NHK札幌放送局

衰弱死裁判 傍聴記⑥ 母親は起訴内容を改めて否認

ほっとニュースweb

2020年11月10日(火)午後5時28分 更新

去年、札幌市で2歳だった池田詩梨(ことり)ちゃんが衰弱死した事件の裁判は、6日目を迎えました。保護責任者遺棄致死の罪に問われている母親の莉菜被告は「亡くなる1週間前にも娘は動き回ることができた」と述べて、衰弱していたとする検察側の主張を改めて否定しました。 (札幌局 取材班)

〈事件概要〉
札幌市中央区の無職、池田莉菜被告(22)は去年5月から6月にかけて娘の詩梨ちゃん(当時2歳)に十分な食事を与えず衰弱させたまま放置し死亡させたとして、保護責任者遺棄致死の罪に問われています。札幌地方裁判所で開かれている裁判員裁判で、莉菜被告は一貫して無罪を主張しています。

〈3回目の被告人質問〉
10日午前10時、莉菜被告が法廷に入りました。
この日は、3回目となる被告人質問が行われ、はじめに弁護士が質問に立ちました。

弁護士
「検察官は遅くても亡くなる1週間前ぐらいから詩梨ちゃんがぐったりしていたと主張するが、どう思うか?」
莉菜被告
「娘は亡くなる1週間前にもキッチンでいたずらをするなど、歩いたり動き回ったりすることができた」
弁護士
「それはいつのこと?」
莉菜被告
「去年5月29日の昼すぎ、藤原被告から『詩梨ちゃんがキッチンのものをぐちゃぐちゃにしてるぞ』と言われて見に行ったら、ほうじ茶を床にばらまくいたずらをしていた」

去年6月5日に死亡が確認された詩梨ちゃんが、そのおよそ1週間前に元気にしていたと証言した莉菜被告。これに対して検察官は、詩梨ちゃんの衰弱を認識していたことを立証するため、反対尋問を行いました。

検察官
「詩梨ちゃんのおしりには、急に痩せて出来たとみられる、しわやたるみがあったのでは?」
莉菜被告
「おむつを替えたときに、おしりにしわが寄っていた印象はない。死後の変化で出来たものだと思う」
検察官
「あなたは詩梨ちゃんが亡くなる2日前に『少し痩せたかな』と思ったと証言している。もっと早く気がつけたとは思わないのか?」
莉菜被告
「仕事、家のこと、そして育児と自分としては精一杯やっていたつもり。今になって、もっとよくみてあげればよかったと思うが、当時はうまくやっていたつもりだった」

〈裁判員・裁判官からも再度の質問〉
続いて、市民から選ばれている裁判員も質問を行いました。

裁判員
「児童相談所の職員から連絡が来て、警察も自宅を訪れて、交際相手の藤原被告の様子も見て、家庭内で虐待が起きているとは思わなかったのですか?」
莉菜被告
「思ってもみなかった」
裁判員
「思ったことないんですか?」
莉菜被告
「はい」

代わって裁判官が質問を続けます。

裁判官
「去年5月20日に詩梨ちゃんを置いて、交際相手の藤原被告と室蘭に出かけたり、札幌駅付近でカラオケに行ったりして12時間も帰らなかった。なぜ、それだけの時間、詩梨ちゃんを1人にしたのか?」
莉菜被告
「お昼に出かけて3~4時間で帰ってこれると思ったが、だんだん日が暮れてきて不安になって、藤原被告に『もう帰ろうよ』と言ったのに帰ろうとしてくれなかった。私はそのときお金を1000円ぐらいしか持っていなかったのでタクシーでも帰ることが出来なかった」。
裁判官
「『帰ろうよ』と言った言葉について正確にはなんと言った?」
莉菜被告
「『詩梨が待ってるから帰ろうよ』と言った」
裁判官
「何回も言った?」
莉菜被告
「言った」
裁判官
「あなたは『藤原被告は育児に協力的だった』と話していたが、帰らせてくれなかったことは協力的とは言えないのでは?」
莉菜被告
「そこまでは考えが及んでいなかった」
裁判官
「具体的にどういうこと?」
莉菜被告
「カラオケ店で藤原被告が『このフライドポテトを詩梨ちゃんに持って帰ろう』と言ってくれていたので、協力的じゃないとは思わなかった」

別の裁判官は、詩梨ちゃんが低栄養の状態だったかどうか確認するため再度、尋ねました。

裁判官
「死因は低栄養による衰弱死だとする法医学者の話を法廷で聞いてどう思った?」
莉菜被告
「話を聞いている限り、事実にほとんど当てはまらないと思った。娘が1週間前までにぐったりしていたとか、自力で食事も出来ない状態にあるのに私たちが無理やり口に食べ物を詰め込んだとか、ありえないです。おかしな話だと思った」
裁判官
「でも、弁護側の証人の専門医も低栄養だったことを指摘しているが?」
莉菜被告
「当時は栄養面にも工夫して食事を与えていたが、専門医の指摘を聞いて初めて低栄養だった可能性を自覚した。それに、夜ごはんに関しては藤原被告があげてくれていると信じ切っていた。今思えば、もっと注意深く見るべきだったかもしれない」
裁判官
「詩梨ちゃんの死を防ぐために何をしておけば良かったと思うか?」
莉菜被告
「根本的には藤原被告と交際したことが間違いだった。私が藤原被告を信じ切ってしまったことを含め、どれだけ忙しくても時間が無くても、娘との時間を作ってあげれば良かったと思う」

法廷での証人尋問や被告人質問はこの日ですべて終わりました。裁判は次回期日の11日に、検察の求刑などを経て結審する予定です。
法廷での莉菜被告の証言を裁判員たちはどう受け止めたのでしょうか。注目の判決は11月20日に言い渡されます。

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