NHK札幌放送局

北海道2区 データで“深掘り”

衆院北海道2区補選

2021年4月6日(火)午後2時11分 更新

北海道2区とはどんな選挙区なのか-。 さまざまなデータから、その特徴をみていきます。

そもそもどんな地域?

北海道2区は、札幌市の北区の一部と東区で構成されます。
札幌市内に10ある行政区は、衆議院の小選挙区でいえば1区から5区の5小選挙区にわかれます。その1つが北海道2区です。

衆議院選挙で、前々回・2014年の47回選挙までは、北区はすべて北海道2区でした。
いわゆる1票の格差を解消するため、前回・2017年の48回選挙で区割りの見直しが行われ、北海道2区のうち北区の一部が隣りの北海道1区に移りました。
その一部とは札幌市中央区に隣接する「鉄西連合町内会」の区域で、区割り見直し前、2015年の国勢調査に基づくと、北区は28万人余りの人口のうち2.7%にあたる約8000人が北海道1区に移りました。北区の大部分は北海道2区が選挙区です。

札幌市の北区や東区というと、何を思い浮かべますか?
北区といえば、まずは北海道大学。区内には大学が点在しています。
また、JR札幌駅の北側には高層ビルが立ち並び、オフィス街がつくられています。
一方、東区は「サッポロさとらんど」や「モエレ沼公園」といった市民憩いの場があるほか、丘珠空港もあります。

この2つの区は住宅街が広がっている点が共通していて、実に多くの市民が住んでいます。市内10区を人口の多い順にみますと、1位が北区、2位が東区です。

人口密集の結果、北海道2区の有権者数は前回の48回選挙で45万8000人近くと、道内12小選挙区で最も少なかった釧路・根室地方の北海道7区と比べて1.7倍以上となっていました。

出口調査でみると…

NHKは、国政選挙や注目選挙で有権者の動向を探るため、投票を済ませた有権者を対象に出口調査を実施しています。
その設問の1つに「支持政党」があります。どの政党・政治団体を支持しているのかを具体的に尋ねています。
その結果、各党の支持率からは党としての“勢い”がわかるほか、支持する政党・政治団体のない「支持なし層」、いわゆる無党派層の状況も把握できます。
衆議院選挙で、投票日当日に投票を済ませた有権者を対象に北海道2区で行った出口調査の最近の結果は次のようになります。

北海道2区では、民主党が政権交代を果たした2009年の45回選挙を除き、支持率トップは自民党が続いています。
自民党の支持率は、45回選挙は民主党に大きく水をあけられましたが、その次、政権奪還を果たした2012年の46回選挙で再びトップとなり、以後、前々回・2014年の47回選挙、前回・2017年の48回選挙と回を重ねるごとに上がっていきました。
48回選挙は、小泉総理大臣が郵政民営化を争点にしかけた2005年・44回選挙の水準まで回復しています。
対する民主党は、45回選挙で40%近くの支持率を得て自民党を引き離しました。
45回選挙の前は、回を重ねるごとに北海道2区でも支持率を上げていました。
ただ、46回選挙で自民党に抜き返され、次の47回選挙では自民党との差は10ポイント以上も開きました。
民主党はその後、民進党に変わり、さらに48回選挙では立憲民主党や希望の党に分裂しました。48回選挙で立憲民主党、希望の党、そして民進党の支持率を足し合わせると23%でした。これら3党を足し合わせても、支持率は自民党と差がついていました。

カギを握る支持なし層

一方、選挙でカギを握るとされるのが支持なし層です。
実はひと口に政党支持といっても、いまは昔の選挙ほどは強固ではなく、選挙のたびに投票先を変える“そのつど支持”が少なくないという指摘もあります。

明確な争点があって政党支持を明確にしやすい選挙では、特定の政党の支持率が上がり、実際の投票でもその党が地力以上に票を集める、いわゆる“雪崩を打つ”状況になりがちです。その逆に、政治情勢が比較的穏やかな状況での選挙では、支持なし層が増えがちです。

北海道2区でも同様の傾向がみられ、ここ2回、支持なし層の割合は20%台後半が続いています。

次に、北海道2区と北海道全体の支持率の傾向を比較してみます。

上の表は北海道2区、下の表は北海道2区を含む北海道全体の結果です。
北海道2区では、全道と比べると自民党は一環して支持率が低めとなっています。
一方、この裏返しが支持なし層で、北海道2区では一環して全道と比べて上がっています。もちろん、多少の違いは“誤差の範囲内”ですが、北海道2区は全道と比べて支持なし層が相対的に多い選挙区という特徴がみられます。

ところで、政党支持と実際の投票先はかならずしも一致しません。
「@@党の支持者だが、今回はあえて投票しない(※戒めの心理)」「@@党は支持していないが、ほかに選択肢がないので投票する(※消極的選択)」…。有権者の投票心理は実にさまざまですが、支持なし層が多いということは、実際の投票で“風を受けやすい”ということでもあります。北海道2区にかぎらず、全国、都市部の選挙区はどこもそうですが、投票傾向を“読みにくい”選挙区であることは否めません。

なお、この出口調査は「(投票日当日の)投票者」を対象にしています。
NHKは、結果が母集団となる「投票者」の縮図となるよう、統計的手法に基づいて出口調査を設計しています。逆に言えば、「有権者」を母集団とする世論調査とは違って、投票に「行かなかった」層は結果に反映されません。

特定の政党の支持層が投票に行かない状況、選挙の世界では“寝る”ともいいますが、この場合は当然、その党の支持率は低めになります。
また、支持なし層は投票に行かないケースが多く、出口調査は世論調査と比べて支持なし層の割合が低めに出がちです。(明確な争点があって支持なし層が大挙して特定の政党に投票する=“寝た子を起こす”こともあります。この場合、投票率は跳ね上がります)
ある党が候補者を擁立していない場合、選択肢を失った支持層は投票に行かないことも想定されます。この場合、出口調査の分析にあたっては注意が必要です。

“増える”期日前投票

最近の選挙では、全国的に期日前投票を利用する人が増えています。
次に、この期日前投票を分析していきます。

上のグラフは、衆議院選挙で北海道2区における期日前投票者数と投票率の推移を並べたものです。
期日前投票者数は、衆議院選挙で制度が導入された2005年の44回選挙では2万8000人近くでした。それが前回・2017年の48回選挙では5万8000人余りと2倍以上に増えています。
この間、投票率は10ポイント以上下がっています。
つまり、全体の投票率が下がる中で、期日前投票は逆に増えているわけです。
これは北海道2区にかぎらず全国的な傾向で、裏を返せば、期日前投票はもともと投票日当日に投票に行く層が“前倒し”で投票を済ませている状況がみえてきます。期日前投票があらたな投票層を“開拓”しているわけではないということです。

ここで、投票全体に占める期日前投票の割合を計算してみます。期日前投票がどれくらいの“重み”があるかを示す指標で、「期日前シェア」と名付けます。

「期日前シェア」は、回を重ねるたびに増えています。
制度導入後最初の44回選挙は10%に届いていません。このときは、期日前投票を利用したのは「投票者の10人に1人以下」だった計算です。
一方、前回の48回選挙では「期日前シェア」は20%を超えました。「投票者の5人に1人以上」が期日前投票したという計算です。回を重ねるごとに期日前投票の“重み”が増している状況がみえてきます。

裏を返せば、有権者の投票傾向を正しく把握するためには、当日投票者だけでは不十分だということです。NHKは情勢分析にあたり、投票日当日に加えて期日前投票での出口調査にも力を入れています。投票日当日の投票と事前の期日前投票では傾向が一致するケースがほとんどですが、どちらかに“波乱”の芽が隠されていないともかぎりません。
最近の選挙では、両者の投票傾向を丁寧に見極めることではじめて、正確な情勢分析が可能になっています。

自民“不戦敗”でどうなる?

今回の補欠選挙では、自民党は候補者の擁立を見送りました。
結果、与党側の支持層の投票行動がどうなるかも注目点です。どのように動くのか、あるいは動かないのか、という点です。

上のグラフは、北海道2区で議席を守ってきた吉川貴盛氏が過去の選挙で、自民党支持層、公明党支持層、そして支持なし層からどの程度、支持を得ていたかをまとめたものです。
吉川氏は、2012年の46回選挙から前回・2017年の48回選挙まで3回続けて、北海道2区で当選しました。
この間、自民党支持層の80%前後から支持を得ていました。そもそも支持率が高く厚みがある自民党支持層を高いレベルで固めていたわけですから“強い”わけです。
一方、その前、民主党が政権交代を果たした2009年の45回選挙では、自民党支持層からの支持は60%台半ばと落ち込んでいました。このとき、吉川氏は落選しています。
同様に落選した2003年の43回選挙でも自民党支持層からの支持は60%台後半にとどまっていました。なお、小選挙区では議席を得られなかったものの重複立候補した比例代表で復活当選を果たした2005年の44回選挙では、自民党支持層からの支持は80%近くでした。
こうしてみますと、吉川氏は“身内”である自民党支持層では80%前後の支持を得ることが、いわば“勝利の方程式”となっていました。
一方、公明党支持層については、45回選挙までは自民党支持層よりも固め具合がよかったものの、その後は自民党支持層ほどは固め切れなくなっています。

さて、選挙の結果を左右するとされる支持なし層。吉川氏は46回選挙では5人の候補者の中で最も支持を集めましたが、ほかはすべて対立した野党側の候補者に支持なし層での支持1位を譲っています。
裏を返せば、吉川氏は、支持なし層で多少、票が得られなくても、自民党支持層を手堅くまとめることで勝ち上がってきたわけです。この状況が今回の補欠選挙では一変することになります。

自民党が不戦敗を選んだ衆議院の補欠選挙としては、2016年春、不祥事で宮崎謙介氏が議員辞職したことに伴う京都3区補欠選挙があります。
世論の強い反発が寄せられる中、自民党は「謹慎が必要だ」として候補者の擁立を見送りました。
野党間の選挙協力から共産党も候補者擁立を見送った結果、当時の民進党の候補者がおおさか維新の会の候補者など5人を抑えました。
このとき、自民党支持層や公明党支持層は、民進党とおおさか維新の会の2人に票がわかれました。
一方、この選挙はこの2年前、2014年の47回選挙と比べて投票率は20ポイント近くも下がりました。
補欠選挙は投票率が低くなる傾向があるとはいえ、自民党の擁立見送りで構図がわかりにくくなり、選挙戦は終始盛り上がりに欠けたとみられています。
今回の補欠選挙は、投票率がどうなるかも注目点です。

なお、最近の選挙結果については、詳しくは「北海道2区 最近の選挙結果は」の記事をご覧ください。

2021年4月6日

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