NHK札幌放送局

活躍!「おもちゃドクター」子どもたちの笑顔を守りたい

道北チャンネル

2022年6月23日(木)午後5時41分 更新

大切なおもちゃが壊れてしまい、悲しくなった経験はありませんか? 安心してください。 旭川市では、「おもちゃドクター」がきょうも壊れたおもちゃを直しています。(取材 旭川放送局 山中智里) 

「おもちゃドクター」藤田一郎さん

旭川市内にある「おもちゃライブラリー」。子どもたちの遊び場です。この一角に、子どもたちのおもちゃを直す「おもちゃドクター」がいます。その1人、藤田一郎さんは69歳。もう一人の「おもちゃドクター」と一緒に2年間で100個以上のおもちゃを直してきました。藤田さんは電機メーカーを定年退職するまで、家電の修理に携わってきました。その経験もいかして、壊れたおもちゃに命を吹き込みます。おもちゃに電気を流したり、電流の強さをはかったりする機械も自作しました。

藤田さん
とくに最近は電気仕掛けのおもちゃが多いので、電気の知識は最低限必要になる。これまでの経験が『おもちゃドクター』の治療にいかされている

「手術」に「入院」…

取材に訪れた日、藤田さんは電池で動く犬のおもちゃを直していました。
その「症状」は、音は出るけど動かない…。藤田さんは、早速、「緊急手術」に入ります。メスではなく、さまざまな工具を使って分解したところ、おもちゃの犬の毛が部品に食い込んでいました。藤田さんが毛を丁寧に切りとると、犬のおもちゃは再び、動くようになりました。しかし…。

別の「けが」がみつかりました。尻尾の部分がとれていたのです。尻尾を取り付ける作業は自宅に持ち帰り、「入院治療」としました。

藤田さん
おもちゃは、基本的に直すようにはできていない。分解作業ひとつとっても、マニュアルもなければ資料もない。手探りで作業しなければならない。家電とは大きな違いがある

子どもたちの笑顔を守りたい

直ったおもちゃは、子どもたちのもとにかえります。中学生のころからアンプを手作りするほどの機械好きだったという藤田さん。「子どもたちの笑顔を守りたい」その一心で、きょうもおもちゃを直しています。

藤田さん
ある程度体が動くかぎり、頭がまわるかぎりは『おもちゃドクター』を続けていきたい

おもちゃの修理は、「おもちゃライブラリーで」毎週水曜日に受け付けています。受付時間は午前10時から正午までと、午後1時から2時までです。ボランティアで運営しているため、修理自体は無料ですが、部品代は負担してください。

【取材後記】
私は藤田さんの「緊急手術」を見ながら、昔のことを思い出しました。幼いころ、祖母からもらった大切なおもちゃを直してもらう間、とても不安な気持ちで待っていた記憶が大人になったいまでも強く残っています。そのときの私と、藤田さんにおもちゃを託した子どもたちが重なって見えました。おもちゃは幼い子どもたちにとって、大切な大切な宝物です。これからもその匠の技で、おもちゃに命を吹き込み続けてほしいと思います。

取材:山中智里 記者

「ほっとニュース道北オホーツク」6月17日放送

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