NHK札幌放送局

藤丸閉店で地元への影響は?“夏の風物詩”への影響も懸念

ほっとニュースぐるっと道東!

2023年1月18日(水)午後3時15分 更新

今月末に閉店する帯広のデパート「藤丸」。閉店によって従業員の雇用や経済などさまざまな影響が心配されています。こうした課題について取材を進めていくと、帯広を代表する祭りへの影響も懸念されていることが分かりました。一体どういうことなのか。実は、商店街のイベントにも使われる「組合費」が関わっていました。


藤丸閉店で帯広三大まつりが…

藤丸がある帯広平原通商店街。藤丸をはじめ52の事業者が組合員に名を連ねています。

この商店街の振興組合の清水達朗理事長が今、頭を悩ませているのが平原まつりの今後についてです。

帯広平原通商店街振興組合 清水達朗 理事長
「いちばん大きな存在だった藤丸さんから入ってくる会費の部分がなくなると今まで回っていた物が回らなくなります」

平原通を中心に夏に開催される「平原まつり」。およそ70年前から続く帯広を代表する祭りで、多い年では20万人以上が足を運びます。まちの人たちに思い出を聞いてみると、祭りがどれほど人々に愛されているかが伝わってきます。

小学3年生の女の子と祖母
「楽しい!」
「楽しいのと、やっぱり夏の風物詩というか」
40代の女性
「夏が来たら必ずあるもの」
男子高校生
「いろんな人の活気が感じられて、すごい感動しました。年に1回しかないですし、友達と遊んだりするのにもいいイベントで毎年楽しみにしています」


祭りを支える大事な組合費

メイン会場となる平原通商店街では去年、高校生による書道パフォーマンスが披露されたほか、屋台やキッチンカーの出店などのイベントが開催されました。

こうした祭りの出し物や、装飾のための費用は平原通商店街の組合員から募る会費でまかなわれています。店舗の規模の大きい藤丸は毎年、全体の4分の1近くの金額を納めてきました。今月末の閉店で藤丸からの会費が途絶えるなか、これまで通り祭りを運営できるのか。商店街は懸念を強めています。

帯広平原通商店街振興組合 清水達朗 理事長
「そもそも商店街というのは営利団体ではありませんので、入ってくる金額から支出の金額というのもある程度毎年定まっています。こうした大きな金額がぽこっと抜けたときに、補填するだけの予備費をもっていません。ほぼ確実に不足するのではないかと危惧をしています」

組合によると、新型コロナの感染が拡大したこの3年間で組合員の数は13も減ったといいます。会員の減少に加え、どの事業者もコロナ禍で厳しい経営状況に置かれるなか、不足する分を他の組合員でまかなうことは厳しいといいます。

清水理事長
「大口が抜けたからその分値上げしますというのはちょっと不可能だと思います。コロナ禍という状況が今も完全に収まったわけではないですけれども、ひどかったですから。全く人っ子一人歩いていないという状況が続きましたので…」

そのうえで、清水理事長は祭りが抱える課題についてまずはみんなで共有し話し合っていきたいといいます。

清水理事長
「予算的に足りなくなるという部分については必ずどこかで手当てをしなくては今までと同じ規模のことはできないということは明白ですので、それをどうしていくのか。規模を縮小するのか、それとも他のところからお金を持ってくるのか、他のやり方があるのか、そういったことをまずは1つのテーブルで(帯広市などと)議論できるような情報の共有がいまの地点かなと思います」


帯広市も商店街と今後の対応を協議へ

こうした声について帯広市も今後の対応について商店街と協議する考えを示しています。

帯広市 米沢市長
「今後は帯広のまつり推進委員会で平原まつりの開催内容等について検討されると認識しております。帯広市としても祭りの推進委員会のメンバーでありますので、一緒に皆さんとこれから出てくるであろういろんな課題に対応していきたいと思っています」

地元の商店街が懸念するのはお祭りだけではありません。中心街の活性化が長年の課題となる中、今回の藤丸閉店が空洞化に拍車をかけることも懸念されています。
藤丸は新会社のもとで今後再建を目指しますが、その行方は地元商店街にとっても最重要項目となります。


【取材後記】
藤丸閉店による商店街への影響を取材するなかでわかった組合費の問題。藤丸の存在の大きさを改めて実感しました。
祭りなどの商店街のイベントがどのように運営されているのか、ふだん私たちが意識することはめったにありません。私自身も知りませんでした。一方で、こうしたにぎわい作りをしかける商店街は新型コロナの打撃もあり疲弊しています。清水理事長のお話は、お金の不足の問題以上に祭りはもちろん、今後の街なかについて市民を含んだみんなで考えるために大事なメッセージを含んでいるのではと感じます。
関係者や行政だけでなく、大勢の人に関心を持ってもらうために、今後も商店街の動きを取材し、お伝えしていきたいと思います。



《藤丸の歴史と、これからの再建の動きをまとめました》
▶どうなる“藤丸” 特設サイト

《藤丸最後の1日を総力取材》
▶藤丸閉店 1日の動き

《関連記事ピックアップ》

▶「新 藤丸」トップは何を語る【詳報】
▶藤丸の灯を守りたい「藤丸を応援する会」の思い
▶藤丸なぜ閉店?再建できるの?担当記者が答えます!
▶"藤丸の思い出"半世紀前のスカーフ
▶みんなの"藤丸"の思い出(随時更新)
▶相次ぐ道内デパートの閉店 ついに札幌・函館だけに
▶【ショートコラム】藤丸前のシカの像 正体は?
▶NHK帯広放送局ホームページ


関連情報

120年超える歴史に幕 5つの時代へて

ほっとニュースぐるっと道東!

2022年12月26日(月)午後5時47分 更新

NHK杯アイスホッケー大会 決勝戦ハイライト

ほっとニュースぐるっと道東!

2023年11月6日(月)午前11時00分 更新

みんなの望む“まち”

ほっとニュースぐるっと道東!

2023年3月13日(月)午後7時00分 更新

上に戻る