NHK札幌放送局

【放送記録】縄文人に“きゅん”です!

北海道まるごとラジオ

2022年6月24日(金)午後4時26分 更新

6月16日放送の北海道まるごとラジオ、 テーマは世界遺産登録から1年の『縄文』でした。 

ゲストは、
学生時代に発掘を始めて、
そこから縄文の魅力にはまった、
市立函館博物館の学芸員、福田裕二さん(写真右)と、
縄文を通じて地域を盛り上げる活動をしている
民間団体、縄文DOHNANプロジェクトの代表、
山田かおりさん(写真中央)です。

そもそも、縄文人といっても同じ人間です。
私たちが直面する課題に、どう対応していたのか?
福田さんに伺いました。

Q:ロシアのウクライナ侵攻など、争いが絶えない中、
10000年も続いた縄文時代、戦争なかったって本当?

福田さん
縄文時代にはたくさんの人たちが戦った痕跡がないんです。
理由の1つは、人口が少なかったこと。
多かった時代でも、26万人くらい。
食料資源も海・山・川に豊かだったので、
争う必要が無かったのでは。
少ない人口だからこそ、助け合っていかなければ
暮らしていけないような時代だったと思います。
そこが日本人の美徳というか、
助け合いの精神につながっているのかなと思います。

そう聞くと、なんか嬉しいですね。

Q:コロナのような病気には、どう対応したの?

福田さん
当然、感染症はあったと思う。
薬草のようなものもあったでしょうし、
病人を隔離することもあったでしょうが、
それでも対処できない時は、
神頼み、まじないとかで病魔を払うことも
あったのかと思います。

Q:縄文人はSDGSを実践していた?

福田さん
貝塚などで、当時のものが大量に見つかることがある。
かつてはゴミ捨て場と考えられていたが、
人骨も埋葬されていたりする。
そう考えると、貝塚は、
大切な身内や、命をつないでくれる動物、植物、
役に立った石器や土器などの魂をあの世に送る、
墓場のようなものであって、
命を大切に、ものに感謝していたんだと思う。

JOMON ARCHIVES提供

さらに、福田さんと山田さんは、
子どもたちにも縄文を知ってもらいたいと
縄文クイズを作りました!
皆さんもチャレンジ!

第1問
次のうち、縄文人が食べなかったものは?
1 ハンバーグ 2 クッキー 3 トンカツ

福田さん
正解は、トンカツです!
縄文時代に豚は食べていません、弥生時代以降です。
イノシシは食べていました。

第2問
次のうち、縄文人が飼っていた動物はどれでしょう?
1 牛  2 犬  3 猫 

福田さん
正解は、犬です!
犬は狩りのパートナーだったんです。
牛、猫は弥生時代以降に入ってきました。

会場の皆さんもクイズに参加してくださいました!

第3問
次のうち、縄文人によって北海道に運ばれて
広がったのはどれでしょう?
1 クリ  2 ジャガイモ  3 たまねぎ 

福田さん
正解は、クリです!
北海道には自生していませんでした。
津軽海峡を越えて人によって運ばれたと思われます。

そして、この日、ゲスト、リスナーが
盛り上がったのが、土偶の話です!!
中でも、北海道唯一の国宝で
縄文の人気者「かっくう」!

福田さん
非常に均整がとれていて、精巧にできてます。
一番薄いところは、2ミリくらいです。
これは土偶の役割にも関わっているかと思います。
土偶は、実は、壊されるために作られると
言われています。
手前みそかもしれませんが、
国内で1番作りのいい土偶かなと思います。

そんな“かっくう”の独自の楽しみ方を
「縄文女子」でもある山田さんが教えてくれました!

山田さん
私も“かっくう”が大好き。
見る角度によって、笑っていたり、すねていたり、
色んな表情が見られるのが面白いんです。
私は、右斜め30度くらいから見るのが好きです。
ちょっと、りりしいんですよね(笑)。

皆さんも、是非、“かっくう”を見る時は、
右斜め30度から、見てみてください!
函館市の縄文文化交流センターにいます!

でも、縄文人って、みんな土器・土偶作れたの?

福田さん
たくさんの土器を見てみると、
きれいに精巧なものもあれば、
ちょっと雑だなというのも結構ある(笑)。
だから、器用な人も不器用な人もいたのかなと
思います。

でも、こう聞くと、
なんか縄文人に親しみがわきますよね。
土器づくりが下手な縄文人、“きゅん”です!

最後に、2人に“縄文遺跡”の楽しみ方を聞きました!

山田さん
函館市の大船遺跡が好きです。
深いところで2mもある竪穴住居跡が見える。
そこに立つと、目の前に海が広がっている。
背面にはクリの木。
縄文時代にタイムスリップしたような
気持ちになるんです。
福田さん
遺跡に来たら、景色をじっくり見て
縄文の空気感を満喫しながら
海をぼーっと眺めて
昔、ここでクジラを獲ったのかなとか、
船で色んなところと交易してたのかなとか、
想像して頂けるといいかなと思います。

縄文人は、私たちと同じ“ここ”に
確かに暮らしていました。
はるか昔に思いをはせると、
縄文人をすぐそばに感じられると思います!

山田さんは、
「縄文コンシェルジュ育成プロジェクト」を
進めています。
函館の街に縄文に詳しい人を増やし、
観光に来た人を手厚くもてなそうというものです!

是非、みなさん、お越しください!

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