NHK札幌放送局

人工芝のグラウンドに込められた 思いとは?

ほっとスポーツプラス

2020年10月8日(木)午後7時16分 更新

日本中が盛り上がったラグビーワールドカップの開幕から1年。 日本代表のキャプテン、リーチ マイケル選手の母校・札幌山の手高校では今年7月、練習場が全面人工芝に改修されました。 生まれ変わったグラウンドには、ワールドカップの直後に亡くなったある男性の思いがこめられていました。 
(札幌局 松本祐也)

人工芝に生まれ変わったグラウンド

リーチ マイケル選手の母校、札幌山の手高校のラグビー部が練習するグラウンドはこれまでは固い土のグラウンドでした。しかし、今年7月、全面人工芝に改修されました。ラグビー部にとって、やわらかい人工芝は念願の練習環境です。

ラグビー部員
「土のグラウンドのときはひじをぶつけたりしてすり傷が多かった。思い切ってできるので芝はいい」
「今まではスクラムをやるときに滑ってけがをしやすかったので、しっかり芝生の上で練習できるのはとてもいい」

第二のリーチ マイケルを

グラウンド改修のきっかけとなったのは、今は亡き男性医師からのおよそ8千万円の寄付でした。
寄付した中原正雄さんは去年12月、94歳で亡くなりました。
札幌医科大学などで整形外科医として働き、日中国交正常化後の中国で外科手術の指導を行うなど、国の垣根を越えて医学に情熱を傾けていました。

そんな正雄さんが亡くなる直前に心を動かされたものが、去年のラグビーワールドカップでの日本代表の快進撃でした。
7つの国の出身者が集まる日本代表のキャプテンとして、チームをベスト8に導いたリーチ マイケル選手。「その母校に、自分の遺産の一部を寄付して欲しい」。「ここ北海道から、第二のリーチ マイケルを育てて欲しい」。それが正雄さんの遺言でした。

妻の中原佳子さんは、夫の遺志を継ぎ高校へ遺産の一部を寄付しました。

中原佳子さん
「夫は、亡くなる年にワールドカップの試合を熱心に見ていました。国籍関係なく助け合って、日の丸と桜を背負ってトライに向かっていく姿に、自分の姿を重ねたんじゃないかと思います。涙を流して見ていました」

毎日グラウンドの掃除に訪れている佳子さん。

中原佳子さん
「夫の魂が、スポーツをやっている若い男の子の姿を見て、心安らいで天に昇っていってくれたらいいな」。

人工芝で“花園”を目指す

札幌山の手高校ラグビー部は新型コロナウイルスの影響で3月から6月まで全体練習ができませんでした。7月に完成したグラウンドでは、遅れを取り戻そうと練習にも熱が入っています。目指すのは3年連続の全国高校ラグビー大会“花園”出場です。

札幌山の手高校ラグビー部 佐藤幹夫監督
「一生懸命やっているとそれを見てくれている人が必ずいて、それが力に変わっていくというのはすごく感じました」。
札幌山の手高校ラグビー部 木津谷勇輝主将
「花園で今まで山の手が達成できなかったシード校を倒すという目標があるので、そこに向かって日々の練習をこのすばらしいグラウンドの環境でやっていきたい」。

中原さんの思いは次の世代へ

このグラウンドを使うのは、高校生だけではありません。
幼児から中学3年生までが所属する山の手ラグビースクールです。
ワールドカップ後の1年で生徒の数はほぼ倍増して130人ほどになりました。
人工芝になったことで、これまでケガの危険があってできなかった
地面に寝転がるプレーも練習できるようになりました。
人工芝のグラウンドは「やわらかくてきもちいい」と、子どもたちにも大人気です。 

完成したグラウンドには、中原正雄さんの記念碑が建てられました。石碑には、正雄さんの座右の銘“トライ・アゲイン”の文字が刻まれています。
「何度でも困難に立ち向かってほしい」という正雄さんの願いは、このやわらかい芝の上で育まれていきます。

(札幌局 松本祐也)


関連情報

小野×鈴井 対談完全版! その①「おかえりなさい小野選手」

ほっとスポーツプラス

2021年3月23日(火)午後6時35分 更新

「自分の未来を切り開く」MF金子拓郎

ほっとスポーツプラス

2021年7月2日(金)午後9時01分 更新

北海道内8選手が東京パラリンピックへ

ほっとスポーツプラス

2021年8月18日(水)午後6時53分 更新

上に戻る