NHK札幌放送局

介護医療明日へ… 道東の介護現場で何が

ほっとニュースぐるっと道東!

2022年5月17日(火)午後3時38分 更新

私たちが直面、あるいは将来直面するかもしれない介護・医療の課題。そのときどうすればいいのか、あなたは考えたことがありますか?
NHK帯広放送局と釧路放送局では今年度から、介護と医療を重点テーマの1つとして取材し「介護医療 明日へ…」として、あすにつながる情報をお伝えしていきます。
私たちはまず、道東の介護の現場にどんな課題があるのか取材を始めました。


介護施設は足りている?

介護の課題を探るため、私たちが手がかりとしたのが道東の介護施設の数です。
日本医師会がまとめている「地域医療情報システム」で、75歳以上の人1000人あたりの介護施設の数を調べました。結果は…。

釧路地方と十勝地方では、道内平均を上回っていました。
一見、施設は足りているようにも見えますが、取材を進めると、ある課題に直面していることがわかりました。


課題は介護職員の不足!

話を聞いたのは、道東の介護の現状に詳しい、帯広大谷短期大学の佐藤英晶教授です。
道東の介護現場の課題を次のように指摘しました。

帯広大谷短期大学 佐藤英晶教授
「一番問題になっているのは、やはり介護職員の不足です。これは全国的な傾向ではありますが、どうしても過疎地域が多いこの北海道の中で、特に道央圏から遠い道東は過疎の地域も多いですし、高齢化が進んでいるところでは労働力も足りていません。そういう状況の中で、介護職員が確保できない問題がかなり見えてきています」


人手不足で深刻な事態も…

佐藤教授は、道東では人手不足の影響で、介護サービスへの影響も実際に起きていると話します。

帯広大谷短期大学 佐藤英晶教授
「介護保険事業計画に沿い、介護需要に応じて施設・サービスを増やしていきますが、人手不足で、その計画どおりに施設を建設したりサービス量を増やしたりできないという状況があって、実際に施設を建てても満床にはできないという状況も出てきています。利用者・入所者に対して職員の数というのは決まっていますが、どうしても職員が足りないことで、その分、利用者を減らして人員配置基準を守るという形にせざるを得ない状況があります。さらに新規に施設を開設するのに職員の確保ができないので手が挙げられないというような状況もあります」

人手不足の状況がより深刻な都市部以外の地域では、介護保険制度の理念を揺るがしかねない事態も起きているといいます。

帯広大谷短期大学 佐藤英晶教授
「過疎化・高齢化が進んでいる郡部では、職員を確保するということが、都市部よりも難しくなってきています。郡部にある通所や在宅の事業所の場合には、どうしても小規模の事業所が多く、送迎などでコストがかかってしまい、都市部の事業所よりも経営的にはかなり不利な側面があります。そうすると、介護保険というのは利用者が選べるところがメリットという風に言われていましたが、実際には事業所を選べないとか、サービスの種類も郡部になると少なくなってしまうので、サービスの種類も選べないというところも出てきています」

このように住む場所で受けられるサービスに違いが生まれる状況が続けば、さらに深刻な事態に陥ると佐藤教授は危機感を募らせます。

帯広大谷短期大学 佐藤英晶教授
「人手不足が続くと、郡部で介護サービスを受けられない人たちが出てきます。それに伴い郡部の高齢者が介護サービスが受けられる都市部に移住していくことも考えられるかもしれないと思っています。その結果、郡部の町村の人口減少が加速してしまうという懸念を抱いています。そうすると高齢化率の高い郡部は、町自体の維持が難しくなってくるのかなという風に思います。高齢者が住めない町は、その町自体の存亡の危機に立つ可能性があります」

介護の人手不足が町存続の危機にー。
そうなると当然、影響は若い人にも及びます。
佐藤教授は「自分たちの町を守るために、若い世代の人たちも介護の問題について考えていくことが必要になってくる」と話しました。


人手不足の要因は?

ではこの人手不足はなぜ起きているのでしょうか。
実は、介護職員の数が減っているわけではないと、佐藤教授は指摘します。

帯広大谷短期大学 佐藤英晶教授
「介護職員そのものはどんどん増え続けています。決して職員がどんどん減っていっているというわけではないんです。それなのに人材不足が出てきているということは、それだけ施設が増えてきている、サービスを必要としている高齢者が増えているということです。介護需要が多いので、職員が足りていないという状況です」

その介護需要はどうなっているのでしょうか。
次のグラフは平成18年以降、釧路・根室・十勝地方で要介護や要支援の認定を受けた人の推移です。

急速な高齢化に伴い、右肩上がりで増加し続けていることがわかります。
佐藤教授によりますと、介護が必要な人の数が、介護職員の増加を上回るペースで増え続けていて、道東でも人手不足が深刻化しているというのです。


人手不足解消へ ポイントは「離職防止」

人手不足にどう対応していけばいいのか。
佐藤教授は人材確保に加え、いったん介護の現場で働き始めた人の離職を防ぐことが重要だと指摘します。

帯広大谷短期大学 佐藤英晶教授
「入職3年以内に辞める人がすごく多いというデータがあります。そういう意味では、入って3年の中でどうやって定着していくかということについて、施設・組織としてしっかり取り組んでいるかどうかで差が出てしまうのかなと思います。離職理由は、職場の人間関係や、施設・事業所の運営方針とか理念に不満がある、といった理由で辞める人が多いので、中間管理職の人たちがどうフォローしていくかがすごく大事なのかなと思います」

佐藤教授が指摘するように、離職の理由としては「職場の人間関係」や「施設の運営方針への不満」などをあげる人が「給与水準」をあげる人よりも多いということです。3年目までの職員にどう定着してもらうのか、この点も介護現場の人手不足解消に向けたヒントになりそうです。

私たちは介護現場の課題やその解決策について道東の皆さんといっしょに考えていきたいと思っています。介護について感じる身近な悩みや困りごとなど、皆さんの声もぜひお寄せください。

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2022年4月4日・18日放送

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