NHK札幌放送局

「国葬」道内の動きは

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2022年9月28日(水)午後6時00分 更新

安倍元総理大臣の「国葬」が27日に行われ、道内からは鈴木知事や札幌市の秋元市長などが参列しました。総理大臣経験者を対象として 戦後2例目となった「国葬」。 道内でも世論の賛否は分かれる中での実施となりました。

安倍元総理大臣の「国葬」は東京の日本武道館で午後2時すぎに始まり、1分間の黙とうが行われました。
葬儀委員長を務める岸田総理大臣ら「三権の長」のほか、国会議員や都道府県知事、それに各界の代表や海外からの要人などが参列し、道内からは鈴木知事や札幌市の秋元市長などが参列しました。

献花する鈴木知事

「国葬」に参列した鈴木知事はみずからのツイッターに、「本日、日本武道館において挙行された故安倍元総理大臣の国葬儀に参列し、哀悼の意を表してまいりました。式場では、国内外から多くの要人などが参列する中、私もご遺影に花をささげ、故人の安らかな眠りを心から祈ってまいりました。心からご冥福をお祈り申し上げます」と投稿しました。

鈴木知事は28日の道議会の一般質問で、道政の推進を後押しした安倍元総理大臣に知事として哀悼の意を表したものだとして公費での参列に理解を求めました。
この中で、鈴木知事は27日の「国葬」をめぐり、「賛否についてさまざまな意見がある中で、『国葬』は国の内外の要人など多くの参列者が見守る中、厳かに挙行された。道政の推進に大いに力添えをいただいた安倍元総理大臣に対し、知事として哀悼の意を表した」と述べ、公費での参列に理解を求めました。
そのうえで、「私としては国の儀式として決定した『国葬』への正式な案内があったことから、地方自治法に基づく事務として公務で参列した」と述べました。

「国葬」めぐりさまざまな意見

9月に行ったNHKの世論調査では、「国葬」を行うことへの評価を聞いたところ、「評価する」が32%、「評価しない」が57%で、「評価しない」が上回りました。
また、政府の説明は十分だと思うか尋ねたところ、「十分だ」が15%、「不十分だ」が72%という結果でした。
「国葬」をめぐって、NHKの世論調査では賛否が分かれています。

「国葬」について、札幌市内ではさまざまな意見が聞かれました。

50代の女性
「安倍元総理大臣の任期中の政策であるアベノミクスなどは経済が回っている実感があったので評価したい。そういう意味で国葬には賛成です」
20代の女性
「亡くなった人のことをみんなで悼むことに対しては賛成ですが、コロナ禍で仕事を失っている人もいる中で、国葬に税金を使うことについて詳しい説明が必要だと思います」
70代の男性
「個人として弔意を示すのはいいと思うが、法律で定められていないことに国民の税金をたくさん使うことは反対です」


自治体は対応分かれる

安倍元総理大臣の「国葬」が行われるのにあわせ、道は札幌の本庁舎と道内14の振興局に弔意を表す半旗を掲げました。
このうち札幌市中央区にある道庁の本庁舎では、午前8時に警備員が正面玄関の前に掲揚される国旗と北海道旗をふだんよりも低い位置に掲げました。

一方、道内の各自治体の対応は分かれました。
NHKが主な自治体についてまとめたところ、札幌市のほか、小樽市、室蘭市、釧路市が庁舎などに半旗を掲げる一方、函館市、旭川市、帯広市、北見市、苫小牧市、江別市は半旗の掲揚は行いませんでした。

一方、半旗を掲げた自治体も含め、いずれも弔意の表明について教育委員会への通知などは行わず、学校に対応を求めることはありませんでした。

安倍元総理大臣の「国葬」について、公務を優先するとして欠席した苫小牧市の岩倉博文市長は27日、地元の自民党支部に設置された献花台を訪れ、弔意を示しました。
苫小牧市の岩倉市長は、元衆議院議員として安倍元総理大臣の「国葬」への案内を受けていましたが、定例の記者会見や来客対応といった公務を優先するとしてあらかじめ欠席する意向を示していました。
岩倉市長は27日午前、自民党苫小牧支部を訪れ、事務所に設けられた献花台に花を手向けて亡くなった安倍氏への弔意を示しました。

苫小牧市 岩倉博文市長
「総選挙の折に応援に来ていただき、東京で総理になって大変ご苦労されている姿を近くで見てきた。安倍元総理大臣に対する評価はさまざまですし、この国葬についても賛否両論ありますけれども、ただただ静かに送ってあげるべきではないかと考えていますので、私自身は何の疑問もなくきょう弔意を表させていただいた」

一方、苫小牧市役所の前の国道では、「国葬」に反対する市民団体のメンバーなどが抗議デモを行いました。

北方領土望む根室 元島民は

北方領土を望む根室市の納沙布岬でも半旗が掲げられました。

安倍元総理大臣は在任中、ロシアのプーチン大統領と平和条約締結に向けた交渉を重ねるなど、北方領土問題の解決に取り組みました。

北方領土の元島民や根室市などの自治体関係者とも面会し、地元の声に耳を傾けました。
国後島出身の元島民、古林貞夫さん(83)は、根室市の自宅で「国葬」の様子を伝えるテレビ中継を見守りました。
古林さんは、安倍元総理大臣が在任中にロシアとの平和条約交渉に取り組む姿勢に大きな期待感を持っていたといいます。

古林貞夫さん
「たゆまずにプーチン大統領と会談し、いろいろな機会になんとか領土問題を解決する方策を見いだしたいという安倍氏の努力には敬意を表したい。自分たちの代で領土問題を解決して平和条約を結びたいという気持ちは大事なことで、われわれには力強い言葉だった」

古林さんは北方四島との交流事業で北方墓参と自由訪問にあわせて5回参加し、墓参団や訪問団の団長を務めた経験もあります。
しかし、3年前の8月に国後島を訪れたのを最後に新型コロナやウクライナへの軍事侵攻の影響で故郷を訪問することができておらず、ことしは代わりに「洋上慰霊」に参加しました。

古林貞夫さん
「元島民はほとんどが80歳を超えていて、政府にはビザなし交流や墓参などを再開できるようロシアとの交渉に力を入れてもらいたい。それが領土問題の解決にもつながると思う」


国後島出身で、北方領土の元島民などでつくる千島歯舞諸島居住者連盟の脇紀美夫理事長は27日、「国葬」に参列しました。

千島歯舞諸島居住者連盟 脇紀美夫理事長(参列にあたり)
「国葬に賛否両論があることは承知しているが、総理大臣在任中に北方領土問題を解決したいという思いは元島民として十分に感じていた。結果として領土問題は前進しなかったが、取り組んでくれたことへの感謝を込めて参列したい」

北方領土の隣接地域でつくる連絡協議会の会長を務める根室市の石垣雅敏市長は公費で「国葬」に参列しました。

根室市 石垣雅敏市長(参列にあたり)
「安倍氏は、高齢化し時間に限りがある元島民の思いに寄り添いながら、次の世代に先送りすることなく終止符を打つとの決意で問題の解決に取り組まれた。領土問題は国と国との問題であり、今の政治家には安倍氏の意思をしっかりと受け継いでもらいたい。北方領土返還要求の歩みを止めることなくしっかりと進むと伝えたい」


帯広畜産大学 半旗を掲げる

安倍元総理大臣の「国葬」が行われた27日、帯広畜産大学は道内の国立大学で唯一、弔意を表す半旗を構内に掲げました。

大学は「さまざまな意見があることは承知しているが、日々国旗を掲揚している中で、通常どおり掲げるのかと考えたときに、『国葬』であることを鑑みて半旗の掲揚を決めた。学生や教職員に弔意を求めるものではない」としています。
これについて、学生たちに構内で聞いたところ、賛成する意見が多く聞かれた一方、学生への事前の説明を求める意見などもあがっていました。

1年生の男子学生
「日本のために尽くしてくれた方だと思っているので、半旗の掲揚はよいことだと思う」
4年生の女子学生
「国立大学だということや、歴代最長の在任期間だったことを考えても、半旗の掲揚はよい対応だと思う」
4年生の女子学生
「国に尽力した方でもあるので、改めて残念な事件だったなと感じるきっかけになった」
大学院に通う女子学生
「事前に半旗を掲揚することについて学生に連絡がなかったので、周知してくれたほうが素直な気持ちを持てると思った。半旗の掲揚を決めたプロセスについては問題があるのかなと思う」
2年生の男子学生
「半旗の掲揚自体は学校が決めることなので勝手にやればいいと思うが、いろいろな問題も指摘されていた総理大臣なので『国葬』には反対している」


札幌 反対する市民団体などが集会

安倍元総理大臣の「国葬」が行われた時間にあわせて、札幌市では反対する市民団体などが集会を開きました。
この集会は、「国葬」は法的な根拠に疑問があるとして反対する市民団体などがJR札幌駅前で開き、主催者の発表によりますと200人余りが集まりました。
集会では、「国葬反対」などと書かれたプラカードや横断幕を持った人たちがおよそ1時間にわたって反対を訴えました。

そして、参加した人たちが次々と反対の声をあげ、「岸田総理大臣は国葬の実施について丁寧に説明するとしているが、あいまいなままだ。さまざまな場所で半旗が掲げられることも弔意の強制だ」などと訴えました。

集会に参加した20代の大学生の男性
「法的根拠がないものを自由に行えるということを前例にすれば、国会は必要ないということになってしまう。黙っているわけにはいかないと思って集会に参加した」


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