NHK札幌放送局

「震災の記憶、伝え続ける」田中克幸さん

いぶりDAYひだか

2020年8月7日(金)午前10時30分 更新

厚真町観光協会の一室で、6人の男女が熱い議論を続けていた。
20代から70代、歩んできた道も境遇もそれぞれ違う。ただ1つ、共通の思いがある。「震災の記憶を伝えたい」ということだ。メンバーは「被災地ガイド」として去年から活動を始めた。土砂崩れの現場などを回り、震災の記憶を伝える取り組みを行っている。


その1人、田中克幸さん(29)は企業広告や商品のパッケージデザインを手がけている。おととし4月、東京から厚真町に移住してきた。
移住者が多く、さまざまな価値観を持つ人たちが集まっている風土にひかれた。地震が起きたのは、その5か月後。ようやく慣れ始めた町の光景が変わってしまった。


映像を公開することへの迷い

この2年間、田中さんはカメラとドローンを駆使して、被災した現場を映像で記録し続けてきた。ホームページなどで紹介しているのか聞くと、田中さんは首を横に振った。

現場の映像を見ることで、家族や友人を亡くした人たちの心の傷をえぐることになるかもしれない。だから、不特定多数の目に触れるような形で、映像を公開したくなかった

一方で、迷いもある。各地で発生する大規模や災害や新型コロナウイルスの感染拡大で、胆振東部地震の記憶が風化しているのではないか。甚大な被害を受けた厚真町、安平町、むかわ町で暮らす人からは「自分たちのなかでは地震の記憶は決して薄れていない。しかし、町外にいる人の記憶は薄れてきていると感じる」という声が多く聞かれる。


「被災地ガイド」として

地震から2年がたとうとしている今、田中さんは徐々に映像を公開しようと決意した。厚真町まで足を運べない人に向けて、映像で被災の現場をガイドする「バーチャルガイド」の準備を進めている。

私は地震によって家族を亡くしたり、心に深い傷を負ったわけではない。しかし部外者でもない。そういう立場の自分だからこそ、ガイドとして、伝えられることがあると思う

田中さんの脳裏に、移住してきた自分を温かく迎え入れてくれた人、助けてくれた人たちの顔が浮かぶ。被災地ガイドの取り組みは、町への恩返しだと感じている。

(2020年8月7日)

竹村知真 旭川局記者
2018年入局 警察・司法担当・農業などを中心に取材。


「復興へ 胆振東部地震」特集ページに戻る

NHK室蘭放送局ホームページ トップに戻る


関連情報

水ようキャラバン・ベリーファームとようら【石川晴香】

いぶりDAYひだか

2020年8月4日(火)午後1時43分 更新

10月4日は会館公開 室蘭放送局に集まれ~!【西野愛由】

いぶりDAYひだか

2019年9月26日(木)午後5時23分 更新

9月は室蘭月間!

いぶりDAYひだか

2019年8月28日(水)午後5時51分 更新

上に戻る