生活に欠かせない食品やエネルギーなどモノの価格の値上がりは深刻さを増しています。
こうした中、生活費を節約するため少しでも安い野菜を求めて直売所を利用したり
食事の内容を見直したりする家庭も出ています。
物価高の影響が家計を直撃
七飯町に住む、舛田さくらさん(32)。専業主婦で、公務員の夫と2歳の息子の3人家族です。

ふだんの買い物や料理は舛田さんが行っていますが、特にガソリンや野菜の高騰が家計を直撃しているといいます。
舛田さんの家庭は車を2台所有していて給油する際、クレジットカードで支払いをしていて、明細を比較すると6月のガソリン代はおよそ2万円。去年の同じ月と比べて5000円率にして25%増加しているということです。

子どもがまだ小さく公共交通機関よりも車を利用していて日々の買い物には車が欠かせません。ガソリン代を節約することは難しいといいます。

舛田さくらさん
「やっぱりガソリンスタンドに出ている値段が今までとは、20円くらい高いのではないかなという感覚なので、入れるのに躊躇するような値段だなって思っています。節約したいけど難しいのでなんとかそのガソリン代じゃないところで節約しようかなっていう感じです」。
食卓にも変化が・・・
加えて、野菜の値上がりにより食卓にも変化が。
これまで常備していたたまねぎは去年の同じ時期と比べて3倍近くに値上がりし、舛田さんはたまねぎの代わりにもやしを常備するようになったといいます。

長男の旺介くん。パンが大好きですが、小麦の輸入価格の影響で値上がりしたため代わりに白米を食べさせることが多くなったといいます。

舛田さくらさん
「息子の食べやすいものが例えばパンとかそういうものがちょっと値上がりの対象になっているのでなるべく買わないようにって思うんですけど、やっぱり好きだから買ってあげたくなったりしてその葛藤があります」。
安い野菜を求めて直売所へ・・・
舛田さんは、少しでも生活費を節約するため野菜を購入する際には
これまで通っていたスーパーではなく比較的安く購入できる
野菜の直売所を利用するようになりました。

この日訪れた直売所では、ほうれん草が1パック100円あまりとスーパーよりも50円ほど安く買うことができました。

舛田さくらさん
「ほうれん草は160円でも安いほうなのでスーパーだとブロッコリーも150円くらいするので全部ほぼ100円で買えたのでありがたいです」
舛田さんは身近なものの値上がりが生活を圧迫し始めていることをひしひしと感じています。
舛田さくらさん
「ちょっとこれ以上物価が上がるとなるとうちは夫しか働いてないのでちょっと厳しいですね。食にこだわりたくてもこだわれないっていう面が出てきたりとか。あとは遊びに行くのを減らしたりとかっていうことで食べることは充実させたいのでそういう風にカバーすることになるのかなっていうので心苦しいです」。
専門家が教える“生活防衛策”は?
物価高が続く中、どうやって暮らしを守ればいいのか。函館市で家計などのアドバイスを行うファイナンシャルプランナーの大橋敏さんによると、少しでも家計への負担を軽減するには、支出の『むだ』を把握して減らすことと、資産を上手に増やしていくことがポイントだといいます。

まずは固定費の削減を!
支出を減らすうえで一番効果が出やすいのは「固定費の削減」だとしています。固定費は例えば、水道光熱費などの公共料金、保険料、住宅ローン、通信費、定額でサービスを利用できる『サブスク』=サブスクリプションなどです。具体的には次のような削減方法が考えられます。
▼携帯料金を安いプランや格安スマホ会社に変更する。
▼住宅ローンや保険料の内容を見直す。
▼インターネットの配信サービスなど、いわゆる「サブスク」が本当に必要なものなのか検討して見直す。
▼公共料金を月々に一定のポイント還元が得られるクレジットカード払いにする。
定量ではなく定額での購入を!
また大橋さんは、価格の変動が大きいものは「定量ではなく定額での購入」を勧めています。例えば、私たちに身近で価格の変動が大きいものにガソリンがありますが、ガソリンを購入する際も、30リットルなどの一定の量ごとよりも3000円や5000円などの定額で買う方が平均単価を下げる効果があり、支出の削減につながるということです。
「お得」や「安い」に飛びつかない!
さらに、「お得」や「安い」に安易に飛びつかないことも大切だとしています。例えば、3人家族が生菓子1個120円を買う場合、3個なら360円なのに『5個なら500円』と言われると、ついつい買ってしまう人がいますが、実はこれは損をしています。360円で済んだものを5個買うと、結果的に500円が財布からなくなってしまっているので、何か得した気分にはなるけども、お金は確実に減っていると指摘しています。
「先取り」が大事!
そして資産を上手に増やす方法ですが、大橋さんは一番心がけるべきことは「先取り」だとしています。例えば、財布に1万円が入っていると、つい1万円を使ってしまいがちになりますが、そうではなく、最初から1000円をよけて9000円を財布に入れることで、人は9000円で行動するパターンになるといいます。つまり、家計の中で、収入から一定金額はすでにないものとして、貯蓄や資産形成に回すのがコツだということです。
税制上の優遇措置がある制度の利用を!
また、自分で資金を積み立てて公的年金に上乗せして給付を受ける個人型確定拠出年金「iDeCo」や個人投資家向けの少額投資非課税制度「NISA」など、税制上の優遇措置がある制度を利用することも効果的だとしています。
ポイントでも資産形成できる!
さらに、クレジットカード払いなどでためたポイントでも資産形成できる仕組みがあり、月々100円からできるものもあるので、それを積み重ねていくと大きな効果が期待できるといいます。
大橋さんは「これをすれば家計が改善するというような特効薬は存在しないので、ふだんから家計管理の心がけをどうするかが大事になる」と指摘していました。
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