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道南をワインの一大産地に #道南WEB取材班

道南web

2020年10月9日(金)午前11時51分 更新

北海道では今、ワイン用のぶどうが 収穫時期を迎えていて 各地でワイン造りが行われています。 こうした中、 道南ではワイン造りのセミナーが開かれていて、 新たにワイン業界に参入する人も出てきました。 

道南でワインを造りたい

北斗市の井坂真介さんはニュージーランドやイタリアなどの海外でワイン造りについて学んだあと、後志の余市町のワイナリーでワイン造りを行っていましたが、自らのこだわりを反映したワインを造りたいと独立し、市内でぶどう栽培を始めました。
井坂さんは1ヘクタールの土地に植えた4品種・およそ3000本のぶどうの苗木を今育てていて、「最初、芽が出るまではどきどきしていたので、芽が出たときはうれしかったですね」と手応えを話していました。

独立してワイン造りを志す井坂さんはこれまでの経験を生かし、将来的にはぶどうの栽培からワインの醸造まで一貫して道南で行いたいと考えています。
井坂さんは「この畑でワイン造りを始めていくうえで品質のいいワインづくりを大切にしようと思っています。高く評価されるワインを造っていけば地域のプラスになると思いますし自分の学んできたことも生かせるのかなと思います」と理想のワイン造りについて語っていました。

背景にはフランス老舗ワイナリーの進出

道南ではこれまでもワインは造られていましたが、2年前、フランスで300年ほどの歴史があるフランスの老舗ワイナリーが函館に参入してきました。
このワイナリーは世界的な地球温暖化が進む中、ワイン造りに適した冷涼な気候を探していて道南が適地だと判断したということです。
こうしたことがきっかけで道南でぶどう栽培からワインの醸造を行っているワイナリーは2年前には4軒ほどしかありませんでしたが、現在は15軒ほどに増えています。
また、こうした新規参入の動き以外にも、道南で古くからワインの醸造を行っている「はこだてワイン」は自社でぶどうの栽培を始め、ことしから収穫ができるようになるなどワイン造りの動きが広がってきています。
こうした地域での盛り上がりを受けて行政も本格的に後押しを始めました。

行政も後押し!「ワインアカデミー」

渡島総合振興局などは道南でワイン造りを検討している人たちなどを対象に去年から「道南ワインアカデミー」を開いています。
9月中旬、函館で開かれたセミナーにはおよそ30人が参加し、講師はおよそ300年の歴史があるフランスの老舗ワイナリーのマネージャーが務めました。
この日は、参加者を自社のぶどう畑に案内し、老舗ワイナリーの技術に裏打ちされた苗木の植え方や育て方など、ぶどう栽培を始めるにあたってのポイントを講義しました。
参加者の1人は「いろいろ吸収させていただいてとてもありがたいです。これからも積極的に参加させていただきたいと思っています」と話していました。
「道南ワインアカデミー」を主催している渡島総合振興局の松田義人主査は「(ワイン造りを学べる存在がいるのは)これは他のどこの地域にもない宝だと思います。美食の街・函館ということを具現化できると思っています。観光の面でみるとワインという新たな魅力ができることによって、ワインツーリズムとして新しいお客さんが来てくれるので非常に注目しています」と新たな可能性の芽生えに注目していました。

既存ワイナリーの協力も

今回の取材を通じて、道南をワインの一大産地にしていくためには「ワインアカデミー」のようにワイン業界に新規参入する人たちにきちんとサポートする仕組みが必要だと感じました。
ブドウを栽培してから、本格的にワインの醸造を始めるまでには5年以上かかるとされていて、適切な栽培をしないと年数を重ねても、商品化できないリスクもあるということです。そうしたリスクを少なくしようと道南では本来であれば競合相手になる既存のワイナリーがみずからの栽培の経験や技術を新たに参入を検討している人たちに伝えるなどの取り組みも行われています。
10年ほど前に函館でワイン醸造などを始め、フランスの老舗ワイナリーが道南への参入を決めたきっかけともなった佐々木賢さんは「1社が10のワインをつくるよりも10社のワインが1つずつ造ったほうがおもしろいと思っているので、本気でワイン造りを考えている人を手助けできたらいいなと思っています。
やりたい人が集まって産地になっていくのが理想的な流れです。その土地らしいワインというのは何軒かワイナリーがあって『函館のワインがこういうものだ』と言語化していけるものだと思うし消費者の人にも認識してもらえると思う。
道南で造るワインの多様性を求めていくような活動が必要だと思っている」と話していました。

関係者は道南にワイナリーが増えることで、手ごろな値段で飲めるワインから有機栽培など付加価値をつけたワインまで幅広い種類を消費者に提供できて、産地としての存在感が高まると期待しています。
行政や既存のワイナリーのサポートを受けて道南で新たにワイン造りに取り組む人たちが参入し、一大産地になれるのか注目していきたいと思います。

(9月23日放送)

<取材した記者>
西田理人(函館放送局記者)
平成29年入局。
長崎局を経て、ことし9月から函館放送局で行政や農林水産分野などを担当

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