NHK札幌放送局

縦・横・ナナメのネットで、地域の子育てを受け止める「ぷれいおん・とかち」

NHK高校放送部

2022年2月18日(金)午後6時41分 更新

子育てが孤立している、と嘆かれるいま、そのひとつの解決策となる場が、ここ帯広にありました。扉を開けると真っ先に目に飛び込んでくるのが、「Play On もっとあそぼう!」という言葉。ここは、子どもも大人も一緒になって遊び、学べる場所。そして、50年続く歴史の中には、子育てのヒントや忙しい頭を緩めてくれる温かさが、たくさん詰まっているのです。 

親や先生(タテ)でも友達(ヨコ)でもない“ナナメの関係”が生まれる温かな居場所、#ナナメの場。2月20日(日)放送の「ラジオ #ナナメの場」では、「あなたの町の“ナナメの場”」と題して、北海道で場づくりに取り組む人に話を聞きました。
今回スタジオに招いたのは、十勝で子育て支援に取り組むNPO法人「ぷれいおん・とかち」の羽賀陽子(はが・ようこ)さん。ラジオ本番より一足先に、MCの水野莉穂さん(ずーちゃん)がぷれいおん・とかちに足を運び、話をして感じたことを綴ってくれました。
▲子どもも大人も同じ目線で


「ぷれいおん・とかち」とは

帯広市内の住宅街に佇む、親子が集まる広場。
表面だけをすくってみてみると、そう表現できるのですが、中を覗くともっと深く、あたたかな歴史が、そこには渦巻いています。
ここでは、こどもたちの“やりたいこと”が尊重されていて、そのこどもを見守る親たちも“じぶんの役割”を持てる場所。

「今日は墨で遊んでみましょう!」という日には、子どもも大人も一緒になって真っ黒になるけれど、その一方で、おままごとをしている子も、手につくのがイヤですぐに手を洗いに行く子も、みんなが尊重されている場所。

ですが反対に、親の立場になってみると、自分の子どもひとりが他の子とは違う遊びをし始めてしまったとき、ウチの子は協調性がない……と悩んでしまい、こっちで一緒に遊びなさい!と、優しさの上で、子どもに声をかけてしまうかもしれません。
でも、ここでは、「○○ちゃんはお絵描きがすきなんだね!」と子どものことと、自分の子育てのことを認めてくれる声が、当たり前に飛び交っているのです。

▲だれもが認め合える場所


地域で子育て

ぷれいおんの事務局長、羽賀陽子さんが、こんなことを教えてくれました。
「ひとりの子どもを育てるには、ひとつの村が必要だ」
これは、アフリカに伝わることわざで、ぷれいおんでも大切にしている考え方だそうです。

▲事務局長の羽賀陽子さん

ぷれいおんには、0歳から幼児、学生、社会人、親世代、そして地域のおじいちゃんおばあちゃんたちも関わっています。
どうしても、1対1の狭い世界に閉じ込められてしまいがちな子育てでは、良いことよりも、わるいことにばかり、目を向けてしまいそうになります。
特に、SNSが発達しているこの時代では、“セイカイ”と示されたものばかりが目に入ってきてしまうので、気を抜くとつい、間違い探しをしてしまうのです。

そんなときに、じぶんの5年後、10年後の世代がそこにいてくれて、「その頃はほんとそうなのよね~」と客観的に受け入れてもらえるだけで、じぶんの子どもを見る目も変わってくるのだと教えてくれました。
「ひとりの子どもを育てるには、ひとつの村が必要だ」
その考え方は、アフリカでも日本でも関係なく、また、生み出された当時でも、時代が変わった今でも変わりなく、大切にしていくべき子育ての在り方なのです。


わたしでいられる場所

子どもが子どもらしくいられる場所を守り続けているぷれいおんですが、同時にもうひとつ、大切にしている考え方があります。
それは、お父さんお母さんにとっての“わたしでいる時間”を、一緒につくっていくこと。

ここでは、○○ちゃんのお母さん、という呼び方ではなくて、みんな下の名前に、ちゃん付けをして、ひとりの人として尊敬を込めて呼び合っています。
ぷれいおんで行っていることはほとんど、通っているお父さんお母さん、そして地域のひとのやりたいことを形にしていくことで成り立っています。
だれかが企画したイベントに参加していくうちに、わたしにもできるかも、と思えるようになったり、一緒に企画してみない?と声をかけてもらえたり。
そんなふうにして、地域でのじぶんの立ち位置や役割を、いつのまにか見つけているのです。

▲子どもだけでなく、親もじぶんだけの名札を


助けを求める力

多世代が関り続けているぷれいおんで育った親子は、いろんな人がいる環境が当たり前になっています。
なので、“困ったら助けを求められる力”も同時に育っているといいます。

つい、じぶんひとりで抱え込んでしまう子育ての最中に、「困っているので助けてもらえませんか……!」と苦笑いしながら伝えられるような相手がいるだけで、こころの中に余白が出来るのだと、羽賀さんは教えてくれました。

帯広市内には、そんなふうにすぐに相談できる場所がありますが、じぶんにはそんな場所も人もいない、と思わないでください。
羽賀さんは続けて、どこかいいところないかなあとスマートフォンで探している時間を、ふらっと毎日散歩する時間に変えてみる、という提案もしてくれました。
毎日犬の散歩をしている近所のおばあちゃんとちょっとお話してみたり、ちょっと町内会に参加してみたりするだけで、あなたにとってのナナメの場が見つかるかもしれません。

▲靴を履いて、外に出かけてみると始まる物語


なんだかおもしろそうな未来

5年先、10年先を生きているひとが近くにいるということ。
これは、親にとっても子どもにとっても頼もしいこと。

道外出身の羽賀さんも、実は二人の息子と、ここぷれいおんで育ったママさんです。
知らない土地に引っ越してきて、ひとりで子育てをするのは、普通は大変なことや心配なことでいっぱいだと思います。
ですが羽賀さんは、この場所や地域の人々の支えがあったから多分大丈夫だろう、と子育てを楽観的にとらえられたそうです。
子どもたちにとっても、10歳、15歳年上のお姉ちゃんお兄ちゃんと関わっている中で、じぶんの未来に憧れたり、わくわくする機会がとても多かったのだと思う、と笑って話してくれました。

あの頃じぶんが助けられたから、次はだれかを助けてあげる番に、そんなふうにやさしさのバトンリレーが続いていることが、ここぷれいおんが“ナナメの場”になる理由なのです。

▲みんなで地面を固めて、創り上げていく

Play On もっとあそぼう!の旗の下で、なにごとにも夢中で楽しむ親の姿をみて、子どもたちはどこか安心して、力を抜いて好きなことに夢中になれるのです。

2022年2月18日

「NPO法人 ぷれいおん・とかち」について
▽所在地
 帯広市西20条南5丁目18-2
▽活動内容
 遊び・体験、舞台鑑賞、子育て支援、地域ネットワークづくりなど
▽問い合わせ
 詳しくは「ぷれいおん・とかち」ホームページをご覧ください
 随時見学可能


<筆者プロフィール>
水野莉穂(みずの・りほ/ずーちゃん)
ラジオ#ナナメの場 パーソナリティー。紅茶の喫茶店アグラクロック オーナー。2017年北海学園大学を卒業して半年後、生まれ育った恵庭市で喫茶店をオープン。"自分が好きなじぶんで居られるところ"を大切にした場づくりを通して、輪づくりをしている。今後は、田舎暮らしを通して、季節と暮らしながら遊ぶ場づくりを計画中。


2月20日「ラジオ #ナナメの場」での羽賀さんとのトーク内容はこちら↓
“読む”ラジオ あなたの町の“#ナナメの場” ~帯広 NPO法人「ぷれいおん・とかち」~

#ナナメの場 ホームページはこちら


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