NHK札幌放送局

“直感”を信じて奥尻島へ

ローカルフレンズ制作班

2022年6月30日(木)午後6時06分 更新

こんにちは!あっという間に最終週!ディレクターの堀越です。お米農家のローカルフレンズの三上良介さんとともに、乙部町と桧山エリアに滞在しています! 今週は、海を渡って奥尻島へ。良介さんが一番刺激を受けているというアツいフレンズが暮らしているというのです。北海道の離島は行ったことがない私。ドキドキしながら行ってきました!

9:00発 フェリーにけっこう揺られて

今の時期、奥尻島行きのフェリーは、江差町のフェリーターミナルから1日1往復運行しています。一日にたった一度の島へ行く方法(飛行機もありますが)とあって、なかなかに込み合っていました。

北海道が大きいせいか、地図で見ると奥尻島って結構近くに見えるのですが、フェリーで行くと約2時間。時間的にもけっこうですが、揺れ的にもけっこうけっこう揺られました。酔い止め買ってなかったらと思うと……。

奥尻といえば奥尻ブルーな海のイメージですが、島全域ほぼ森!

13:10着 半日で周り切れる!?

奥尻島を案内してくれるのは、良介さんの大学時代の同級生で、島でゲストハウスを営んでいる外崎雄斗さん(写真右)です。

でも、1日1便しかないフェリー、帰りの便は翌朝7:00発。
1泊して帰るとなると、島を取材できるのは半日だけ……!こんな弾丸旅で申し訳なさを感じつつ、出発です!

左の方は一緒のフェリーに乗ってきた、雄斗さんのお友達で奥尻島民のノブさん。

ノブさんは、千葉で1か月、誰とも話さず(!)自分と向き合うというインド式の瞑想の合宿に行ってきた帰りということで……、島に久しぶりに戻ってきて車窓から海を眺めると、「戻ってきたなあ~」と思わされるんだそう。

ちなみにノブさんのお仕事は島で唯一の出張タイ古式マッサージ屋さんで、アメリカの大学に行った後、自給自足を研究していて島に戻ってきて、ご実家は海鮮がおいしい定食屋さんで……という、くらくらするほど面白そうな情報ばかり。少ししかお話しできなかったので、また島に来なきゃ!とこの時点で確信しました。

ノブさんの定食屋さんで食べたあんかけ焼きそば
サービスでいかめしも出して頂き、さっそく島のあたたかさを感じました
ありがとうございました!

奥尻島のWest Coast “神威脇地区”

奥尻町の人口は2300人ほど。中心街は島の東海岸にあり、ほとんどの住民が東側で暮らしています。
ですが、雄斗さんのゲストハウスがあるのは西海岸!東西の横断道路を車で30分ほど行った“神威脇(かむいわき)”というところにあります。現在の人口はたった20人ほど。

かつては国後島からの移住者で賑わっていた港町

にぎやかファミリーのゲストハウス

そんな神威脇地区に並ぶこちらの建物が、雄斗さんの営むゲストハウスimacoco。

ちょうど屋根の改修工事中。普段はもちろん足場はありません!

迎えてくれたのは、雄斗さんの奥さんと保育園帰りの子どもたち!
子どもたちは、お部屋を案内してくれたり、バスタオルの場所を教えてくれたり、お喋りに付き合ってくれたり、お客さんにも慣れっこな様子。

パパ~!な次女・つむぎちゃん
私も抱っこ!な長女・きづきちゃん
右側には、長男・一歩くんもいたんですよ

なんで人口20人の集落でゲストハウスを?

雄斗さんは札幌出身。大学生のとき休学して世界中を旅する中で、2つの夢が出来たといいます。一つは、学校の先生。もう一つは、ゲストハウス。

まずは、学校の先生から。釧路の高校の英語教諭として働きはじめます。一番伝えたかったのは、「決まったレール通りに生きる必要なんてない!」という思い。同じ高校に5年勤め、当時の教え子とは今でも交流が続いています。

“直感”で奥尻島へ

教師を5年勤めた後、本格的にゲストハウスを始めることに決め道内を巡りはじめた雄斗さん。最初は、大樹町でやろうと構想していたのですが……。

同じタイミングで、釣り好きのお父さんが良く行っていた奥尻の宿が廃業したことを聞き、奥尻島へ。自分が呼ばれている気がしました。
行ったこともなかった奥尻島で、この宿を継ごう、自分のやりたいゲストハウスをやろう。決め手は“直感”、だったといいます。

そして、驚くべきは文句ひとつ言わず一緒に島へ来た奥さんの香菜さん。
いざ引っ越し!となったフェリーの中で「そういえば、奥尻島ってどのへん?」と話し始めたそうで……これには“直感”派の雄斗さんもびっくり……。いや、そんなことあります?!

アクティビティの道を切り拓く

オープンして5年目となった雄斗さんのゲストハウスは、この夏予約がいっぱいになるほどの大盛況ぶり。それも、お客さんのほとんどがリピーターだといいます。中心部から離れた西海岸の宿に人が集まるということは、宿自体が“旅の目的”になっているということ、そういうお客さんがたくさんいる。それってすごいことだなあ。

人気の理由の一つが、雄斗さんが奥尻島に来てイチからつくっていった島のアクティビティの数々。eバイクやカヤックで島めぐりができるだけでなく、SUP体験やブナの森のツアー、星空観察など、すべて一人で企画してきました。しかもそれを、お客さんの希望や天候に合わせて提案していきます。まさしく「奥尻旅のプロデューサー」だなあと思わされました。

SUPボードがずらり!次回はSUPをやりにいくぞ!

アシスタントの“ももちゃん”がやってきた!

そんな雄斗さんファミリーに、今月、新たな仲間がやってきました。
神戸出身、“ももちゃん”こと角倉百々子さんです。雄斗さん曰く、やっておいてほしいことをなんでも先回りして進めてくれる“プロアシスタント”。だそう。

ももちゃんはもともと音楽の先生。大の離島好きで、小笠原諸島の父島でも先生をやっていたそう。世界を旅する中で、最も気に入ったのは沖縄県・石垣島。「いつか石垣島でゲストハウスをやりたい!」と思っていました。

そこに来たのがコロナ禍。海外旅行ができず、国内旅行で行ったことないところに行こう!「北海道 離島 ゲストハウス」で何気なく調べて、2年前にはじめて奥尻島にやってきました。着いて雄斗さんに会うなり、ももちゃんは決めます。

「ここで働きます!」

えーっ!

Q.移住までしちゃったわけは?
ももちゃん「直感ですね」

やっぱりももちゃんも“直感”。ちょっと寄り道したくなって、くらいの感覚で移住。
最終的な目標、石垣島でのゲストハウス開業のため、修行を積むんだそう。

かたや2年前、札幌局に異動が決まり、東京を今生の別れのように涙ながら去ってきた私。なんだか2人とも、かっこいいなあ。

雨上がりにしか見られない、雨粒をつけたキノコを観察

あっ!と、車を停めて、そーっとワシを観察

桧山で再会した2人はライバル(?)

そんな雄斗さんとローカルフレンズの良介さんは大学の同級生。同じ英文科で、同じサークルに入っていた仲。

久しぶりの再会、がっちり握手の息もぴったり

雄斗さん「良介は英語のクラスが1番上で、自分は一番下で。片手間みたいにリスニングの宿題やってて、こっちはもう必死なのに!」
良介さん「俺は、雄斗には勝手にジェラシーを感じてた!休学して一人旅とかしてて。自分もなんかしなきゃって思って料理人になろうとして」

まさに、お互いを高め合える関係を続けてきました。

良介さんが大学を辞めて料理人を目指すようになってからはしばらく連絡を取っていなかった2人。
そして、6年前、雄斗さんは奥尻島のゲストハウスを立ち上げるオーナーとして、良介さんは乙部町で奮闘する米農家として、桧山で再会することになったのです!

なんか少年漫画の最終回のエピローグみたい……。

今度はともに桧山を盛り上げる仲間として

そして、去年の夏、良介さんのフードトラックは海を渡り、奥尻島へ!
雄斗さんのゲストハウスimacocoの前にも出店しついにコラボ!島内外から人が集まってくれました。

やっととなりに立ててる気がした、と良介さん
今年の夏も企画中です!

滞在を終えて

良介さんを筆頭に、出会うみなさんがみんな、なにかしら「こんなはずじゃなかった!」な人生を辿っているのが印象的だった今回の滞在。でも、みなさんが、逆にその道を楽しんじゃおう!としている姿、とにかくきらめいていました。

何かと安定した方を選んできがちだった私。
ここぞという場面で“直感!”を使えるように、日々心ときめかせて生かねば、そんな思いに何度させられました。

乙部・桧山エリアの皆さん、本当に本当にお世話になりました!
また絶対に絶対に遊びに行きますからね!さすがに次回は車で!

一か月前

すくすく育ったよ


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