興部町で12月10日、冬用の子ども服を格安で販売するフリーマーケットが開かれました。育ち盛りの子どもを育てる親にとって、子ども服が安く手に入るのはありがたい話です。取材を進めていく中で、この催しに携わる人たちの思いや活動の大切さを知りました。
このフリーマーケットを企画しているのは紋別市を中心に子育て支援などの活動をしているNPO法人「はぐくみ」です。市民から寄せられた子ども服などを有効活用しようと季節ごとに開いていて、およそ500点を並べた会場はオープンと同時に数多くの親子連れでにぎわいました。
「はぐくみ」の理事を務める川口とも子さんは児童養護施設に勤務していた経験があり、当時は家庭に問題を抱えた子どもたちと数多く接する中で「こんなにかわいい子どもたちにどうして虐待してしまうのだろう?」と疑問に感じていたそうです。その後、自分が結婚・出産し、紋別市に移り住んで子育ての当事者になった時に多くの不安やストレスを感じたと言います。そんな時に心の支えになったのが子育てサークルで知り合った人たちの小さな親切でした。そして、問題の解決には子どもたちの保護だけではなく、親の心のケアも大切だと気づいたと話します。
道内の児童相談所に寄せられる児童虐待の相談は増加傾向が続いていて、2021年度は6421件で過去最多でした。こうした状況の中で行われている「はぐくみ」の活動について、紋別市の担当職員は「小さな街ですが、問題を抱えている家族は居ないわけではありません。この活動は行政がなかなかできない部分を担ってくれて、本当に助かっています」と話します。
再びフリーマーケットに目を向けてみると、会場には親がゆっくり服を選べるように子どもたちが塗り絵などで遊べるキッズスペースが用意されていました。多くの人たちが訪れる中で和気あいあいと楽しむ親子や、笑顔で販売を手伝う子どもたちの姿も印象的でした。スタッフを務めた30代の女性は「結婚して興部町に来たので知り合いが少なくて、おさがりも無かったので前回のイベントで買い物に来ました。すてきな活動だなと思っていましたが、今回は近所で開かれるというので手伝いに来ました」と話していました。
核家族化が進み、プライバシーを守ることが優先されがちな現代社会は半面で人と人のつながりを築きにくい時代でもあります。家族や子どもたちが健やかに成長していくには、こうしたささやかな気遣いや助け合いが大きな力になるのかもしれないと感じさせてくれました。
紋別支局・吉田雅士通報員

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