NHK札幌放送局

”うたう旅人”松田美緒さんに聞く料理と歌の幸せな関係。

番組スタッフ

2020年6月23日(火)午後3時04分 更新

料理番組だけど、“歌”がスパイスになっているこの番組。”くせになる!”とユニークさが話題となっている歌を作ってくれたのは、“うたう旅人”松田美緒さん。歌に込めた想いや、世界のお料理、北海道のことなどを広報担当フクシマがオンライン取材で聞きました。  

Q 最初に、今回の企画を聞いてどう思いましたか?

私、食べるのが大好きで、おいしいもの大好きで。お料理はそんなに上手じゃないけど、舌だけは肥えてるんですw おいしいものは音楽と同じで、人の心豊かにするし、一瞬の味って音と同じように消えてしまうけど、ものすごくおいしいものの記憶はずっと残るんですよね。おいしい~という味の記憶と、いい音を聞いた時の記憶って、鮮明に残る。お料理と音楽は似てるな、と。シェフが料理をするの見ていても、それは音楽のように芸術的で、美しい動きで。今回のオファーいただいたとき、断る選択肢はなくて、やってみたい、と思いました。料理そのものが、交響楽団みたいで、第一楽章、第二章のようにあって、ストーリーなんですよね。それを歌も一緒にできないかな、と思いました。
本当は食べたかったです。そうしたら、もっといい歌できたと思うんですがw

Q 今回の歌のコンセプトは?

最初は、ふーんふーん♪と即興でできると思ったけど、やってみると、料理そのものが、先ほど言ったように、交響楽というか、オーケストラのように展開していくので、歌もそうしないといけないと思い、これは考えないといけないなと。これは作曲だな、と。1作目(「キャベツの巻々トンカツ」)と2作目(「照り焼きうま牛ロール」)は、そんな感じでやりました。ただ、即興性も大切なので、勢いでやってみたり、一度忘れてやってみたりと。録音自体はけっこう数があるんですよ。例えば、今回の3作目(「トウキビとホタテのなめらかグラタン」)の音楽を作るにあたっては、1曲作るのに、40個くらい収録したました。

Q 鼻歌っぽくもあり、独特ですが、なんという種類の歌なんでしょうか?

カテゴリーはわかりません。ただただ湧き出てきたもの、ですね。

Q 動画を見ながら歌を作るというのは難しいですよね?

そうですね、でも、動画で送ってもらった素材が、1つ目がコーンで、もう1つがシルクロード的なもので、黒米、なつめとか。そういうのを見ていると勝手にそのへんの音楽が浮かんでくるんですよね。コーンは、南米原産で、先住民にとっても聖なるもので。それが世界中に広がって、じゃがいもと同じように欠かせない食べ物になったし。何度も行ったベネズエラにはすごく美味しいトウモロコシのパンがあるんです。ポルトガルにもあるんです。スペイン人、ポルトガル人が南米から持って行って。トウモロコシのパンは、すごい元気になるんですよ。カロリーも高いし、ポピュラーな食べ物なんです。それが、北海道にあって、その黄色い色が、太陽のようで。マヤ文明やインカ文明とかでも主要な食べ物だったし。その味を思い出すと、かの地の思い出が蘇って、なんとなく、“ラテン”だな~と思って。じゃあラテン調にしよう!と。

Q 松田さんのアーティストとしての原点は、南米にありますか?ブラジルとか、ポルトガルとか。

ヨーロッパや南米もそうですけど、いろいろやってます。基本的に、“人間の根源の歌”を歌いたい、というのがすごくあって。地中海の歌や、日本の古い歌なども発掘して歌ってますし。味覚と聴覚など、五感というのが、人間も動物だということを思い出せてくれますね。五感を駆使していろんなものを味わうのは人間にとっては大切だなと思っていて。今日(6/19)、今から制作するもの(4作目「黒米薬膳おこわ」)は、シルクロードっぽものなんですよ。おこわの中に入っている素材がシルクロードっぽい、地中海っぽい、中近東系というか、なつめとか、松の実とか大好きなんです。想像するだけでよだれが出るような素材でw。そういうのを想像しながら。あと、もち米のもちもちっとした感じとかを歌にしたいな、と思っています。

4作目は、シルクロードっぽさと、もちもち感を堪能してほしい、と。一方、3作目(「トウキビとホタテのなめらかグラタン」)の方は、コーンは、中南米、アメリカ大陸というイメージで。古代では聖なるものだけど、民の暮らしを支えてきた食べ物。労働とか、畑仕事とかを支えてきたものですよね。元気よく、太陽が上がるような感じでやりたいなと。ラテン調で、太陽が上がっていくような、人々を鼓舞するような歌になればいいな、と。「12分待って」という意味のスペイン語も入ってますので、探してみてください~。お楽しみに。

Q あらためて、1、2作目の歌のポイントを教えてください。

1作目(「キャベツの巻々トンカツ」)は、じゅ~という音。あと、『愛してる』の「ジュテーム」、あと『今食べたいよ~』という意味のフランス語入れてよかったな、と。それに、食べ物の名前って、オノマトペ、擬音語に適しているな、と思ったんです。子供が喜びそうな、「キャキャキャベツ」とかw。擬音語にしやすいなと。「ぶたにくー、ぶたにくー」の所は、シェフがぶた肉をずっと重ねていくシーンで、天に昇っていくような感じを出したくて。

2作目(「照り焼きうま牛ロール」)は、「牛(ぎゅう)をぎゅっとね」とか、シャレ的なw あれはおいしそうだったなあ。1作目にエネルギーを使って、2作目のこれはふっと。スキャットでとばしていく感じで作りました。

Q 普段、お料理しますか?

時々します。うまくいく時といかない時の差がはげしくてw。味はいいと思うんですが、「鶴の恩返し」の話があるじゃないですか、出来上がるまでは、途中は見ないでくださいみたいな感じで。包丁の使い方が怖いと言われますねw あ、パスタは得意です。

Q 世界各国を周ってると思いますが、好きなお料理は何ですか?

一度、ペルーに移住しようかなと思ってたんですよ。お料理がおいしいから。とうもろこしと、じゃがいもの数、種類が半端なくて。インカ帝国とスペイン王朝のすべてがミックスしたようなペルー料理が美味しくて、住もうと思いました。ちょっとしたソースが美味しくて。辛味もいろいろあって。有名な料理としては、セビーチェとか。マリネみたいな感じです。インドネシアの船乗りから伝わったらしいんですが。イタリアのごはんだいすきです。パスタは、いろんな素材で作れるし、ちょっとしたスパイスでかわりますし。スパイス好きなんです。辛いのも大好き。こないだ呼ばれて行った仏領ギアナでは、クレオール料理に新鮮な唐辛子を必ずまぶして食べてました。
あと、長崎。3、4作目のシェフ栂安信子さんが長崎なのでw 長崎は心の故郷です。私は九州人なので、あごだしとか、柚子胡椒は欠かせません。

Q 北海道は来た事ありますか?

コンサートツアー含め、5,6回行ったことあります。北海道は大好きです。1週間で、太りました2キロくらい。なんでも、ものすごい美味しいから危険ですね。ジンギスカン、さわら、ほたて、しゃけ、ラーメン、、、何でもおいしい。洞爺湖、函館とかにも行きました。
今度、北海道中を旅したいです。

Q withコロナ時代ですが、今後どのような活動される予定ですか?

A このままコンサートを開催しくにい時代がずっと続くと仮定して、新しく映像チームと一緒に、面白いコンサート配信をしていきたいと思っています。バーチャルなものであっても、五感を刺激するようなものをやりたいなと。音響のフィールドレコーディングの人とやることを考えたり、PC画面に閉じ込められたようなものでなく、臨場感のある、観る人がそこに一緒にいる感じのような配信ができたらなあ、と。プロフェッショナルな映像じゃないとできないことをやりたいです。ぜひ、NHK札幌局さんもよろしくお願いしますw あと、ナマの歌を歌ったり、聞く機会がどんどん少なくっていく時代かもしれないですが、自分は歌手としてナマで歌うことをずっとやっていきたいですし、生音のコンサートやりたいと思ってます。いろんな表現はできると思うけど、基本的には、生身の人間と生身の人間がつながるようなそんな音楽体験をずっと続けていきたいなと思っています。

Q NHKの番組で見ている番組、好きな番組などありますか?

土曜時代ドラマ「雲霧仁左衛門」が大好きです。「バリバラ」も見てます。NHK札幌局の上野ディレクターが作る前方後円墳の番組とかも好きです。あと、昔の音源を聴きながらトークをする「音で訪ねる ニッポン時空旅」(ラジオ第2)という番組によく出演させてもらっています。

Q 最後に、あらためて、この「おうちでごちそう北海道」を見る視聴者の皆さんにメッセージをください。

シェフの料理動画を見ながら、いろんなメロディがわいてきて、すごく楽しく歌を創りました。見てくれてる方も、いっしょに楽しんでお料理を作っていただけたら嬉しいです。北海道は、いま食材が大変な状況にあるということで、この番組に出てくる食材をみなさんが使ってくれたら嬉しいです!

<松田美緒さんプロフィール>

ポルトガル語やスペイン語など六ヶ国語を操り世界中で音楽活動を重ねる、歌う旅人。
10代でポルトガルの歌ファドに出会い、20代でリスボンに留学。ブラジルの音楽祭出演をきっかけに、リオ・デ・ジャネイロで録音した1stアルバム『アトランティカ』で2005年ビクターよりデビュー。南米や欧州の国々で現地を代表する数々のミュージシャンと共演、アルバム制作を重ねる一方、2012年より日本内外の忘れられた歌を発掘し、現代に蘇らせている。2014年に発表したCDブック『クレオール・ニッポン うたの記憶を旅する』は高い反響を呼び、文藝春秋『日本を代表する女性120人』に選ばれる。
2016年と2017年、日本テレビ系列『NNNドキュメント』で松田美緒の活動を追ったドキュメンタリーが放映される。日本全国そしてパラオで撮影した『ニッポンのうた』は『坂田記念ドキュメンタリー賞グランプリ』、ブラジルで撮影した『移民のうた』は『ギャラクシー賞奨励賞』を受賞。
2019年、大分の歌の発掘プロジェクトによるアルバム『おおいたのうた』と、かつてのブラジル移民の人たちの想いがつまった歌集として松田美緒+土取利行『月の夜のコロニア~ブラジル移民のうた』を発表。
時空を超えるその歌声には、彼女が旅した様々な地域の魂が宿っている。

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