NHK札幌放送局

#シラベルカ 結果報告!仮説を検証してみた件

シラベルカ

2020年4月8日(水)午前10時59分 更新

初回の質問は、視聴者アンケートを行った結果、「宗谷・留萌地方で新型コロナ感染者がなぜいないの?」が選ばれました。 難題に頭をかかえながらも、取材班の話し合いで出た仮説を1つずつ検証していくことにした入局4年目の同期トリオ。稚内の現場を支局の有水記者と高カメラマンが、札幌での情報取材を藤井記者が担当することになりました。

現場で話しを

さっそく有水記者と高カメラマンが合流して稚内で取材を開始。まずは、なぜ感染者がまだ出ていないと思うか、聞いてみることに。
街の人からは
「いつ出てもおかしくない。運がいいだけじゃないですか」
「稚内は潮風が強いから、ウイルスも飛んでいってしまうのかも」
「人口が密集してないからだと思います」などさまざまな意見がありました。


みんなまじめに対策?

中でも印象的だったのが、「みんな真面目に対策をしている。夜飲みに出かける人も減った」という声。稚内市役所でも職員がボランティアで手作りした600枚余りのマスクを各学校に配布するなど、それぞれができる感染対策を行っていました。


冬の観光が少ない?

さらに取材を進めると・・・。
「宗谷地方は夏場に観光客が多く、冬場は少ない。人の往来が少ない冬場にコロナが流行したから、その影響で感染者が出ていないのでは」という説も浮かび上がってきました。
この仮説について、宗谷総合振興局の商工労働観光課に取材してみると、平成30年度では観光で宗谷地方を訪れた人が最も多かったのは7月でおよそ35万人。一方、最も少なかったのが2月で5万人余りと大きな差が。さらに、ことしは少雪の影響で道内外から5000人以上の来場者が訪れた「全国犬ぞり稚内大会」が中止に。やはり、冬場の観光客が例年より少なかったようです。


PCR検査が少ないのでは?

一方、札幌で取材を進める藤井記者は・・・。
そもそも道内の新型コロナウイルスの検査状況はどうなっているのか。道はこれまで全体のPCR検査数は公表していましたが、振興局ごとの検査数は公開していませんでした。

今回取材を進めると道はPCR検査数を明らかにしました。
すると、留萌地方は4件、宗谷地方は14件(3月31日まで)と、ほかの地域よりも件数が少なかったことが分かりました。人口換算してみても、検査率はほかの地域より低い結果となりました。
この数字の差は、人口が少ないということだけで説明できるのか。

専門家の見解は?

そこで、PCR検査数のことも含めて、今までに出た仮説を専門家にぶつけてみる事にしました。話を聞いたのは感染症に詳しい札幌医科大学の横田伸一教授です。

仮説① PCR検査の数が少ないので、感染者が見つかっていない?
藤井記者「PCR検査数が留萌地方で4件、宗谷地方で14件という数字を見てどう思いますか」
横田教授「PCR検査は、日本では症状のある方、特に重症リスクの高い方に行う方針になってます。そういう意味では、基準の症状に合致するような人があまりいないのかなという印象です。」
藤井記者「それでも4件や14件は少ないのではないでしょうか?」
横田教授「保健所では基準に基づいて判断していると思いますので、数だけで判断するものではないと考えます。もしかしたら、感染していることを知りたくないという理由で受診しない方もいるかもしれないです。」

仮説② 風など気象条件が影響している?
横田教授「気象との関係はほとんど分かっていません。風邪などを起こすウイルスは、冬場ははやりますが、暖かくなってくると消えるというのが一般的です。ただ今回の場合は、それが当てはまるかどうか疑問が多いです。屋外だと風が強いにせよ、弱いにせよ、開放的な空間であれば飛まつの濃度は著しく薄まるので、感染リスクが下がります。結局は接触すれば感染してしまうので、あまり関係はないと思います。」

仮説③ 冬は留萌・宗谷の観光シーズンではないので、観光客が少なかった?
藤井記者「ちょうど観光のオフシーズンだったことは関係ありますか?」
横田教授「新型コロナウイルスが初めて北海道に入ってきた時、全道各地で患者が出ました。中国人観光客が入るなど全道各地にその感染源が広がったと考えるのが妥当かなと思います。留萌・宗谷は冬場の観光というのはあまりない地域だと思うのですが、観光客があまり入ってこなかったため、感染者が出なかったというふうに考えられるのではないでしょうか。」
横田教授は感染者が出ていないからといって「留萌・宗谷は安全というわけではない」と言います。

横田教授は「このウイルスの特徴の1つとして、感染者のうち5人に1人ぐらいが感染源になると言われています。ですから、あくまで確率ですけれども、感染者集団(クラスター)があって初めて感染させる感染源ができると考えられています。そういったものが、留萌・宗谷でできにくいのかもしれないですね。しかし、もう既にそのウイルス自体が入っている可能性は十分あると思うんです。それが顕在化していないっていう可能性も否定はできないので、感染者が出ていない地域だからといって油断せず、注意は必要です。」と話しています。


地図で印象が変わる?

ここまで、留萌地方と宗谷地方でなぜ感染者が確認されていないのかという視点から取材してきましたが、実は視点を変えると見え方が変わることも分かってきました。
2つの地図を比べてみます。上は振興局別に色をつけた従来の地図、下が市町村別に色をつけた地図です。この日までに感染が確認されているのべ194人分のうち158人分の情報ですが、ずいぶんと印象が変わるのではないでしょうか。

<振興局別>

<市町村別>


わたしたちも含め、発表の方法や伝え方によって人に異なった印象を与えることも事実です。地図を見てもらうと感染者が出ていない自治体のほうが多いのです。


引き続き対策を

今回の調査で分かったことは、留萌地方と宗谷地方が必ずしも特別ではないということです。これまで仮説を検証しましたが、あくまで感染リスクが低いということで、今後、人が移動すれば感染者が出るおそれはあります。引き続きそれぞれが感染対策を行っていくことが重要です。

放送の動画はこちら


札幌局 藤井凱大記者(左)
入局4年目。函館局を経て、
札幌局で教育を担当。福岡県出身。

稚内支局 有水崇記者(中央)
入局4年目。札幌局を経て、
稚内支局に異動。1人で宗谷地方をカバー。福岡県出身。

札幌局 高伽耶カメラマン(右)
入局4年目。山岳カメラマンとしても修行中。大阪府出身。


🦌みなさんの反応🦌
■留萌宗谷には、なぜ、コロナ陽性者がいないか?についてです。 私の友人は、仕事の都合で、平日は札幌、土日は留萌支庁、という日々を何年も続けています。 1ヶ月ほど前に、留萌で最初の感染者が出るとしたら、…ということで、話を聞いたら、自分がそうならないように、細心の注意をしているという旨の話をしていました。 そのように札幌や旭川と往復している人は、少なからずいることと思います。 不特定の観光客がいなくなっている、ということは、そうだとは思いますが、… うつされないように、うつさないように、ということをそのような人たちは、注意深く行っているということも有るのではないでしょうか。

■宗谷管内に住む者です。 この度、留萌宗谷にコロナがないのは何故かという疑問を調べてくださり、ありがとうございます。 来週、結果を伝えるとのことですが、是非そこで 「コロナ出てないからと行って逃げてくるな」という旨を、きちんと伝えていただきたいです。 毎日毎日、いつ感染者が増えるかわからないでいます。 未発症の感染者が、コロナ出てないなら遊びに行こうなど、安易に考えないように。 また、せっかく出ていないのだから、わざわざ感染地域に出向くことのないように。 切実なお願いなのです。

■新型コロナウイルスが世界中に広まり、早、数か月になる。僕の住む留萌地方羽幌町も、まだ感染者がいない。管内感染者第1号にならないようにうがい・手洗いなど気を付けている。いつまで今の日本が続くのか?気になります。今のまま観光や経済の循環を北海道内に限定すれば大丈夫な気がします。


シラベルカ トップページへ

関連情報

シラベルカ#13 まるでナスカの地上絵 「碁盤の目」の正体…

シラベルカ

2020年6月26日(金)午後4時58分 更新

シラベルカ#5 新型コロナ3つの投稿に答えます

シラベルカ

2020年5月15日(金)午後3時00分 更新

シラベルカ#26 カラスって増えたの?

シラベルカ

2020年10月16日(金)午後5時41分 更新

上に戻る