NHK札幌放送局

シラベルカ#6「なぜオンライン授業は進まないのか?」

シラベルカ

2020年5月19日(火)午後3時45分 更新

みなさんからの声を受け、NHK北海道が取材を進める「シラベルカ」。第6回は、新型コロナウイルスの影響で小中学校の休校が続く中、子どもたちの学習方法についての投稿がスタートでした。

進まない原因は!?

オンライン授業の導入が進まない原因を、道内各地の教育委員会や専門家に取材したところ、主に3つの原因がみえてきました。

《進まない理由①》学校の通信環境の不備
教育現場の通信環境はメールやホームページの作成などに使うことを想定して整備されていて、大容量の通信には耐えられません。独自のシステムでオンライン授業すると、膨大な通信容量が必要となるため現状では双方向でのオンライン授業を一律に実現するというのは不可能です。
《進まない理由②》家庭環境の違い
情報化社会と言っても、すべての家庭で1人1人にパソコンやタブレットなどの端末があったり、十分な通信環境があったりするわけではありません。例えば、親が、スマホやタブレットを持っていても日中に家にいる子どもが1人で端末を使えるとは限りません。
特に、義務教育では、すべての子どもたちが平等に授業を受けられることが理想とされるため、例外が発生してしまう場合に導入が進まないといった障壁があることも分かってきました。
《進まない理由③》先生のノウハウ不足
オンラインで授業を行うためには、専用のアプリを使ったり、動画の作成したりと、普段の授業と異なる作業やスキルも必要になります。黒板とトーク力を武器に授業を行ってきた先生たちの中には、こうした作業に慣れてない人が多いことも理由のひとつになっているようです。

打開策は?

なにか打開策はないのか。
札幌市が始めた新たな取り組みに、いくつかのヒントを見いだすことができました。

札幌市が導入したのは、動画投稿サイト「YouTube」を使って、授業を配信する取り組みです。
各学校の先生が動画サイトのなかにパスワード付きページを作り、授業の動画をアップしています。
動画に収録されているのは、教科書を使いながらのふだんの授業です。

YouTubeで「授業」を配信

著作権法が障壁だったが・・・

実は、これまで著作権法が障壁になり、インターネットを使った授業を行う場合に、教科書などの著作物を撮影した様子をライブ配信したり、動画サイトにアップロードしたりするためには、著作権者に逐一、許可を取らなければなりませんでした。
しかし、オンライン授業を進めるため著作権法が改正され、例外もありますが、遠隔で行う場合も許可なく、無償で教科書などの著作物をインターネットを使った授業で配信できるようになりました。

2週間で札幌市内の半数の学校が導入

札幌市では、法律の改正後、動画サイトでの授業の配信を簡単な申請のみで自由に出来るようにしたところわずか2週間で市内の半数の学校で導入されるなど広がりを見せています。ふだんの教室と同じような授業を撮影するだけなので現場の先生にも好評だということです。

札幌市教育委員会、教育課程担当課の佐藤圭一課長は「教科書などを使えることで普段現場でやっているように授業ができ先生の負担がへり、子供たちも慣れ親しんだ教材を使えることで理解しやすい。法律の改正で動画サイトでの授業が急速に広がっていて遠隔授業の推進の起爆剤になっている実感がある」と手応えを話していました。

手応えを話す札幌市教委 佐藤圭一課長

札幌モデルの効果は

オンライン授業が進まない3つの原因を、札幌市のYouTubeを活用した取り組みではどれだけ克服できているでしょうか。


理由①学校の通信環境の不備
1つ目の、学校の通信環境の不備については今回の取り組みでは、子どもたちがアクセスするのは学校の回線でなく動画サイトで民間の基盤を活用するため学校の回線にかかる負荷は大きく軽減されたということでした。
理由②家庭環境の違い
2つ目の家庭環境の違いについては子どもに馴染みの動画サイトを活用しているのでスマートフォンでも時間と場所を選ばずに手軽に活用しやすく一定のメリットがあると感じました。
ただし、授業中に人気ユーチューバーの動画を見てしまわないかは注意が必要かもしれません。
理由③先生のノウハウ不足
3つ目の先生のノウハウ不足については、教科書にしたがって授業を進めることが出来るため先生には授業がしやすく、生徒には理解しやすいという双方にメリットがあると感じました。

まだまだ課題残る

札幌市の例など、少しずつ進んでいるものの、まだまだ課題はあります。
まずは、子どもたち1人1人が自由に使える端末を確保することが大切です。例えば、札幌市は、前倒しして予算を組んで、早ければ今年度中に市内のすべての小中学生に貸し出せる端末の配備を計画していますが在庫が少なく、物の入手に難航しているという現状もあります。国やそのほかの各自治体でも配備を急いでいますが、一律の導入には、まだまだ時間はかかりそうです。
また、今回の事例では、リアルタイムで双方向の実現には答えられておらず、生徒からの質問などを授業の中で解消することはできません。
オンライン教育はあくまで1つの手段で直接会って対面式と比べることは出来ませんが、災害による避難生活など有事の際にも子どもたちが十分な教育を受けられるようにするため、さらなる環境整備と現場でのアイデアに富んだ柔軟な対応が求められると感じました。

取材・札幌放送局 細井拓記者


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