NHK札幌放送局

山菜採り男性死亡 母グマが子グマ守ろうとして襲ったか

ヒグマ情報

2021年4月12日(月)午後7時20分 更新

10日、厚岸町で山菜採りをしていた男性がヒグマに襲われて死亡した事故で、近くに冬眠に使われた穴があり、そばに子グマの死骸があったことが分かりました。現地調査した専門家は、母グマが子グマを守ろうとして襲った可能性があるとみて詳しく分析することにしています。

ヒグマの専門家が現地調査

12日、クマの生態に詳しい道立総合研究機構の釣賀一二三研究主幹が道と町の職員とともに現地の山林に入り、状況を調査しました。

釣賀さんによりますと、現場は沢沿いの勾配が大きい斜面で、見晴らしはあまり良くなかったということです。
現場から40メートルほど離れた場所にクマが冬眠したとみられる穴があり、近くから死後数日たった体長60センチあまりの子グマの死骸が見つかったということです。

こうした状況から釣賀研究主幹は、母グマが子グマを守ろうとして近づいてきた人を襲った可能性があるとみて詳しく分析することにしています。

釣賀研究主幹
「現地の状況から判断すると母グマによる偶発的な事故ではないかと推測される。山菜採りのシーズンが本格化し、人とクマが近づく時期なので鉢合わせしないよう注意してほしい」

地元ハンター“クマがよく出る場所”

10日、北海道猟友会厚岸支部の古澤副会長は、事故の連絡を受けてほかのハンター2人とともに山林に救出に向かいました。
古澤さんによりますと、男性は道路から700メートルほど奥に入った地点の沢沿いの谷間に倒れていて、腰にはクマよけの鈴を着けていたということです。
現場の山林にはこの時期、ギョウジャニンニクなどの山菜を採りに訪れる人もいるということです。

今の時期は冬眠明けのクマがエサを求めて動きが活発になるということで、山に入る際には鈴を鳴らすなどして注意するよう呼びかけています。

古澤さん
「現場は数年前からよくクマが目撃されていた場所だった。山菜採りをしているときは下を向いているので、クマが近づいていることに気づきにくい。クマの生息域に近づく際は、常に大きな音を出して出くわさないようにするしかない」

5年前に比べ1.8倍

北海道警察本部によりますと、2020年の1年間にヒグマが目撃されたり、ふんや足跡が確認されたりした数は合わせて1816件と、5年前と比べて1.8倍に増えています。また、去年1年間で見ると、死亡した人はいませんでしたが、2人がけがをしています。
道が、1989年からことし1月までの32年間に起きたヒグマの被害を分析したところ、この期間中にけがをしたり死亡したりした被害者43人のうち、65%にのぼる28人が山菜やきのこ採りの最中に襲われるなど、被害は春と秋に集中しています。
このため道は、毎年4月と5月の2か月間を「春のヒグマ注意特別期間」、9月と10月を「秋のヒグマ注意特別期間」として注意するよう呼びかけています。

“暖かいため早くから活動”

ヒグマの生態に詳しい北海道大学大学院獣医学研究院の坪田教授によりますと、道内でヒグマが目撃される件数などが増えている背景には、ヒグマをめぐる政策の転換があります。
かつて道は、「春グマ駆除」という制度のもとヒグマを害獣として捕獲していましたが、生態系の保護などを理由に1990年に制度が廃止され、それ以降、全道でヒグマの生息数は増えているということです。

坪田教授
「数が増えれば分布も広がるため北海道のどこでもヒグマが出ると思ってほしい。ちょっとした裏山でも、山に入るからにはクマに出会わないための準備をしてほしい」

通常ヒグマは気温が上がって雪がとける3月下旬から4月にかけて冬眠から覚めますが、ことしは暖かくなる時期が早く、3月中旬ごろから活動をする時期に入っているということです。
山に入る際には▼人がいることをヒグマに知らせる鈴と、▼万が一襲われた時に備えて熊よけのスプレーなどを持って行くとともに、▼大声を出したり手をたたいたりしてクマに人がいることを知らせることが重要だと指摘しています。

坪田教授
「走って逃げるとクマは追いかける習性があるので、静かに少しずつ距離を取ることが大切です。この時期はクマも山菜を食べているので、山菜採りに入る場合はそこにヒグマがいるという覚悟と準備を持って山に入ってほしい」

クマよけグッズ

ヒグマと遭遇しないための対策について、アウトドアの専門店で聞きました。
クマよけグッズとしてはホイッスルやスプレーなどもありますが、なかでも人気は鈴だということです。
取材した専門店では、▼遠くまで聞こえるように音が長く響くものや、▼複数で山に入ったり街を移動したりしているときにうるさくないように音を消せるものなど、13種類の鈴を取り扱っています。

秀岳荘白石店の伊藤マネージャー
「4月や5月になると山菜採りや釣り、山開きシーズンとなるので、クマよけグッズの人気が高まります。多くの人が入る山ではうるさくなってしまうため、状況に応じて音を消すことができる鈴も最近では人気です」

2021年4月12日放送

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