新型コロナウイルス感染が急速に子どもたちに広まっています。道が公表しているデータの解析から、道内では1月19日から10歳未満の感染の全年代に占める割合が急速に高まり、25日時点でおよそ15%に達していることが分かりました。
学級閉鎖や休園相次ぐ
札幌市内では子どもの感染が増えていることから、小学校や保育所などで学級閉鎖や休園となっているケースが相次いでいます。

札幌市教育委員会によりますと、25日時点で市立の小学校の学級閉鎖は124学級に上っています。市立の小学校の学級閉鎖は始業式があった1月19日は1校もありませんでしたが、21日に17学級、25日は124学級と毎日右肩上がりで増えています。また、札幌市によりますと、25日時点で保育所や認定こども園などの市内の保育施設では37か所が休園しています。
オープンデータが示す子供への感染拡大状況
NHKは、道内の感染状況を年代別に把握しようと、おととしから道が年代ごとに公表している新型コロナウイルスの新規感染者数のオープンデータを解析しました。
その結果、1月19日以降、10歳未満の新規感染者数が100人を超えて急激に増加し、すべての年代に占める割合も20日を除いて10%を上回り続け高まっていることが分かりました。
25日には、過去最多となる220人の感染者が確認され、すべての年代に占める割合も14.9%となりました。

これまで、新型コロナウイルスの感染者に占める10歳未満の割合は少なく、第4波では新規感染者数がピークとなった2021年5月21日でも1.6%、第5波では新規感染者数がピークとなった2021年8月18日でも2.9%で、今回の第6波で10歳未満の割合が高いことが分かります。

感染症学の専門家は—
札幌医科大学 横田伸一教授
「オミクロン株の感染力が強く、これまで新型コロナウイルスに感染しにくいと言われていた子どもへの感染が広がったとみられる。現時点では重症化するケースは少ないものとみられ、過剰に感染を恐れることなく、手洗いやマスクと言った基本的な対策を徹底して感染拡大を防ぐしかない」
小児科医院で聞いてみた
札幌市の「円山ため小児科」の多米淳院長によりますと、1月19日以降、発熱外来で受診する子どもの数が急増していて、第4波や第5波の時は、週に3人から4人ほどだったのが、この1週間では1日に10人ほどが訪れるということです。
医院では一般の患者への感染を防ぐため、発熱外来で訪れた子どもについては、車で来院した場合は車の中で、徒歩の場合は建物の別スペースで診察やPCR検査のための検体の採取を行うなど、対策を強化しています。
診察に来る子どもは、発熱やのどの痛みを訴えて訪れるケースが多いものの、インフルエンザのように高熱が続いて強いだるさを訴えるケースは少ないということです。
多米院長
「オミクロン株の感染力が強く、1月の新学期が始まって子ども同士で感染が広がった可能性がある。手洗いやマスクと言った基本的な対策の徹底に加えて、家庭内で子どもの体調をふだんよりこまめに確認して発熱などの症状が見られたら、病院を受診してほしい」

「差別・批判は避けて 正確な情報を」
一方で、同級生で陽性者が出たからといって症状がない段階や、陰性を確認するためだけの目的で診察を受けることは、医療のひっ迫につながるため、避けてほしいとしています。
さらに多米院長は—
「誰でも感染しうる状況なので、感染した人を差別したり批判したりすることは避けてほしい。子ども向けのワクチン接種に向けても、接種するかしないかで、子どもたちが分断されないよう、正確な情報の発信と理解が重要です」
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