいと思って、消えていくものだから記録として残したいと思ったんですよね。」

町の次の世代に、江差の記憶を引き継ぎたい
松村さんがこの集会所を作った背景にあるのは、町で進む高齢化。江差町全体の65歳以上の割合は、およそ40%です。
町の歴史や文化を知る人が少なくなる中で、その記憶を引き継いでほしいと、松村さんは「語り部茶屋」を訪れた若者たちに語りかけます。

松村隆さん
「祭りの中にも江差追分の中にも、古い時代からの暮らしのような物が染みついて、それを時代時代に伝えてきた。この町の本当の良さを自分たちの身につけて、語り継いでほしいと思う。そういう事を期待してる。」
若者たちも、自分たちがずっと引き継いでいきたい江差町の歴史があると松村さんに答えます。江差町で370年以上続くと言われる祭り「姥神大神宮渡御祭(うばがみだいじんぐうとぎょさい)」です。

辻󠄀隆人さん
「一番の江差への恩返しはやっぱり、他の地域に行っても祭りの時期には帰ってきて、次の世代に引き継いでいく。自分達の世代で終わらせるわけにもいかないし、帰ってきて参加していくことが大事かなって思う。」
江差町の文化や歴史を後世につないでいくために「語り部茶屋」の活動は始まったばかり。毎週土曜日の午前10時から午後3時に開館し、江差町に興味のある人ならだれでも利用可能です。
今後は、江差追分を聞いたり、写真を通して江差の暮らしや祭りを語る集いを開いていきたいということです。

<取材した函館局ディレクター>
荻野 智也
2019年入局。道南への新たな移住者として、地域の魅力を知り尽くすことが目標。