千歳市でアイヌ伝統の丸木舟チㇷ゚がおよそ30年ぶりに製作され、31日、千歳川で進水式チㇷ゚サンケが行われました。
チㇷ゚の製作は、若い世代に技術を引き継ぐため、千歳アイヌ協会が中心となってアイヌ施策推進法の交付金が活用されました。
完成したチㇷ゚は全長およそ7メートルとおよそ4メートルの2そうで、千歳アイヌ協会のメンバーを中心に10代から70代までのおよそ20人が新ひだか町産のカツラの大木を使っておよそ5か月かけて製作しました。
31日、チㇷ゚を千歳川のほとりに運び、カムイへの祈りの儀式「カムイノミ」で舟の安全を願ったあと、千歳川に2そうを浮かべました。


無事に進水したチㇷ゚に乗り込み、特別に用意したサケを狙って、かぎ針のついたもりを使ってつく、伝統のマレㇰ漁も行われました。

チㇷ゚は、アイヌにとってサケ漁や川を使っての移動に使う生活道具で、かつてはアイヌの家ごとにあったということです。
今回、初めてチㇷ゚作りに参加した千歳アイヌ協会事業推進本部事務局長の西村晃太さん(27)は「チㇷ゚はアイヌの人々にとって生業であるサケ漁をするために欠かせないものです。製作に当たって苦労もありましたが、無事浮かべることができて本当にうれしいです」と話していました。
千歳アイヌ協会のメンバーで製作責任者を務めた上野政記さん(68)は「当時の資料を見てみんなで研究しながら作りました。水の上でしっかり安定していたので安心しました」と話していました。
チㇷ゚は今後、サケ漁の継承活動に使われるということです。